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君は裸足の神を見たか

吉村茂と鈴木真二は、幼い頃からいつも一緒だった。父のいない真二は、家業の自転車屋を手伝ったり、新聞配達をして母親、ハツ子を手助けしている。茂は絵の具や画材を買うために、毎日一緒に夕刊を配っていた。高校3年の夏になり、進路を決める時期が来た。茂は秘かに美術大学に進学したいと考え、次の絵画コンクールに、一つ年下の美少女、菊地春代を描いて出品しようとしていた。音楽部でフルートを吹く春代は、茂にとって憧れの存在だった。ある日、茂は真二から、中学の同級生でクリスチャンの高校に通う寺島瞳をずっと好きだったと告白された。内気な真二は、瞳を毎日駅で待ち伏せしながら、声もかけることができない。茂は瞳を呼びだし、真二に声をかけてくれるよう強引に頼み込んだ。そして、真二は瞳と言葉を交わすようになるが、瞳はある日、茂に「ずっと好きだったの、茂君のこと」と打ち明けた。茂の家では父親、良三が、茂の進路希望に猛反対していた。良三は自分の跡を継ぐことを望んでおり、絵画コンクールに入選したら、進学を許すと告げた。茂は春代を描くことに精をだすが、思うように進まなかった。そんな時、瞳に絵を見せようと自分の部屋に誘って抱いてしまう。その後も、二人は真二に穏れて何度か関係を持った。ある日、真二が趣味で書いていた詩が、新聞に掲載された。それは茂との友情を書いたものだった。だが、茂は素直に祝福できない。二人は、もう自転車の車輪のように、一緒に回ることができなくなっていた。真二は瞳を家に招待し、ハツ子の手料理でささやかなお祝いを開いた。心暖まる雰囲気に、瞳の心は揺れ動く。茂とのことを、みじんにも疑わない純粋な真二に魅かれはじめていたのだ。茂の絵はコンクールに落選した。腹立ち紛れに瞳を引っぱりだした彼は、強引に抱こうとする。瞳は声をたてて泣くのだった。誰とも会いたくないと言って、学校も休んでいる瞳を心配した真二は、彼女の家を訪ねた。ドアごしに問い質す真二に、瞳は「寝たの、何度も。相手は真二君のよく知っている人」と答える。翌日、新聞に真二の事故死の記事が載った。葬儀の夜、茂はハツ子に自分のせいだと泣いて詫びた。そして、雪道へと飛びだして行く。瞳の家の前で、彼は店がつぶれて越していく瞳一家に出会った。もう何にもないとあっけらかんに別れを告げる瞳。駅に駆け込み、列車に飛び乗った茂は、窓ガラスに写る自分の顔を睨み、拳をたたきつけた。茂は新たなる道を、ひとり歩き出そうとしていた。

解説

東北を舞台に、友情を軸にして揺れ動く18歳の若者の青春を描く。脚本は西村宣之、監督はこれが第一回作品となる金秀吉、撮影は金徳哲がそれぞれ担当。

1986年4月26日より

  • 配給
  • ATG
  • 製作国
  • 日本(1986)
  • ジャンル
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  • スタッフ・キャスト