銭なし平太捕物帳

大江戸は「憂国赤心団」と称する殺人強盗、何でもやるという暴力団の跳梁におびえていた。今日も若い女の死体が大川端に浮き上ったが、太腿に「やもり」の刺青があるのが唯一の手がかりで、事件は又もや迷宮入りになりそうだった。人々の当局への非難は結局のところ最も下級官吏の岡っ引の無力への叱責になったか、一時は銭形平次と腕をきそった光屋幸衛門も寄る年波でどうにもならない。乾分の銭なし平太と呑込みの辰は幸衛門の娘お夏に寄せる想いだけは人一倍でも、至極のんびりしたもので、白い女の足ばかり見て歩いているうちに、お夏とお神楽長兵衛の息子清十郎の逢びきをつかまえて、パンチを喰ってしょげかえるのがせいぜいである。「やもり」を彫った彫り師をさがしているうち、奇怪なキャバレー「南蛮亭」へつれ込まれ、毒酒をのまされようとしたとき、ジャガタラお虎の出現で救われた。お夏も父に代わってこの南蛮亭へはいり込み、リンチにされかけた平太と辰を救うが、結局三人共窮地に追い込まれてしまった。その時南蛮亭がテロ団の本拠と判って清十郎を先頭に捕方が乗り込んで、遂に一味を逮捕した。清十郎とお夏ちゃんの熱い抱擁をよそに、大老からの褒美の金も下っ端の平次と辰には白紙ばかり、二人は相変わらず空っ腹をかかえて街をうろついていた。

解説

企画は「満月三十石船」の柳川武夫、脚本は「修羅八荒(1952)」の村松道平、監督は「大学の小天狗」の田中重雄、撮影は「原爆の子」の伊藤武夫である。出演者の主なものは、「新やじきた道中」の横山エンタツと花菱アチャコ、「母の罪」の折原啓子、「慟哭」の三橋達也、「決戦高田の馬場」の笠置シヅ子、「チョイト姐さん思い出柳」の柳家金語楼などである。

1952年10月9日より

  • 配給
  • 東映
  • 製作国
  • 日本(1952)
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