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雨のアムステルダム

アムステルダムには、大小合わせて六千近い日本の商社がひしめいている。小西商事は、その中でも最低ランクの商社で駐在員は作田明一人である。ある日、明はスキポール空港で美しい日本の女性を見かけた。目と目が絡んだ一瞬、彼女は彼を無視したが、彼女は確かに中津涼だ。明は津軽の貧しい漁師の息子だったが、高校時代、惚れていたのが年上の網元の娘・涼だった。しかし彼女は明には目もくれず、いつもすましていた。その男を見下すような気位の高さは少しも変っていなかった。涼の居所はすぐ分った。近々開店するレストランJAPANのマダムとしてオランダに来たらしい。涼の居る所には常に、名実ともに日本一の商社である大日本商事の正岡清之助の姿があった。明が涼に接近しようとすると、必ず正岡や、その部下の片山が立ちはだかった。涼を追う明の目には、大日本商事の秘密機関の長として、大きな取引きに暗躍する正岡の行動が写り始めた。正岡を追っているもう一人の男がいる。報道カメラマンのピエールで、彼は涼が正岡の意のままに動くコンパニオンだと見抜いていた。明に突然、業務ビザの取消し通知が来た。そして小西商事は業務停止命令を受けた。正岡が明を追い出そうとしているのは明らかだった。涼は正岡の命令で人形のように取引き相手と寝るという。明の愛と怒りが奔流のように涼を押し流した。魂を失った生活を続けていた涼に、ある感動と歓びが戻ってきた。ピエールによれば、正岡のやり方は相手のセックスの弱点を見抜き、女を望めば中津涼、男を望めば美青年滝村を使っていたのだ。その滝村がある日、死体となって運河に浮かんだ。次は涼だ、とピエールは言う。明は涼を救うために正岡と取引きした。正岡は世界の鉄鋼王ヴィテンシュタイン五世との取引きを目前に控え、両刀使いの五世のために明が滝村の代りをやり、五世が涼を選ぶか、明を求めるか、結果はどうあれ、取引きが済み次第、涼を自由にするという条件を出した。しかし涼とピエールは正岡の手口を良く知っていた。涼自身は勿論、これで明も正岡から自由になることはできない。だが、涼を激しく愛しすぎた明は、涼と共にヴィテンシュタイン五世の居城に向かった。五世が明を選んだ時の、涼の悲痛な顔。明は五世を刺した……。城を出た二人は明るかったが、涼はこの自由がつかの間であることを知っていた。城門で待っていたピエールには、去っていく二人の後姿は、幸せを求めるために死に急ぐかのように見えた。

解説

アムステルダムを背景に、現地の日本人社会からはじき出された男と女が、日本の大商社の黒い霧の渦にまきこまれるサスペンスドラマ。脚本は「華麗なる一族」の山田信夫、監督は「陽は沈み陽は昇る」の蔵原惟繕、撮影は「華麗なる一族」の岡崎宏三がそれぞれ担当。

1975年03月21日より

  • 配給
  • 東宝
  • 製作国
  • 日本(1975)
  • ジャンル
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