社会の底辺でうごめく人々の力強さを描く
ポー河沿いのレストラン・ドガナの経営者ブラガーナの妻ジョヴァンナは、一回りも年の違う夫との生活にへきえきし、退屈な毎日を送っていた。そんなある日、一台のトラックから放り出されてドガナのカウンターを叩いた男、ジーノに魅せられ、激情がわくのを感じた。一方、ジーノもジョヴァンナの官能的な眼差しに欲情をかきたてられていた。ブラガーナが留守中のドガナの一室は、2人の愛欲の場となり、駆け落ちを決行するまでには時間はかからなかった。しかし、売春婦まがいの生活をしていたジョヴァンナにとって経済的に安定した今の生活を捨ててまで愛を貫く気はなく、30分もいかないうちに後戻りしてしまった。
解説
ファシスト体制下の社会の底辺でうごめく人々の、反ファシズム性と扇情的な愛の力強さを描く。製作はリベーロ・ソラローリ、監督は「イノセント」のルキノ・ヴィスコンティ。ジェームズ・ケインの原作をヴィスコンティ、マリオ・アリカータ、ジュゼッペ・デ・サンティス、ジャンニ・プッチーニ、アントニオ・ピエトランジェリが脚色。撮影はアルド・トンティとドメニコ・スカラ、音楽はジョゼッペ・ロサーティが各々担当。出演はマッシモ・ジロッティ、クララ・カマライ、ジュアン・デ・ランダ、エリオ・マルクッツォ、ディーア・クリスターニなど。