東京の夜

丸の内商事会社のタイピスト露原マキは、従業員の教養講座に音楽を受持つ杉村順吉と帰途のバスで一緒になって、彼が偶然にも同じ引揚者アパートに住む、同じハルピンからの引揚者であることを知る。マキの順吉に対する思慕の念は日増しにつのり、同僚敬子、ひろ子、みねの三人の支持を得て拍車をかけた。ある日順吉からの電話に飛び立つ思いで指定の場所に出かけたマキは久美子という女流画家を紹介され、モデルになってくれと頼まれ、順吉の真意を疑った。その夜マキは順吉を招待したが順吉は久美子の誕生日に招かれて来ず、酔って友人の川瀬を伴ってアパートに帰って来た。酒の回っている順吉の態度はマキの失望を深めた。しかし川瀬は二人の間柄を察し一泊の予定を変更し早々と引揚げてゆく。やがて川瀬の冗談話しから順吉の対象が自分でないと感じた久美子はマキのモデルを断り、順吉に会って真意を知ろうと焦った。順吉をめぐるマキと久美子の感情のもつれを自分の責任と感じた川瀬は、久美子に対し、順吉はマキと結婚すると言明して、二人の幸福のため旅に出るようすすめ、強引に東京駅へ呼び出した。その時、田端という「ハルピン時代のマキの夫」と名乗る男が突如現われ、順吉を殴りつけマキをさらって自動車で逃げようとした。かけつけた川瀬の機知によってマキは危く救われる。意外な事実に大きな心の痛手を受けた順吉は一人寂しくそこを去って旅に出た。失意のマキも一切を諦めて故郷の北海道に帰るべく汽車の客となった。東京に帰った順吉はマキの行動を知って上野駅へかけつける。発車前の一瞬、再び会った二人はかたく手を握って幸福を誓うのだった。

解説

「海の呼ぶ声」の小崎政房の脚本で「お嬢様お手を」に次いで新人水野洽が第二回作品としてメガフォンをとる。カメラは「お嬢様お手を」の協同者渡辺公夫が担当。「田之助紅」「十三の眼」「宵祭八百八町」の喜多川千鶴が東京における最初の出演で「花咲く家族」「女囚36号」の若原雅夫と初顔合せする。

1947年9月30日より

  • 配給
  • 大映
  • 製作国
  • 日本(1947)
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