堕落する女

由緒ある家柄の橋本家の令嬢澄子は、大学教授である三好数馬という婚約者がありながら、ピアノ教師の山田礼二のもとに走ってしまった。母牧子と兄の圭之助は呆然としてしまった。しかし或る日、澄子が憔悴して戻って来た。礼二の、なぐるけるの乱暴と女狂いに逃げて来たというのだ。圭之助は三好に妹を救ってくれと頼みこんだ。澄子を愛する三好は、快よく澄子を許してやるのだった。アパートにとり残された礼二は、窃盗罪で警察にあげられた。すべては解決したかにみえたが、警察に礼二があげられたと知った時から澄子の態度がおかしくなった。“礼二がかわいそうだ、礼二には私が必要なんだ”と、口走り、またもや礼二のもとに去っていった。一年が経過した。礼二は、ストリップ劇場のピアニスト、澄子は、浅草裏のバーのホステスになりさがっていた。稼ぎは全部礼二がとりあけていた。そんな頃、三好と澄子が偶然会った。それを知った礼二は、三好をたらしこんで金を取れと澄子に命令した。三好と澄子はたびたび逢い、やがては温泉マークにとまるようになった。澄子をそそのかしたものの、三好と澄子の関係がわかると、礼二は半狂乱になって澄子を痛めつけた。初めて嫉妬にくるった礼二をみて、澄子はこの時礼二の本当の気持を知る思いだった。澄子は三好をさけて、礼二と一緒に浅草を引っ越した。しかし、その場所に三好が訪ねて来た。澄子をカーテンの蔭にかくして、礼二が三好に会った。三好は澄子と関係の出来たこと、それはまったく自分の罪であるが、心から澄子を愛していることを告げ、澄子を幸せにするためにも礼二に別れてほしいと頼んだ。冷笑をうかべながら聞いていた礼二は、澄子が、君と僕のどっちを愛しているかみせてやろうと言い、澄子が三好と泊ったことは自分の命令でやったこと、外にも何人かの客をとっているかを話すのだった。そして、信じようとしない三好の前に、澄子をカーテンの蔭から呼び出してみせ、それが事実であることを澄子の口から言わせた。三好はがっくりとして帰っていった。三好の姿が消えるとそこには礼二と澄子の抱きあって泣く姿があった。

解説

谷崎潤一郎の原作「愛すればこそ」を、「妻二人」の新藤兼人が脚色、「こころの山脈」の吉村公三郎が監督した文芸もの。撮影は「松川事件」の佐藤昌道。

1967年6月28日より

  • 配給
  • 松竹
  • 製作国
  • 日本(1967)
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