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東京の空の下には

東京の下町の一角で易断所を営む藤川透馬は、ケチな我利我利で、一人息子の九一は腕に戦傷をうけて音楽家志望が駄目になり、すっかりぐれていた。透馬の旧師加納大剛は今でも彼を書生扱いにする。軍需株の成金糟壁は藤川のパトロン的存在だが、加納も九一も彼を嫌いだった。学生服の三蔵が藤川を訪れた。彼は大学は出たが仕事がなく、アルバイトをする為にわざと学生服を着ている男だが、恋人の戦災孤児喜美子が妊娠して勤先の店を追われ、自殺も果さず易断所を訪れたのであった。加納は渋る藤川を説伏せて二人を住込みで雇わせる。その後、田舎から三蔵の母と叔母が上京する事になった。三蔵は藤川の姪と結婚したと母を偽っていたので困って了うが、藤川と親しいバーのマダム徳子が藤川夫人になりすまし、巧く母の手前をつくろった。然し母はそれを知っていたが、藤川にだけよろしく頼むといって国へ帰った。徳子は藤川を愛していたが、彼は金のある男と結婚するのがいいと言うのだった。九一は同棲している女給まゆみと喧嘩のたえ間がない。彼女が妊娠したのを知ると九一も心から喜んだが、女は糟壁の妾になるため家出を計り、それを止めようとして九一はトラックにはねられて死んだ。喜美子は妊娠中絶をしなかったので藤川に怒られ、二人は手紙を残して国許へ去った。徳子は建築技師山口と婚約した。藤川は糟壁に戦争屋の株は占えないと怒鳴り、加納の勧める奈良へ行こうとする。そして徳子と一緒に旅立つ決心をしたが、彼女は山口が昨日急死したので、残された老人と子供を見る約束をしたと泣く。藤川は淋しく旅立った。その後姿を物陰から徳子が涙で見送っていた。

解説

井伏鱒二の小説「吉凶うらない」から「トラン・ブーラン 月の光」の岸松雄が蛭川伊勢夫と共同で脚本を書き「あぶない年頃」の蛭川伊勢夫が監督する。撮影は「太陽のない街」の前田実、音楽は「女の一生(1955)」の黛敏郎の担当。出演者の主なる者は「生きとし生けるもの」の宇野重吉と山内明、「大学は出たけれど」の三橋達也、「愛すればこそ」の山田五十鈴、「和蘭囃子」の滝沢修など。

1955年1月28日より

  • 配給
  • 日活
  • 製作国
  • 日本(1955)
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