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TOKYO! <シェイキング東京>

東京のとある街に、一人の男(香川照之)が暮らしている。彼が家で過ごす日常は、立ったまま食事をし、トイレで居眠りをし、そして山積みの本を読みあさる、というものだ。家の中は、読み終えた本、届けられる日用雑貨が整然と並べられ、一種の芸術の域を感じられる美しさだ。男は10年間この家を出ないまま、引きこもり生活を続けていた。 父親から毎月送られてくる金、そして電話さえあれば彼の生活は成立していた。食事を注文し、受け取る。洗濯物をクリーニングに出し、受け取る。受け取る際は相手の顔を絶対に見ない。ただひたすら物と金を交換する生活に何の疑問も感じないまま、11年の時が過ぎようとしていた。 男は土曜日には必ずピザを頼む。今日も同じ日常のはずだった。だが、その日ピザを届けにきた少女のガーターベルトをした足が、ふと目に入り、男は思わず顔を上げる。「11年ぶりに目が合った……」彼の目の前にいたのは、美しい少女(蒼井優)。時が止まったかのように見つめあう二人の耳に、突然、轟音が鳴り響き、激しい地響きが轟く。崩れ落ちる物たち、そして気を失い崩れるように倒れる少女──。倒れてしまった少女を前になす術がない男は、家の中を歩き回り考え続け、彼女に話しかけてみたりするものの、一向に反応はない。息をしていないかのような彼女をじっと見つめる男は、彼女の腕と足に不思議なボタンが付いているのを見つける。迷った挙句「comma」と書かれたボタンを思い切り押してみると、少女は何事もなかったかのようにパッチリと目を覚ました。「押した?」「ああ」「ほんと?」初めて交わされる言葉。少女は家の中と男をじっくりと見回し「ここはほんと完璧」という言葉を残して立ち去ってしまう。 「衝撃で2日間何もできなかった……」少女との出会いをきっかけに、男の中の何かが揺れ始める。とっさに電話を取り、ピザを注文する男。再び彼女に会えることを願うが、彼の前に現れたのは、雨に濡れたピザ屋の店長(竹中直人)だった。彼から、少女はバイトを辞め、永遠に家から出ないらしいと聞いた男は、渾身の想いで彼女の住む家を教えてもらう。「引きこもりが引きこもりに会うには方法はひとつ」幾度かのためらいを乗り越え、ついに男は家の外へと飛び出し、彼女の住む街へと駆け出す。山手通り、渋谷のスクランブル交差点へと男は走り続けるのだが……。

解説

NY、パリ、ソウルという大都市で暮らす3人の鬼才監督が、独自の視点で東京の真実の姿をとらえる“東京三部作”の一遍。監督は「殺人の追憶」「グエムル−漢江の怪物−」などの作品で韓国を代表する俊英ポン・ジュノ。初の海外作品として選んだ本作は、恋に落ちていく男女の激しい心の揺れを視覚的にとらえた東京を通して描く、珠玉のラブストーリー。出演は自身もポン・ジュノ監督の大ファンだという香川照之、蒼井優、「グエムル−漢江の怪物−」で監督がグエムルのモデルにしたという逸話もある竹中直人をはじめ、荒川良々、山本浩司、松重豊といった個性的なキャストが顔を揃えている。

2008年8月16日より

  • 配給
  • ビターズ・エンド
  • 製作国
  • フランス 日本 韓国 ドイツ(2008)
  • ジャンル
  •  
  • スタッフ・キャスト