ひき裂かれた盛装

大阪の高級レストラン・ムラキの女主人秋原かおりは、優雅であでやかで隙のない女性だ。そのかおりと、利権屋で株の買占め屋、いわゆる裏通りの実業家佐倉恭は、彼女の提供した土地開発に関する情報で億に近い金を儲け、肉体関係があった。かおりのパトロン納谷嘉一は新興の大会社日本開発の社長で、納谷は彼女との寝室から、重大な情報がもれているとは夢にも知らない。一人娘の倫子を業界の名門瀬戸財閥の御曹子瀬戸進と結婚させて名実ともに一流になろうとしていた。倫子は、瀬戸と能登へドライブに来て偶然佐倉を知った。それ以来二人はしばしば会いお互に強くひかれるものを感じた。それを知った納谷は、秘書の伊村を使って佐倉をおどした。その伊村のおどしと、口裏からかおりのパトロンが納谷であることがわかった。そのため佐倉は納谷にいままで以上の闘志を燃やすのだった。一方、かおりは、以前に、納谷の悪らつな手で全財産をまきあげられた鈴木という老人を利用して、納谷を恐喝させた。納谷は今、それを公表されると、瀬戸家との結婚にさしつかえがありとみて、五千万円を鈴木に渡した。そして、いつもの通り、牛殺しと呼ぶ男に追わせ、金を強奪させようとしたが、この手をよく知っているかおりは、女ガード、花江を使って、牛殺しを軟禁してしまった。そんな頃、納谷は土地買占めの仕事で、倫子を連れて四国へ渡った。それを知った佐倉は後を追った。佐倉は、そこで倫子と会いそして結ばれた。その時、倫子の口から、納谷の買う土地が鳴門と知った。佐倉は全財産を鳴門につぎこんだ。大阪へ帰った倫子は、佐倉との結婚を望んだ。納谷は憤然とした。しかも倫子の口から鳴門の土地までばれているのだ。納谷は倫子に、土地の件でお前は佐倉に利用されたのだと告げた。佐倉を心から愛する倫子はそれを聞いて失踪した。佐倉は、倫子が失踪してみて、初めて倫子を愛している自分を知った。そんな佐倉にかおりは倫子との結婚をすすめ、自分は、納谷のために破産させられた前田興業の社長の娘で、納谷に復讐するために近づいたのだと告げた。そして、納谷と対決し、牛殺しから自白させた録音テープと引きかえに、鳴門の土地権利書と譲渡証を取りあげた。怒った納谷は、政府買収予定地から鳴門を外すことに奔走し、そしてそれを実現させてしまった。無理をして買い集めた佐倉の破産は必至であり、かおりの権利書も、紙クズになってしまった。だが、納谷は交通事故で亡くなり、その納谷の遺言に従って襲って来た殺し屋によって佐倉は重傷を負った。かおりから父の死を聞かされた倫子は、家に帰って来た。そして、佐倉のことも知った倫子は、通夜の席から、佐倉の病院へかけつけた。

解説

黒岩重吾の原作『夜間飛行』(光文社刊)を、「陽のあたる坂道(1967)」の池田一朗が脚色、「兵隊やくざ 俺にまかせろ」の田中徳三が監督した女性もの。撮影は「大魔神逆襲」の森田富士郎。

1967年6月10日より

  • 配給
  • 大映
  • 製作国
  • 日本(1967)
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