タクシー(1996)

マドリード。大学受験に失敗したパスは失望し、恋人とも別れ、長かった髪をスキンヘッドにしてしまう。激怒する父の命じるまま、カツラをかぶって父と共にタクシードライバーの仕事に就くことになり、父の仕事仲間である「ファミリー」に紹介される。その中には暗く影のあるカレロの他、幼い頃の記憶に残る心優しいレメがいたが、彼女の夫は強盗に撃たれ体の自由がきかないという。彼を見舞った折、パスはその息子ダニと再会し恋に落ちる。だが二人の中を認めながらも「ファミリー」はパスを仲間に入れたがらない。彼らは有色人種、同性愛者、薬物中毒者などを虐殺して回る「夜の掃除屋」だったのである。カレロは、ダニが自分の父を不具にした犯人を激しく憎悪しているところにつけ込んで、アラブ人貧民街を襲撃するよう挑発する。自分の犯してしまった罪に怯え自分自身を見失うダニ。パスはダニの人種偏見を批判し、距離を置こうとするが、無線から聞こえるダニの情熱的なラブコールに再び心を許す。パスは無線で聞いた「ファミリー」の会話などから彼らの正体をつかみ始めていたが、ダニが犯した罪の証拠を母に突きつけられたことを機にダニを問いつめ、ついにすべての真実を知る。「ファミリー」の秩序を守るためパスを淘汰しようとするカレロが、銃を手にパスを追う……。

解説

人種主義殺人者集団の子供として生まれた少女と少年との純粋な愛を、大人たちの影の世界と対比させて描くラヴストーリー。スペインで現実に起こった事件をモデルにした、新進サンティアゴ・タベルネロのオリジナル脚本に、「フラメンコ」のカルロス・サウラが惚れ込んで映画化。撮影には「フラメンコ」に続き、ベルナルド・ベルトルッチ作品で知られるヴィットリオ・ストラーロがあたった。使用曲としてジプシー・キングス、マノ・ネグラの歌が流れる。製作はハビエル・カストロ、コンチャ・ディアス。編集はフーリア・フアニス。衣裳はホセ・マリア・デ・コシオ。出演は本作が長編映画デビューとなるイングリッド・ルビオ、「神経衰弱ぎりぎりの女たち」のアンヘル・デ・アンドレス・ロペス、『狂人たちの戦争』(日本未公開)のマイテ・ブラスコほか。96年サン・セバスチャン映画祭審査員特別賞受賞。

1997年10月4日より

  • 配給
  • アート・キャップ
  • 製作国
  • スペイン フランス(1996)
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