死国

田舎の持ち家を処分しに15年ぶりに故郷である四国・高知県矢狗村に帰ってきた明神比奈子。彼女はそこで、幼なじみの日浦莎代里が16歳の時に死んでいたことを昔の友達に初めて知らされ驚く。その後、もうひとりの幼なじみで初恋の相手・秋沢文也に再会した比奈子は、更に彼の口から莎代里の死にまつわるある忌まわしい噂を聞かされる。それは、死者の霊を黄泉の国から呼び出し、口寄せする依童であった莎代里の死因が、事故死ではなく悪霊に取り憑かれて殺されたというものだった。そして、当時莎代里と交際していた文也は、未だに莎代里の死に縛られて生きていた。そんな文也に心惹かれていく比奈子。文也もまた、比奈子が自分を莎代里の呪縛から解いてくれそうな気がして、比奈子に心を寄せていった。ところで、村では神の谷と呼ばれる場所の入り口にある地蔵の首がもがれる事件を発端に、奇妙な出来事が続発していた。少年が死んだ筈の祖父の姿を見たり、地蔵を調べた役場の人間が発作で倒れたり、比奈子の枕元に16歳の莎代里が現れたり_。実は、その怪現象は莎代里の母・照子によってもたらされたものであった。彼女は、代々口寄せを生業とする日浦家の血を絶やしてはならないと、死者を蘇らせる儀式である四国八十八カ所の札所を死者の歳の数だけ逆に回る逆打ちをして、莎代里を蘇らそうとしていたのだ。そして、間もなく莎代里が死んだ歳と同じ16回目の逆打ちが終わろうとしていた。もし、逆打ちが終了し黄泉の国への結界が破られれば、四国は死者の国、即ち死国となってしまうだろう。そのことを知った比奈子と文也は、照子の計画を阻止しようとするが、照子は16回目の逆打ちを終え、日浦家の者以外は立ち入ることの許されない神の谷で祈祷を始める。そして、遂に莎代里が蘇るのだった。だが、蘇った莎代里にはある目的があった。それは、愛しい文也との再会を果たすこと。照子を殺し、比奈子から文也を奪おうとする莎代里。しかし、既に人間ではない彼女は、想い余って文也を死に至らしめてしまうのだった。そんな彼女を祈祷師・仙頭が黄泉の国へ連れ戻そうとした。しかし、莎代里も比奈子の同情心を煽って現世に留まろうとする。すると、そこへ文也の霊が現れ、莎代里を黄泉の国へ連れ去るのだった_。こうして、黄泉の国への門は無事閉ざされた。実家を処分し東京へ戻ることになった比奈子は、帰り際、死者が登ると言われる石槌山に向かって手を合わせた。

解説

四国八十八カ所を逆に回り死者を蘇らせる逆打ちなる伝承儀式を巡って繰り広げられる、愛憎の悲劇を描いたホラー映画。監督は「ロマンス」の長崎俊一。直木賞作家・坂東眞砂子の同名小説を、「宇宙貨物船レムナント6」の万田邦実(万田邦敏名義)と「らせん」のプロデューサー・仙頭武則が共同脚色。撮影を「戦後在日五〇年史/在日」の篠田昇が担当している。主演は、「私たちが好きだったこと」の夏川結衣と「ベル・エポック」の筒井道隆、第1回ミス東京ウォーカーの新人・栗山千明。

1999年1月23日より

  • 配給
  • 東宝
  • 製作国
  • 日本(1999)
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  • スタッフ・キャスト