駐在所日記

四十三歳の独身者三平巡査は牛深村の駐在所勤務である。溪流を中に向き合う二つの旅館は親代々仲が悪い。清流荘と緑風館は村のバス停留場前でいつもお客の争奪戦を演じる。清流荘の孫・小学校教員勇作は目下バス車掌の雪江と恋愛中だ。この平和な村にある日三つの事件が起きた。怪しげな御祈祷婆さんが現われたこと、祝言の席で花嫁花婿が失踪したこと、それにどぶろく密造取締りに税務署員がやってきたこと、の三つの事件だ。三平巡査はまず婆さんを追っぱらい、つぎにどぶろくの隠匿に協力した。花嫁花婿はそれぞれ自分の恋人たちと鎮守の森にいた。三平は四人から結婚のあっせんの依頼をうけた。村の美人後家サキノのところへ村会議員定助が夜這いをした。サキノは離れに下宿している雪江と協力し、定助を部屋に閉じこめた。火事だと騒ぎたって村人を集め、定助の醜態をさらした。清流荘の女将おろくは、勇作から雪江と一緒にしてくれと切り出され、頭にきた。山の行者小屋にこもって餓死してやると息まく。緑風館のおたきは夫を次の村長選挙に出馬させようとするが、夫はからきし意気地がない。あいそをつかして、死んでやると行者小屋へ行く。女将二人が背中合せで、いじっぱりの断食合戦を始めた。定助は御祈祷婆さんと結んで村長選挙へいろいろ手を打ちだした。貧乏人の留吉が税務署員にどぶろくを発見され連行されたのも二人の密告が因だった。留吉の残した三人の子供をサキノが面倒を見ているのを三平は知っていた。彼ら二人は十年前恋仲だったが、身分の違いで結婚出来なかったのだ。定助らはコックリさんのお告げと称して、サキノの家を選挙事務所に提供させようとした。三平は定助を落選させるため、弥太郎の出馬をこん請した。定助は苗代を荒す鴨を夜中に射ち殺し村の人気を一挙に得た。いよいよ選挙が始った。どう見ても弥太郎派の旗色が悪かった。サキノは彼のための戸別訪問で引っぱられた。残された子をあずかり、雪江は選挙運動にも大活躍をしたが、定助派の勝に終った。リコール運動に雪江たちが立ち上ろうとする時定助の選挙違反が明らかになった。彼の逮捕状を町へ貰いに行く三平巡査のかたわらに、留吉の子良作がいた。三平は彼にその父とサキノを結ばせる約束をしたのだ。

解説

伊藤永之介原作の同名小説を、久方振りに灘千造が脚色し、「誓いてし」の枝川弘が監督、「真昼の対決」の渡辺公夫が撮影した農村喜劇。主演は「穴」の船越英二、「誓いてし」の根上淳、「透明人間と蠅男」の叶順子、「冥土の顔役」の南左斗子。

1957年11月5日より

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  • 日本(1957)
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