よか稚児ざくら 馬上の若武者

明治の黎明期、若き士族たちは時の政府打倒を策して、各地に集っていた。九州の人吉城下でも尚兵館の三宅伝八郎、河内彦治郎らは藩閥政治を憤り、日夜心身の鍛練に励むのであった。折しも、あちこちに反政府軍が起ちあがり、尚兵館からも唐木田が連絡の目的で鹿児島に発つが、国境で県令の刺客に斬られた。その頃、伝八郎のもとに東京から叔父の植村が訪れて仕官を勧めるが、尚兵館の同志と生死を共にすることを誓った伝八郎は断った。鹿児島の私学校から鉄砲が届いて、伝八郎の昔の家臣鶴造の水車小屋にそれをかくした。しかし、それは県令の一隊によって奪われた。叔父植村が、政府の密偵だったからである。そして県令の配下は一挙に尚兵館を押しつぶそうと襲撃をかけたが、これに対して尚兵館の若者たちは、敢然と起ちあがった。一方、県令の屋敷でこの事態を知った彦治郎は、尚兵館の同志に急を告げようとするが、一斉射撃を浴びて倒れるのだった。その頃、人吉神社には尚兵館の若者たちが家族ぐるみの背水の陣を敷き、県令の軍を迎え討とうとしていた。しかし、県令の悪に対抗するには尚兵館の戦力は弱すぎ、薩軍に援助を乞わねばならなかった。急使に選ばれたのは、三宅伝八郎である。馬上颯爽たる若武者ぶりの伝八郎は彦治郎の妹で恋人の雪枝をはじめ尚兵館全部の期待を背に政府軍の重囲に向って走り去った。その直後、人吉神社には激戦が展開され、若者たちの奮戦もむなしく遂に全滅かと思われたとき、薩摩軍の救援隊が到着した。みるみる崩れゆく包囲軍……。だが、伝八郎を必死になって探し求める雪江の眼に映ったものは、主人を失ってさまよう伝八郎の愛馬の姿だけであった。

解説

「男度胸のあやめ笠」の結束信二と「千姫と秀頼」の高橋稔が共同で脚本を執筆「あべこべ道中」の河野寿一が監督した時代劇青春篇。撮影は「千姫と秀頼」の山岸長樹。

1962年7月8日より

  • 配給
  • 東映
  • 製作国
  • 日本(1962)
  • ジャンル
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  • スタッフ・キャスト