帰郷(2004)

東京で一人暮らしをしながら働く晴男(西島秀俊)は、再婚する母親の結婚式に出席するため、故郷に帰ってきた。再婚相手は晴男の同級生・ナオミの父親で、どちらも早くに連れ合いを亡くしていた。その夜、先輩の山岡が営む居酒屋に出かけた晴男は、そこにかつての恋人・深雪(片岡礼子)と偶然再会する。数年前に故郷を離れたものの、半年前に子どもを連れて戻ってきた深雪は、昼間はパート、夜は山岡の店を手伝いながら女手一つで子どもを育てているという。閉店後、一人店に残って黙々と後片付けをする深雪の元に、山岡らと飲みに行ったはずの晴男が戻ってくる。昔を懐かしむうちに、暗闇のなかでどちらからともなく体を求め合う二人。帰り道、深雪は自分の子どもについて語り始める。深雪は「明日の昼、うちに来て」と明るく言うと、呆然と立ち尽くす晴男を残し、自転車で颯爽と走り去った。翌日、晴男は深雪の家を訪ねた。チャイムを押すが返事はなく、ふと振り返るとランドセルを背負った少女が不審そうに晴男を見ている。「あの…お母さんはいますか?」「いません」少女のぶっきらぼうな返事に戸惑いつつ晴男が「君、チハルちゃんだよね? お母さんはどこ?」と尋ねると、チハルは「スーパー。おしごと」とだけ言って家の中に消えてしまう。晴男があきらめて帰りかけた時、再びチハルが家から出てくる。ためらいながら、彼女のあとを追いかける晴男。微妙な間隔をあけながら、二人は田舎道を歩いてゆく。再び深雪の家に戻ると、チハルは無言で晴男を家に招きいれる。気まずい空気が流れるなか、部屋に置き忘れられた深雪の携帯電話のベルが鳴った。電話の主は山岡(三石研)だ。チハルに代わって受話器をとった晴男に山岡は、レジの計算が合わないので確認のため深雪の勤め先に電話をしたが不在だと告げる。晴男をチハルは深雪の勤めるスーパーに向かう。だが、やはり彼女は出勤していなかった。いったいどこに行ってしまったのか? 幼いチハルを一人ぼっちにするわけにもいかず、晴男はひとまずチハルを実家に連れて行くことに。晴男の母親はチハルをあたたかく出迎え、楽しげに食事をふるまう。チハルと晴男を見比べて、母親が放った「目のあたり、あんたに似てるわね」という一言にドキッとする晴男。仏壇には晴男の実の父親の遺影が置かれている。それを眺めながら、母親は「あんた、お父さんの年齢超えちゃったね」としみじみつぶやく。なぜ深雪は突然いなくなってしまったのか? チハルは本当に俺の子なのか? 晴男とチハルは再び歩き出した。バスに乗り、深雪のメール友達が住むアパートを訪ねたり、昔チハルが家族で行ったレストランに入ったり。だが、深雪の姿はどこにもない。がっかりするチハルを肩車し、晴男は歌を歌いながら海辺を歩いた。帰りのバスを待つ間、遠くから聞こえてくる祭囃子に誘われて、二人はお祭りで賑わう神社へと向かう。たこ焼きを食べたりゲームに興じたりして時間を過ごすうちに、二人の距離も縮まってゆく。

解説

故郷へ帰ってきた男が、ひょんなことから昔の恋人の連れ子と過ごすハメになり、戸惑いながらも次第に絆を深めていく姿を描く。主演は「Dolls(ドールズ)」の西島秀俊。「ハッシュ!」で数々の主演女優賞を受賞後、病に倒れていた片岡礼子が本作で復帰。ほか吉行和子、高橋長英、光石研らベテランの演技派が揃う。監督は「楽園」や『私立探偵濱マイク』シリーズの一編など、国内外から注目を集める萩生田宏治。「クロエ」「BeRLiN」で監督を務め、俳優としても活躍する利重剛が共同脚本と製作を兼ねる。

2005年6月11日より

  • 配給
  • ビターズ・エンド
  • 製作国
  • 日本(2004)
  • ジャンル
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  • スタッフ・キャスト