緋鯉大名

“お鯉様御養育”係を命じられて勇んで松坂藩江戸屋敷に赴任した桧権之助は、そのお鯉様というのが本物の池の鯉なのを知って驚いた。毎年一回将軍が松坂家にやってきて鯉を賞味する日、庖丁式当日のために、御下賜の鯉を養育する係である。先輩格の喜八とともに、とにかく彼はこの仕事にはげんだ。松坂藩では人情家老有原頼母が実権を握っていたが、次席家老稲葉主膳がその失脚を狙っていた。ある日藩守伊勢守の姪毬姫が、美しい腰元小夜をつれて婿さがしに出府してきた。主膳は姫と息子の源太郎をめあわせようとした。しかし、姫の旅情をなぐさめる鯉釣大会では権之助が優勝し、どうやら姫一行の人気は彼に集まった。これを見た主膳は、権之助を味方に引入れようと誘惑した。だが彼は、それを断ったばかりか悪商人丸目屋と結んでの主膳の陰謀までかぎつけた。ある夜、池を見まわる権之助は、暗闇の中で腰元小夜とぶつかり、言葉のもつれから、つい彼女とつかみ合いをした。これを見た主膳配下の谷山大之進の注進から、権之助は三日間の謹慎を命じられた。さて、庖丁式を翌日にひかえた日大変な事件がもちあがった。池の鯉が何者かに毒殺されたのだ。主膳の悪だくみの結果であった。家老頼母は総ての責任をとって切腹を覚悟した。その頃、権之助は町で釣掘りをやっている藩士十時武平のもとに急いでいた。あらかじめ悪計をさとった権之助は、御下賜の更紗鯉をそこに移しておいたのである。行手をさえぎる大之進をはじめ丸目屋一味を斬って、鯉を持った権之助は江戸屋敷にとってかえし、切腹寸前の頼母を救った。この働きで権之助は一躍一万石を与えられ、実は人の本当の姿を見るために腰元姿に身をやつしていた毬姫と結ばれた。庖丁式はこれを機に、とりやめられることとなった。

解説

傑作倶楽部連載の中田竜雄の原作を、原作者自身と「大岡政談 千鳥の印篭」の結束信二が脚色し「怪談一つ目地蔵」の深田金之助が監督した娯楽時代劇。「新吾十番勝負 第二部」の山岸長樹が撮影した。

1959年11月8日より

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  • 日本(1959)
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