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ダーウィンの悪夢

アフリカのタンザニアにあるヴィクトリア湖。この湖畔の町、ムワンザでは、巨大魚ナイルパーチの一大産業が栄えている。半世紀ほど前に湖に放たれ、大変な勢いで繁殖したナイルパーチは、加工がしやすく海外への輸入にぴったりだったため、大金を生み出すことになったのだ。ナイルパーチで仕事をしているのは、漁師や加工工場の人間だけではない。最大の輸出先であるEUの国々に空輸するパイロットが、旧ソ連地域からやって来る。そしてパイロットを相手に、町の女は売春で金を稼いでいた。ムワンザには、農村からも職を求めて多くの人がやって来た。彼らは湖畔に漁業キャンプを作ったが、仕事にありつくのは難しく、貧困がはびこり始める。同時にキャンプの男たちを目当てに売春する女たちも増え、エイズが深刻に蔓延し始めた。そのせいで、町にはストリートチルドレンが目につく。路上で生活する子供たちは、暴力や空腹を忘れるため、ナイルパーチの梱包材などを溶かして作った粗悪なドラッグを嗅いでいた。やがて国際ワークショップで、ヴィクトリア湖の自然が壊滅的状況にあることが報告される。ナイルパーチの繁殖によって、湖の生態系が崩れたのだ。一方、魚加工工場には、ナイルパーチを加工したあとの残り物の頭や骨を集めるトラックが日々やって来る。貧困な地元民は、その残り物を揚げたり焼いたりして売ったり食べたりしているのだ。不潔な残骸の山からはアンモニアガスが噴き出し、そのせいで眼球が落ちてしまった女性もいる。そんなある日、売春婦のエリザがオーストラリア人の客に刺殺される事件が起こった。画家のジョナサンは、ヨーロッパからナイルパーチを運ぶためにやって来た飛行機から大量の武器が見つかったという話をする。ある日の新聞には、タンザニアの保安官が飛行機による武器密売に関与し起訴されたとの記事が掲載されていた。魚を運ぶための飛行機には、アフリカの紛争で使われる武器が積んであるのではないか……。そんな疑惑を抱えたまま、今日もナイルパーチを積んだ飛行機は世界中に飛んで行くのだった。

解説

アフリカにおける外来魚ナイルパーチの産業をめぐる、経済と環境の恐るべき悪循環を暴くドキュメンタリー。監督は本作で国際的な評価を獲得したフーベルト・ザウパー。2004年ヴェネチア国際映画祭ヨーロッパ・シネマ・レーベル賞、2005年山形国際ドキュメンタリー映画祭審査員特別賞・コミュニティシネマ賞、2006年セザール賞最優秀初監督作品賞など多数受賞。

2006年12月23日より

  • 配給
  • ビターズ・エンド
  • 製作国
  • フランス オーストリア ベルギー(2004)
  • ジャンル
  •  
  • スタッフ・キャスト