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善人残酷物語

森野石松。威勢の好い男を連想させる名前だがその反対で、実直過ぎて気が弱い男である。彼は郵便配達人で、夜は河原で蛙を取って医療器具店へ解剖用材料として売り、娘みどりの結婚費用を作っていた。いつものように虫取り網をかまえ蛙を狙っていた石松は、散歩中の有閑マダムのスカートを誤まってまくりあげてしまった。警察で取調べにあたった部長刑事の名が都鳥、プンプン怒っているマダムのそばで、二人はすっかり意気投合してしまった。母親がいなくても素直で明かるいみどりは父親の身の世話をやいていたが、ある日、彼女は恋人の光男と結婚する費用を作るため就職したいといい出した。寝床に入った石松はいまさらのように二十年前を思い出していた−−あの日、恋人のとり子を待ち合わせていた時に拾ったのがみどりだった。とり子は子供を捨てなさいと言ったが、どうしても捨てることが出来ず今日まで育てて来た。とり子は外の男と結婚してしまった。−−花屋“みどり”の主人ツル子は同名のみどりの履歴書から、みどりが二十年前に捨てたわが子のような気がしてならなかった。かつての有名な学者、夫の松井新之介の遺作である「自由への道」の原稿を守って暮らしている彼女は、知り合いの都鳥部長にみどりの身許を調べてくれるように頼んだ。みどりと光男の結婚を快く承諾した石松は、光男の両親に会いに行った。しかし、出て来たのがスカートをまくり上げた有閑マダム、結婚話はすっかりおじゃんになった。その頃、花屋みどりでは、みどりが松井新之介とツル子の娘であることがわかり、みどり、光男を囲んでツル子、都鳥が祝杯をあげていた。そこへ光男の両親がかけつけ、みどりの素性を聞いてこの人ならばと結婚を承諾した。アパートでは石松がすっかり意気消沈。そこへ皆が押しかけて来た。びっくりする石松に都鳥が叫んだ。“森野さん、あなたはここを新夫婦のために出てもらい、そのかわりツル子さんの家に行ってもらいます”これを聞いてあわてた石松も、やがてツル子と互いに顔を見合わせてニッコリ笑うのだった。

解説

川内康範の原作を、「刑事物語 犯行七分前」の高橋二三が脚色し、「この髭百万ドル」の春原政久が監督した喜劇。撮影は「金語楼の俺は殺し屋だ!」の山崎安一郎。

1960年12月14日より

  • 配給
  • 日活
  • 製作国
  • 日本(1960)
  • ジャンル
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  • スタッフ・キャスト