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私は狙われている(1950)

東京での商用を済ませて帰郷の列車に乗るため東京駅に来た野村は、構内のコーヒースタンドでジャケツの青年から「助けて下さい!私は狙われています。私をここから連れ出して下さい」という不気味な言葉をかけられた。恐怖を感じて席を立った野村を追って出て来た青年は、その時突然現れた自動車にはねられて昏倒、虫の息の下から一枚の荷物預かり証を渡すと息が絶えた。思いがけない事件にぶつかった野村は恐怖と自己保身の本能から、馬面の自称警官や大男等の怪漢から夢中で逃げ出した。追われ追われて新宿裏のホテルに駆け込んだ野村は、入浴中の見知らぬ婦人に懇願、夫婦者として一芝居打ち窮地を一時救われる。女は七枝と言った。翌朝ニセ警官に襲われた野村は預かり証を奪われるが、それは自分ので青年に託された方は、七枝のハンドバックに入れた事を思い出し監視に残った一人を倒すと七枝の捜しに飛び出した。デパートに勤めに行くという書き置きを頼りに尋ね歩き、あるデパートで洋子と言う女店員に七枝の消息を聞く。そこで彼の大学時代の親友で新聞記者の山形と洋子の助けをかりた野村と七枝は、東京駅から問題の荷物を受け取ると山形のアパートに落ち着く。問題のスーツ・ケースの中からはレコードが出て来る。その不可解なレコードを聞いた山形は、「種明かしが出来た」とポカンとしている二人を残して事件の解明に飛び出して行く。暫くして野村の所に山形から電話がかかり、彼は出かける。だがそこに野村を迎えたのは山形ではなく、例の馬面の男であった。野村は監視役の男を倒した時奪ったピストルで、馬面の男の口を割らせ様とするが、彼は黙ったまま銀座の空に浮かんだアドバルーンを意味ありげに指すのであった。その繋留先のビルの屋上では悪漢の手中に陥ちた山形が不敵にも凶漢ギャングの首領で宣伝広告社の肩書きに隠れた紳士花沢の仮面を次々とはいで行くのであった。花沢と交渉を持っていた流行歌手青井ラン子は、彼の正体に気付き逃げ出そうとして、録音室で殺される。それを偶然にも録音した洋子の兄の録音技師は、目撃者としての責任感から、録音盤を持って逃げ出し東京駅で野村に出会ったのである。アドバルーンをたどって広告社に来た野村はそこに彼のボストン・バックがあるのを見て事態を悟り留守番の男を倒し警視庁に連絡する。屋上では「レコードを聞いた者は一人も生かして置けぬ」と言う花沢の言葉と共に山形の前に七枝が突き出される。そして警官隊の到着。花沢は七枝を縛った繋留ロープを切り宙に浮いたロープに縋り窟余の脱出を試みたが警官のピストルに撃たれビルの谷間に落下して行く。アドバルーンは東京の屋根の上を七枝をつるしたまま芝浦まで浮遊して行き、そこで警官隊のピストルにより炸裂、中からは花沢の作った偽千円札が四散する。救出された七枝は都会の空しい希望をすて野村と伴われて帰郷する。

解説

プロデューサー・システムを採用した大映の東京側第一回作品、最初に予定されていた小川記正プロの「浅草の肌」が伸びたので、次回作予定のこの作品が繰り上ったもの。前東京撮影所企画部長の箕浦甚吾がプロデューサーに転じての第一作。企画は久保寺生郎。原作はトルー・ストーリーに連載されたアメリカの作家フレッド・アルホフのスリラー小説より「魔の黄金」を谷口千吉と協同脚色した松浦健郎が飜案脚色し、「月の出船」の森一生が京都より東上して監督に当たる。撮影は「涙の港」の長井信一の担当。音楽は「にっぽんGメン 難船崎の血闘」の深井史郎。主演は「涙の港」の二本柳寛と新人荒川さつきで、彼女はフロリダのダンサーをしていた去年のミス・カマクラで今度が初出演、それに「人生選手」の小林桂樹、「笑う地球に朝が來る」の若杉須美子、「一匹狼(1950)」の菅井一郎、「暴力の街」の滝沢修、船越英二に久し振りの及川千代が助演している。

1950年04月02日より

  • 配給
  • 大映
  • 製作国
  • 日本(1950)
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