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母時鳥

駒井章三の妻志津子は、夫と五歳になる息子の彰男と共に上野動物園に出かけたが、ある小娘にハンドバッグをスラれた。この娘が死んだと思った志津子の娘由美子だった。由美子は志津子の先夫との間に生れた子で、産後退院した時に夫が戦死し由美子は急死したときかされ、絶望の状態になったが、身分違いとは思いつつも今の夫章三のたってのたのみに結婚した。表面幸福そうな彼女の生活も、姑恭子は何かにつけてつらく当り、彰男の行く末と義妹紀子の愛情とに励まされて日を送っていた。一方由美子は伯田酉子の計らいで吉崎家へ養女に行ったが、空襲で一家が全滅して以来転転流浪の生活で、現在では酉子に引きとられてはいたものの一度入った悪の道で、依然スリがやめられなかったのだ。すべを知った志津子は、夫章三には知らせず、ひそかに由美子のために洋服や養育費を送ったりしたが、ある日母恋しさに由美子が訪ねてきたためにすべてが章三に知れ、彼は志津子に対して怒りをぶちまけた。志津子は、娘のために敢えて彼と別れ、家を出て由美子と二人母子寮に住まうことになった。だがかよわい女手に世界は辛く、彼女は遂に掃除婦に迄身を落したが、一方彰男のことも忘れかねる彼女だった。ある日神宮外苑で働いている彼女を見つけた紀子は、家へ帰って恭子に報告したが、それを立ち聞きした彰男は、ひそかに母を追い母子寮迄来て母と対面した。これを見た由美子が母をめぐって彰男と論争をはじめ、遂に由美子はそこを飛び出し、その夜駒井家の納屋に火を放った。裁判所へ連れられた由美子は、ただふてくされて母と金持への憎しみをぶちまけたが、志津子の深い愛情の前に涙するのであった。章三も今迄の自分の非を悟り、由美子をもひきとって更に深い愛情をはらんだ家庭を作ろうと志津子に約すのである。

解説

竹田敏彦の小説(家の光連載)リを「心の日月」の田辺朝二が脚色し、「五ツ木の子守唄」の枝川弘が監督する。撮影は「金色夜叉(1954)」の高橋通夫、音楽は「秩父水滸伝」の飯田三郎が担当する。主演者は「四人の母」の三益愛子、「十代の秘密」の南田洋子の外、少年スターの蔵方しげる、新人大浜千鶴子、北原義郎、村田知英子、村瀬幸子である。

1954年7月4日より

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  • 製作国
  • 日本(1954)
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