地獄の午前二時

夏の陽のギラギラと照りつける日。東都新聞の記者冬木は行きつけの喫茶店アルニカの常子が行方不明になったのを知った。常子は一年程前、アルニカを辞めてから、ジョージという外国人と同棲していた。ところがジョージが国に帰ると、その家を売って喫茶店でも開こうと、いっているうちに行方がわからなくなってしまった。その家はすでに他人の手に渡っていた。冬木はアル中の父や幼い弟妹のいる常子の苦しい家庭と彼女の生活に同情した。警察に捜索願が出された。冬木は常子の母からきいて、友達の文子を洋装店シャルマに訪ねた。そこで冬木は常子とジョージの写真を手に入れた。また常子が前に関係のあった、電話ブローカー風巻の子をおろすために、文子から五千円借りていることがわかった。常子は家を売って文子に金をかえすといった。文子は家の売先で、東社長と秘書の西田という二人の男に会った、ということもわかった。しだいにわかる常子の生活をしって、冬木の心は暗かった。常子は奔放な性格の持主で、学生の黒須、アルニカのマスター服部とも関係していた。常子の家を売出したのは、不動産屋の沼尾で、西田が常子に依頼され、名義を沼尾に書替えて転売したのだ。沼尾は社長の東や常子に会ったことがないという。沼尾は前科者で共犯者に久保田、池尻がいた。池尻は事故死していた。常子の生命も危い。常子が服部からもらったオルゴールが古道具屋で発見された。それは久保田の家の女中の兄岩原が売ったものだった。その時、岩原は喧嘩で警察に留置されていた。被害者は風巻で、岩原は実は西田であった。風巻の告白によって、常子の家を売って沼尾と二人でもうけようとしたが、沼尾が岩原を使って風巻をおどして、もうけを横取りしようとして喧嘩になったことがわかった。久保田、沼尾は逮捕された。そして東社長は久保田で、沼尾は風巻から常子を紹介され、久保田の資金で一もうけしようとしたが、結局常子が邪魔になり、彼女を毒殺したことがわかった。冬木の書いた記事は他社を抜いた。しかし常子は二度とこの世に戻っては来なかった。

解説

文学界所載・菊村到作「事件の成立」の映画化。一人の若い女性の失踪事件を中心に、金のためには手段を選ばぬ人間悪を推理的手法で描いたもの。「警視庁物語 魔の伝言板」の長谷川公之が脚色、「季節風の彼方に」の関川秀雄が監督した。撮影は「空中サーカス 嵐を呼ぶ猛獣」の藤井静。「殿さま弥次喜多 怪談道中」の中村賀津雄、「鰯雲」の木村功、「空中サーカス 嵐を呼ぶ猛獣」の中村雅子・佐久間良子に、山茶花究・堀雄二・山形勲・東野英治郎らが出演。

1958年9月16日より

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  • 日本(1958)
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