博奕打ち 一匹竜

大正の初期、東京に出て刺青師としての修業をつんだ渡世人相生宇之吉が五年ぶりに帰阪してみると、大阪の様子はガラリと変っていた。かつて彼の背に「一匹竜」の刺青を施し一時は彫師としての盛名をほしいままにした彫安も、新興の大勧進一家の鬼若組の組長五郎の非道な仕打ちにあえいでいた。兄彫久を日本一の刺青師に仕立てようとしていた五郎には、腕のたつ彫安の存在は目の上のコブであった。その五郎のため、影安一家は娘小雪を遊廓にまで出さなければならないほどの生活苦だった。落ちぶれたとはいえ今も彫安を師と迎ぐ宇之吉は、小雪を遊廓から引き戻すべく、女将お君にかけあった。お君は大勧進一家の親分豊三郎の娘であったが、宇之吉の熱意に打たれ、小雪を遊廓から、家に返すことを約束した。だがこれを立ち聞きした五郎は小雪を強引な方法で誘拐し、今度は四国の琴平に売りとばした。驚いた宇之吉は五郎と対する暇もなく、急きょ四国へ渡った。おりしも英国皇室から刺青の依頼があり、日本一の彫師の選抜も兼ねて大々的に刺青大会が催されることになった。五郎は兄彫久を日本一の彫師にするという長年の願望を今度こそ実現させようとふるいたった。あれこれ策をめぐらした彼は、四国の大親分寅松のはからいで、無事小雪を連れ戻してきた宇之助を船着場で待ち伏せて刺そうと計画したが失敗。いよいよ刺青大会の日となった。多くの出場者の中から、彫久の「狼」が優勝と決まりかけた時、突然会場に進み出た宇之吉は満場注視のうちに、彫安作「一匹竜」を披露した。万雷の相手のなか、みごと彫安の勝利が決った。自信をとり戻した彫安は再起を誓い、娘小雪も自由の身となった。一部始終を、初めて知った豊三郎は五郎を破門し、ヤケになった五郎は宇之吉と大格闘を演じるがついに宇之吉に倒されてしまった。警察に向う宇之吉の顔には男の仁侠道を守った誇りが輝やいていた。

解説

「お尋ね者七人」の小沢茂弘と、「男の勝負 仁王の刺青」の高田宏治がシナリオを執筆し、小沢茂弘が監督した渡世もの。撮影は「日本侠客伝 白刃の盃」のわし尾元也。

1967年5月3日より

  • 配給
  • 東映
  • 製作国
  • 日本(1967)
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