今宵誓いぬ

妹まゆみ、その婚約者河名泰樹と赤倉へスキーに来た延岡千春は、足の捻挫を救ってくれた神崎龍一と親しくなった。龍一は伯父所有のホテル銀嶺荘で冬季だけの支配人だが、ホテルのことは幼馴染の園枝が切りまわしている。その園枝は秘かに龍一を恋しているので二人の接近に胸が痛む。東京へ帰った千春は意外にも泰樹から求愛された。そしてまゆみとの婚約を解消するという。まゆみは千春が泰樹を誘惑したものと邪推し、怒りのあまり秘密にされていた千春の生い立ちを暴露した。千春は声楽家白浜妙子とある名門の青年との間に生れたが、その若い父は早逝し、母は千春をいまの父延岡に托して行方をくらましたままである。千春は悲しみのあまり延岡家をとび出し、龍一の銀嶺荘を訪ね女中となった。或る日この宿に泊ったコンドル・レコードの作曲家西村は千春の歌声をきいて歌手になるよう勧めた。龍一は伯父の新事業のため東京へ出ることになり、千春も一緒に上京した。千春は思いきって龍一に愛を打ちあけたが、龍一は自分に子供がある事を言いそびれて煮えきらず、千春も切ない思いのまま別れる。千春は西村を訪ね、歌に専念した。夜はキャバレーでも歌った。仕事のことでこのキャバレーに来た龍一は歌姫姿の変った千春に逢って驚く。美しい千春に言いよるキャバレー支配人岩上は龍一の同窓だが、目的のためには手段を選ばぬ卑劣漢であった。彼は泥酔の千春を列車に連れこんだ。千春の危いところを救ったのは龍一であった。二人の誤解もとけた。龍一は妻に先立たれ愛児エミ子は鎌倉にいる。千春のレコード歌手としての発表会も迫る頃、千春は龍一に導かれてエミ子の幼稚園に来たが、オルガンを弾いている園長こそ探し求める実母白浜妙子そのひとであった。奇しき親娘の対面、そして千春の晴れの発表会はその昔母が歌ったヒット曲「今宵誓いぬ」で始められる。

解説

マキノ兄弟の末弟真三の主宰するマキノ・プロダクションの第一回作品。雑誌『平凡』連載の大林清の原作を“次郎長三国志”シリーズの松浦健郎と大畠玉樹が共同脚色し、田中重雄が「北海の虎」に次いで監督した。撮影は「若様侍捕物帳 江戸姿一番手柄」の山中晋、音楽は万城目正で主題歌はコロムビアがタイアップしている。主演は「家族あわせ」の若原雅夫、「お祭り半次郎」の高峰三枝子のコンビ。助演は南寿美子、片山明彦、喜多川千鶴、千田是也等。

1954年1月21日より

  • 配給
  • 新東宝
  • 製作国
  • 日本(1954)
  • ジャンル
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  • スタッフ・キャスト