お世継ぎ初道中

伯父松平藩主の急死で、その遺書からお大名の若殿になった松平忠信は、何事にもクヨクヨしない方だが、家老内膳にとっては、火の車の台所は頭痛の種、財政建直しの唯一の希望を、生前先殿がきめた莫大な持参金つきの本田家さつき姫との縁組に託した内膳の懸命な努力で、どうにか大名らしいお国入りの道中を初めたが、それを嘲笑しながら見守るのは江戸家老の頼母。一方のさつき姫も輿入れのため国元へ向ったが、金にものをいわせて忠信が宿場に着く頃には宿は殆ど買切られ、貧乏道中の内膳達は木賃宿に泊ることもしばしば。一体さつき姫とはどんなオカチメンコのうれ残りかと、女中姿に身を変えた内膳が下見分に行くと、何と美人の上に食事も一汁一菜の松平家とは比較にならぬ立派さに、内膳はすっかりド肝をぬかれた。松平家でも形だけの酒宴が開かれたが、忠信以外はオチャケのかっぽれでさっぱり気勢が上らない。寝静まってから徳利の中身を知って、これ以上内膳に苦労をかけてはと一行から抜け出した忠信は、自由な一人旅を始めた。後を追ってきた慌て者の家臣小山、大山を加えて愉快な旅になった。勝気なさつき姫は先行する松平一行を追い抜こうと旅人を雇ったが、居合せた忠信達に「ジャジャ馬姫」といわれてカンカン。家臣に捕えさせようとしたが群がる侍達を叩き伏せる忠信の見事な腕前に、グッときた姫だった。一方忠信の身代りになった家臣岡村は駕籠の中から手を振ったり宿場の女にウィンクして大いにハシャイでいたが、突然宿を訪れた姫と家老に大騒ぎとなった。いつになくソワソワして待っていた姫もしまりのない岡村に失望して大ムクレ。一行を心配して宿に忍んできた忠信はヤキモキするばかり。金のない忠信は村祭りの境内で、お蝶の仲間に入れてもらった。例のお見合以来ショゲてしまった姫の様子に心を痛めた老女藤村は、娘芸人一座をよんで気晴しさせようとしたが、舞台に出てきた忠信をみて姫は驚いた。睦まじそうにお蝶とデュエットを唄う忠信に嫉妬の情を感じるのだった。突然バラバラと現れた黒覆面の一隊は、この機会を逃しては忠信を殺せないと駈けつけた頼母達だった。さつき姫も何となく忠信に加勢してしまい、知らせをきいてやってきた松平家家臣と大山、小山らが加勢して遂に頼母以下刺客達は斬られてしまった。心配しながら見守っていたさつき姫もあの“無礼者”が忠信とわかって忠信の胸にとびこんでいった。翌日、日本晴の街道を二つの駕籠がオシドリのように並んで、歌に包まれながらお国元へ急いで行った。

解説

「悪名」の依田義賢と「旗本退屈男 謎の七色御殿」の結束信二の共同シナリオを、「ちゃりんこ街道」の内出好吉が監督した時代劇コメディ。撮影は「幽霊島の掟」の鷲尾元也。

1961年10月7日より

  • 配給
  • 東映
  • 製作国
  • 日本(1961)
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