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白い雲と少女

岩手山のふもと、閑散とした田舎駅に都会風の少年が降りたった。そこへ一人の少女が二輪馬車に乗って来た。少年はその馬車に飛び乗った。少女は迎えに来たのが、こんな少年なので驚きながら家に向った。二人が去った後に、老人の医者が待合室で誰かを待っていた。そこに村長が来て、例の少年を探した。少女は老医者を、村長は少年を迎えに来たのだった。二人はあわてて村に戻った。県会議員を狙う村長安井宗作は、後援者で東京の実業家山内の息子竜一を夏休み中、自分の家で世話することにしていた。一方、村長の分家安井真介は宗作の弟で、酪農を営んでいて、娘の八重に獣医を呼びにやったら手違いで竜一を連れて来てしまった。八重の家について、竜一は本家と分家の違いに気づいた。竜一をつれて来て、父や伯父に叱られ八重は大ムクレ。宗作の家では娘の朝子や俊枝が大歓迎。が、竜一は牛がめずらしく、八重の家に行きたがった。竜一、八重、朝子は釣に行き、八重が川に落ちた。竜一が彼女に自分の着物を貸した。朝子にはそれが面白くなかった。牛の仔が生れるので、八重と竜一は徹夜で世話をし、二人の仲は親密になった。二人の噂は村中にひろまった。驚いた宗作は真介を呼んで二人の交際を厳禁した。突然、竜一の父親が宗作の家にやってきた。彼は宗作に汚職事件が表に出そうなので当分かくまってくれというのだ。そして新聞を竜一には見せぬように命じた。父親が自分の様子を見にきたとばかり思っていた竜一は、何も知らず八重や朝子たちと盆踊りに出かけた夜、かねがね竜一に反感を抱いていた八重と幼な友達の哲夫や村の青年たちから、“汚職商人の息子”と罵しられた。血相変えて家へ駈けつけ詰問してくる竜一に、父親も、とうとう真相を打ち明けた。竜一は、「ぼくはお父さんよりも、この村の農家の子に生まれた方がはるかに幸せだった」とつぶやくと、いつも八重と仔牛を洗ってやる湖へと馬を駈った。数時間後、竜一の水死体は涙でうるんだ八重の目に見守られながら、父親の許へ帰ってきた。呆然と立ちつくすひとびとの耳に、盆踊りのはやしが騒々しく竜一の死を掻き乱すように聞こえていた。

解説

浅野太市の原案により「都会の空の非常線」の池田一朗と「少女」の森本吉彦が脚本を書き、「舞妓の上京」の森永健次郎が監督した純愛篇。撮影は「海の勝負師」の間宮義雄。

1961年9月20日より

  • 配給
  • 日活
  • 製作国
  • 日本(1961)
  • ジャンル
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  • スタッフ・キャスト