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あゝ特別攻撃隊

昭和十九年十月、戦局は日本に著しく不利となっていた。横須賀航空隊所属の海軍少尉・野沢は、休暇で母校の図書館を訪れ山中令子という少女と知り合った。戦局は益々重大化、神風特攻隊の出動となった。野沢の乗組む空母も撃沈され、彼は、林、大垣、神原らの同じ予備学生出身の同僚や、海軍兵学校出身の軍人精神にこり固まった小笠原少尉らとともに特攻基地・茨城県の百里原に転属を命じられた。赴任途中、野沢は令子に逢いたいと連絡したが、だめだった。百里原へ来た野沢、林、大垣、神原らは明日なき命を人生や戦争についての語り合いのうちにすごした。林は、女学校を卒業したばかりの妻と基地近くの宿屋で新婚生活を始めた。そんな彼らを、ここへ来て中尉に任官した小笠原は苦々しく思った。幼くして両親を失った彼は、只一人、一身を滅して悠久の大義に生きることこそ自分の使命と感じていた。ついに特攻機への出撃命令がきた。第一次は小笠原を隊長に林、神原の三機。その夜、訪ねてきた母を駅へ見送った帰途、海辺を歩く野沢は、小笠原に呼び止められた。「お前には貸しがある」−−小笠原の言葉に二人は殴り合った。血を流しながら、戦い終えた二人は固く手を握り合った。翌朝、第一次特攻隊が出発した。基地の丘に喪服の女が見送っていた。林の妻だ。彼女の胎内には子供が宿っていた。第二次攻撃隊が間もなく編成された。岡崎大尉以下、野沢、大垣ら十機。出撃の前日、野沢は東京へ行った。令子と逢うために。しかしようやく逢えた令子は、折からの空襲で、野沢の眼前で死んで行った。出撃の朝、基地にグラマンの編隊が来襲、七機の特攻機が撃破された。しかし、まだ三機残っている、あのグラマンを追って機動部隊を見つけよう−−三機の特攻機は飛立った。

解説

太平洋戦争末期、空しくも散った特攻隊員の青春を描いた戦争映画。「リスとアメリカ人 廃虚の銃声」の長谷川公之の脚本による新人・井上芳夫の第一回監督作品。井上芳夫は大正十五年東京生れ、浦和高校文科卒後昭和十三年二月大映入り、久松静児、市川崑、増村保造に師事していた。撮影は「川向うの白い道」の渡辺徹。

1960年2月10日より

  • 配給
  • 大映
  • 製作国
  • 日本(1960)
  • ジャンル
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  • スタッフ・キャスト