虚無僧変化・二部作

第一部・虚無僧変化−−徳川末期、北海道宗谷にある幕府の北辺警備隊勤務の小川達之助が江戸へ帰る日の近いのを喜びつつ親友の隊員江見主税と海岸を歩いていると、函館の豪商立石十兵衛の密輸品をかくしてある小屋を見つけた。十兵衛は警備隊長小野田喜内となれあいでロシアと密貿易を行っていたのである。正義の士達之助は十兵衛を面責した。事の発覚を怖れた喜内は江戸からの命だと称して隊員の一人を残すことにした。くじを引くと達之助にあたった。彼は足軽友三と残ることになった。皆が出発した後で喜内から贈られた酒を飲んだ友三は毒死した。達之助は喜内等の陰謀を覚り、すぐ後を追ったが疲労で倒れた。達之助を救ったのは謎の虚無僧月心であった。一方函館に着いた主税も喜内等の酒席の放言でくじのからくりを知り憤ったが、反って喜内の一味、清水源次郎や斎藤帯刀等の闇討に会い海中に落ちた。しかし主税は今は没落した函館の豪商北海屋の一人娘お雪に救われた。江戸には達之助の恋人で主税の妹芳江が待っていた。また主税には愛人の芸者照吉があった。一方函館では、十兵衛が主税の生存を知り、その生命を狙っていた。主税の身辺を案じたお雪は、別のかくれ場所に彼を移そうとした。だがその途中を十兵衛の手下に襲われた。そこに突然現われたのは虚無僧姿の達之助と月心であった。十兵衛は短銃を落して逃げた。三人は十兵衛の監視の目をごまかして津軽行の船に乗りこんだ。お雪も同じ船に乗った。お雪を慕う北海屋の若者小六も乗った。月心は津軽に渡ると一行に別れた。お雪は主税から、主税の妹の芳江が達之助の許婚者だときかされてがっかりした。お雪は達之助を恋していたのだった。彼女は達之助に復讐を思い止まって、自分を連れて松前に帰ってくれともいった。達之助は肯んじなかった。嫉妬にかられた小六は短銃を奪って逃げた。久しぶりで江戸に帰った喜内等が祝宴を張っていると小六が現われた。小六の口から達之助と主税の生きていること、二人が江戸に上って来ることをきいて喜内達はおどろいた。宴席に来ていた照吉もその話をきいて心をおどらせた。小六は清水源次郎に斬られ、短銃は喜内の手に渡った。照吉は小六を救った。源次郎は芳江を襲うと猿ぐつわをかませて連れ出した。折しも芳江の家の附近に着いた達之助は女の着物のはみ出した駕篭が源次郎に運ばれて行くのを見て後をつけたが見破られ、白刃に取囲まれた。第二部・鍔鳴り街道−−危い達之助を救ったのは月心の指揮する虚無僧の一隊であった。一方小野田喜内の屋敷には十兵衛が来ていた。喜内は取戻した短銃を十兵衛に見せた。照吉に救われた小六は改心し、照吉の為には主税を、達之助の為には芳江を探し出すことを約束した。だが間もなく門付芸人に変装した主税とお雪が照吉の前に現われた。芳江は源次郎の家に監禁されていた。表に現われた虚無僧を追って源次郎が部屋を出たすきに小六が現われ、芳江を救い出そうとしたが源次郎の配下に発見され捕らえられた。小川達之助の活躍が始まった。虚無僧寺に身を寄せる月心を訪れた達之助は月心から、大目付平沢但馬に喜内等の悪業を訴えろといわれた。だが訴状をもって訪れた達之助を但馬は監禁した。但馬も喜内一味であったのだ。また達之助を虚無僧寺に訪ねたが会えずに帰る途中お雪は十兵衛に捕えられた。小六と芳江を救うために清水邸に忍びこんだ主税も捕えられた。我事なれりと喜ぶ喜内一味の前に、月心が、その本当の姿、かくし目付大和田主水正と名乗って現われた。かくて喜内一味は倒され、万事はめでたしとなった。

解説

大佛次郎の原作を「長崎の夜」の共同脚色者の一人、八木隆一郎が脚色し、「次男坊鴉」の弘津三男が脚色、「長崎の夜」の牧田行正が撮影を担当した。主なる出演者は「俺は藤吉郎」の林成年、角梨枝子、夏目俊二、小町瑠美子、「怪盗と判官」の阿井美千子、「悪太郎売出す」の黒川弥太郎など。

1956年1月22日より

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  • 日本(1956)
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