十手舞

江戸時代、影十手と呼ばれる町奉行さえも手を出せない大きな悪を闇から闇に葬るものたちがいた。江戸伝馬町牢屋敷では、犯科帳で斬罪が申し渡された弥助たちが、江戸町奉行、内海孫兵衛の眼の前で影十手となる。20余年後、松平周防守は渡海赦免状(貿易許可証)を捏造して、江戸に棲む回般間屋叶屋源四郎に与え、そこを隠れ蓑に国禁であるところの抜け荷をやらせ藩の財政を裏から支えようとしていた。弥助たちは松平を叩き落とすため、動かぬ証拠である海渡赦免状を手に入れようとする。弥助は松平の手先、牙の伝蔵の情婦、お蝶と出会う。彼女は弥助が捨てた妻お咲と瓜二つだった。実は弥助の娘だったのである。母と自分を捨てた父親を憎んだお蝶は、その後死んだお咲の仇を討つため、弥助を倒す覚悟でいた。そのために弥助の敵、伝蔵の配下となったのだ。二人の再会を蔭でのぞき見た薊のおれんの通報でそのことを知った伝蔵は、お蝶をおびき寄せる。弥助たちは拷問にあい絶命、伝蔵も死にお蝶は捕えられた。死刑を宣告された彼女に、孫兵衛は弥助のやり残した大仕事を片づけるため影十手になれとせまる。父に人間の悲しさを見たお蝶は十手を握る。一方、源四郎は下女の帯締めに隠された渡海赦免状を捜していた。いきさつを知らない妻花絵が人手に渡してしまったのである。源四郎の目付、佐吉はおれんを使い捜索を続行させた。殺されたおちかという女の帯が例のものだとにらんだおれんは、それを握る同心柿崎を尾行した。片や同じ帯締めをねらうお蝶も柿崎に近づき、帯を手にしたのもつかの間、叶屋の手先が現われ闘いとなる。帯締めはまん中でぷつりと切れ、半分づつお蝶とおれんの手に渡った。お蝶を罠にかけ帯締めの半分を手に入れたおれんは、浜田藩家老頼母と合議して、源四郎を始末することにした。藩に捨てられた源四郎に同情したお蝶が彼を救う。お蝶と源四郎はおれんに殴り込みをかけ、おれんは壮絶な死を遂げた。赦免状をどうしても欲しければ自分を殺せというお蝶に源四郎は斬りかかるが、お蝶の鞭の前に倒れる。

解説

影十手となって悪を闇から闇に葬る女性の姿を描いた時代劇。「週刊サンケイ」連載の五社英雄、森幸太郎原作の劇画の映画化で、脚本は「薄化粧」の古田求、監督は同作の五社英雄、撮影も同作の森田富士郎がそれぞれ担当。主題歌は、世良公則(「Against The Wind」)。

1986年9月20日より

  • 配給
  • 松竹
  • 製作国
  • 日本(1986)
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