山中常盤(やまなかときわ)

近世の絵巻物語を、鮮やかな絵と浄瑠璃で伝えるユニークな作品

15歳の牛若丸は、平泉の藤原家へ迎えられた。京で暮らす母の常盤は、息子会いたさに侍従と2人平泉へ旅立つが、美濃の国・山中宿に着くと、旅の疲れからか病に臥せってしまう。そこへ盗賊が現れ、着物ばかりか、2人の命までも奪ってしまった。同じ頃、牛若丸は、度々母の姿を夢に見て不安を覚え、京へ旅立つ。偶然にも、山中宿で常盤と同じ宿に泊まった牛若丸は、事の次第を知り、宿の夫婦の協力であだ討ちを果たす。

解説

17世紀の絵師、岩佐又兵衛が描いたと言われる絵巻「山中常盤」は、源義経こと牛若丸と、母・常盤御前の物語。本作では、全12巻、全長150mに及ぶこの壮大な絵巻物をカメラで追いかけていく。絵巻には古浄瑠璃の歌詞も添えられているが、曲は残っておらず、本作のために新たに、文楽の鶴沢清治氏が作曲、三味線演奏を加えている。役者の演技もなく、近世浄瑠璃の言葉で語られる物語だが、親しみ深い牛若丸のエピソードでもあり、その内容は驚くほどによくわかる。絵巻の描写は色鮮やかで華々しく、時に残酷な場面も登場するが、その印象は、通常の動く演技に違わず生き生きとして、伝統芸術の美しさに改めて魅了される。映画では、作者の岩佐又兵衛についても触れられ、絵巻誕生の裏にあるもうひとつのドラマも感慨深い。

2005年9月10日よりポレポレ東中野にて

  • 配給
  • 自由工房
  • 製作国
  • 日本(2005)
  • ジャンル
  • ドキュメンタリー 
  • スタッフ・キャスト
  • 監督:羽田澄子

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