性の起原

ノイローゼで入院している彼は、相部屋の少女のベッドにはいり、少女に騒がれて医師から厳しく叱責された。五十一歳の彼は、友人の死を聞いて不安に襲われ、突飛な行動に出たのである。病院を出て出社した彼は、日毎に衰えていく自分の体力を意識して全く元気がなかった。それはまた息子の道夫が日毎にたくましく成長していくのを意識するからでもあった。ある日、道夫は彼が少女のベッドを襲ったことを知った。道夫はその少女を探そうと思った。やがて、洋服店に勤める少女を探しあてた道夫は、彼女を誘い出し、その後、二度、三度と会うようになった。そして、少女をドライブに誘った日、海岸の松並木で道夫は少女に挑んだ。それは親に代ろうとする自然の性本能だった。一方、会社で休職を要請された父親の彼は、再入院の身となった。虚脱したような毎日の中で、妻は病室に迷い込んできた鳩を飼い、彼を慰めようとするのだった。初夏、彼は突然、海へ行きたいと言い出した。結婚して二十三年ぶりに、二人は人っ子一人見えない、白くうねる砂丘で戯れあった。二人は裸になって泳ぎ、大自然の中で抱きあった。しかし、砂丘で警官に会った彼は、病院に帰ってからも人前でおどおどするようになった。ある日、会社に辞職願いを出した彼は病院の階段の下に落ちて死んでいた。彼の妻はひっそりと葬式を終えた。道夫は少女と結ばれていたが、彼の妻は、人間が生まれ、滅び、血のつながりを受け継いでいく天の摂理のようなものを見て、不思議な感動にうたれるのだった。

解説

「酔いどれ波止場」の新藤兼人がオリジナル・シナリオを執筆し、監督した。「本能」のテーマをひき継いだ異色作。撮影は「本能」の黒田清巳。

1967年6月28日より

  • 配給
  • 松竹
  • 製作国
  • 日本(1967)
  • ジャンル
  •  
  • スタッフ・キャスト