春の夢

ある製薬会社社長宅を舞台にした風刺喜劇

東京のとある屋敷町、渥美の爺さんのひく石焼き芋の車は今日も坂を上って行く。魚政の行男がとびだして爺さんに得意先を紹介してくれた。客は坂の上の奥平家、その家の二人の若い女中、君子と梅子だった。豪壮な邸宅だった。掃除中の梅子が爺さんを無理矢理引っぱり上げ、二人で重いソファを動かしていると、表でクラクションが鳴った。帰って来たのはこの家の主人、そして目下スト突入寸前の暗雲をいただく文明製薬社長奥平庄兵衛とオールドミスの秘書矢杉和子である。勿論庄兵衛氏の頭は割れるように痛い。客間に足を入れた矢杉がキャッと叫んだ。帰った筈の渥美の爺さんが、客間の真中に脳溢血を起して倒れていたのである。……お金持の邸宅で焼芋屋の爺さんが倒れる……まことに皮肉なおはなしになった。怒ったのは庄兵衛氏である。

解説

「今日もまたかくてありなん」の木下恵介が、自らの脚本を監督したもので、ある製薬会社社長の邸宅を舞台にした風刺喜劇。撮影は「愛と希望の街」の楠田浩之。(キネマ旬報 全映画作品データベースより抜粋)

  • 配給
  • -
  • 製作国
  • 日本(1960)
  • ジャンル
  • ドラマ 
  • スタッフ・キャスト
  • 監督:木下惠介
    出演:小沢栄太郎/東山千栄子/丹阿弥谷津子/岡田茉莉子/川津祐介