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鴎よ、きらめく海を見たか めぐり逢い

藤下久美は平凡な事務員である。貧しい漁村から都会に憧がれて東京に出て来た。ある日、久美は誰もいない会社でパンストをたくし上げているところを、窓拭きゴンドラに乗って掃除をしていた倉田克夫に見られてしまった。これが二人の出逢いだった。久美に魅せられた克夫は、あらゆる方法で久美に近づこうと試みた。克夫には忌わしい過去があった。炭鉱労働者であった父の死により、家族は離散、克夫自身も泥まみれになって働いた。しかし、克夫には夢がある。レシポルコに住みつくことだ。レシポルコとは、地図にはのっていない克夫の空想上のユートピアなのだ。逢えば、眼を輝かせてレシポルコの話ばかりをする克夫と、都会で上品に生活を送りたい久美とは所詮通じ合うことができない。ある日、二人が浜辺に行った時、傷ついた鴎を見つけた。鴎を埋めようとする久美に、克夫は「生きているのに埋めるのか」と叫ぶ。「もういくらも生きられない。ぶざまに生きるの嫌だもの」と久美。そして、久美は克夫に別れを言った。失意の克夫は、宿直の仕事を見つけた。傷ついた鴎も一緒だった。ある日、高校生の頃から久美に目をつけていた拓也が、久美を訪れ、犯した。傷ついた久美は克夫の許へ走り、全裸になって「私をあげる」と迫った。そんな久美を克夫は追い出した。一カ月半が過ぎた。レシポルコを夢みて密航した克夫が捕まり、身許引受人に久美を指名した。久し振りの再会。しかし、妊娠しているのを知った久美は自殺を図った。久美を介抱しながら克夫は、久美に子供を産み結婚しよう、と力強く言った。二人に幸福の日が訪れようとしていた。だが、久美は克夫に内緒で中絶手術を受け、死んだ……。ある晴れた日。克夫は元気になった鴎を大空に飛ばした……。

解説

貧乏で不格好ながらも懸命に生きようとする青年と少女の真情を描いた青春映画。原作は脚本も執筆している岩間芳樹のオリジナル・シナリオ「現代日本艶歌」、監督は「モスクワわが愛」の吉田憲二、撮影は「不知火海」の大津幸四郎がそれぞれ担当。

1975年07月12日より

  • 配給
  • ATG
  • 製作国
  • 日本(1975)
  • ジャンル
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