湖畔のひと月

1937年、イタリアはコモ湖畔の高級ホテル「バルビアネッロ荘」。英国人のミス・ベントリー(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)は、夏になると父と過ごしたこの地で静養していた。ホテルの女主人のファシオリ夫人(アリダ・ヴァリ)以下従業員も温かく迎えてくれる。ある日、宿泊客の英国人の実業家、ウィルショー少佐(エドワード・フォックス)に心ひかれた彼女は、あと1ヵ月滞在しようという心づもりに。ところが、そこへ、陽気なイタリア人一家ボゾニーニ家が乳母として雇ったアメリカ娘ミス・ボーモント(ユマ・サーマン)が登場。スイスの女学校を飛び出したじゃじゃ馬だが、少佐は若く美しい彼女に夢中の様子。人の関係は早くも波瀾含みだ。ミス・ベントリーにテニスの試合で打ち負かされ、観衆の面前で恥をかかされた少佐は子供のようにすねてカンカン。遊覧船の上で仲直りしたものの、ミス・ベントリーが時間を間違えて帰りの船に乗り遅れる始末。彼女はちょうどそこへ通りがかった地元の若者ヴィットリオ(アレッサンドロ・ガスマン)にバイクに乗せてもらい、少佐を置き去りにする。翌朝、少佐から再び和解の申し入れ。少佐は急に発つと言ったが、ミス・ボーモントが大袈裟に別れを惜しんで見せたのを、鈍感で純真な少佐は真に受けてしまう。ミス・ベントリーは負けじと彼らのデートに付き合って水泳に出掛け、素晴らしい肢体を披露。その姿に目を奪われたヴィットリオに彼の部屋で迫られるが平手打ちを食らわせ、彼に送らせてバイクで帰還した。ミス・ベントリーは、少佐を気まぐれで振り回すミス・ボーモントに、もう少し優しくするよう頼むが、「少佐が好きならあなたが優しくすれば?」と言われて、思わず彼女の頬を叩いてしまう。一夜開けて、明日発つことになっているボゾニーニ氏の提案で一行はピクニックへ。昨夜喧嘩した二人も仲直り。一行は忍び寄る戦争の影も忘れてのどかなひと時を過ごす。ミス・ボーモントは乳母をクビになり、国に帰る気もないが、どうやら彼女とヴィットリオはなかのいいカップルになりそうだ。ミス・ベントリーは少佐に急な出発を告げるが、彼はもうひと月ここに滞在するよう命じ、二人は抱き合ってキスした。

解説

イタリアの高級リゾート地に展開する、熟年カップルの軽妙でロマンチックな恋物語。英国のチェーホフといわれた作家H・E・ベイツの同名小説(本邦未訳)を、英国演劇界の裏方から脚本家に転身したトレヴァー・ペンサムが脚色、「戦争の犬たち」「ロビン・フッド」(91)のジョン・アーヴィンが監督にあたって映画化。製作は英国演劇界の名プロデューサーで、劇映画は「アナザー・カントリー」以来となるロバート・フォックス。エグゼクティブ・プロデューサーは「スモーク」のボブ・ワインスタインとハーヴェイ・ワインスタイン、ドナ・ジグリオッティ。撮影は「ロミオとジュリエット」(68)など数多くの作品で知られるイタリア映画界の名キャメラマン、パスカリーノ・デ・サンティス。音楽は「おっぱいとお月さま」のニコラ・ピオヴァーニが担当。主演は「ジュリア」「リトル・オデッサ」のヴァネッサ・レッドグレイヴで、このところ老いや衰えを強調した役が続いた彼女が、美しい水着姿を含めて久々に若々しさをアピールしている。共演は「ジャッカルの日」「クワイ河からの帰還/戦場にかける橋2」のエドワード・フォックス、「パルプ・フィクション」のユマ・サーマン、イタリアの名優ヴィットリオ・ガスマンの実子ヴィットリオ・ガスマン、そして「ルナ」のベテラン、アリダ・ヴァリほか。

1996年3月2日より

  • 配給
  • 松竹富士
  • 製作国
  • イギリス(1990)
  • ジャンル
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  • スタッフ・キャスト