カレンダー・レクイエム 黄色い銃声

光は温の経営する芸能プロ「番町プロ」の社員である。番町プロとは実は「殺し」の会社であり、光は殺し屋であった。光は自らの記憶を失くしていた。唯一富士を背にした桜の大樹の下、幼い男の子と女の子が彼方よりポーンと湧いて出た男にマシンガンを乱射された思い出を持つ。その桜の木には確か拳銃がつきたてられていて、その男の子はその拳銃を引き抜き女の子を守ったかが気がかりであった。その男の子がきっと光で、女の子が陽子だと信じていた。光は陽子を捜そうと思ったのだ。光の殺しは快適だった−−。ある時、番町プロに、光の殺しの現場が逐一盗み撮りされたフィルムが送りつけられた。それからだった、全てが狂い始めたのは……次々にフィルムは送られてきた。まるで、誰かが光の映画を作っているようであった。そんなある日、温が殺されて番町プロは解散してしまい、光は、陽子を求めて放浪の殺しの旅に出た。それでも映画は光についてまわって、どこでどう撮られているのか、光の元に光の映画が送られてくるのだった。光は、雪国のどんづまり、廃虚と化した街で、陽子に出会った。光は激しく陽子を求めたが何かがすこしづつ違っているようだった。廃虚の街の人一人いない筈の映画館に陽子に導びかれ入ると、又ぞろ映画が光を襲った。大きな桜の木の元に立つのは、成長した光と陽子。彼方から男がマシンガンを乱射し走ってくる……光が叫んだ。「畜生、これは思い出なんかじやねえ!映画じゃねえか!」−−やがて、春。街の雪が消えると、あのなつかしい富士を背にした桜にエアーライフルがつきたてられた風景が現われた。光と陽子は桧舞台に立つ面持ちで、桜の元にスクッと立った。その時、彼方から……哀しい結末が駆けてきた。

解説

過去の記憶を失なった男が、一つのイメージに固執することによって起こされる事件を描く。脚本は十河満、監督は脚本、撮影も兼ねた新人伴睦人が担当。

1974年4月24日より

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  • 製作国
  • 日本(1974)
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