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スパイ戦線を衝く

ベルリン郊外の闇を突いて一台の自動車が疾走する。ベルリン市に入る手前でその車は音もなく停った。中には三名の男が乗っていて首領と見える男が体格の良い若者に偽造の身分証明書を渡した。ドイツ国民ウィリアム・シュルツと署名がしてある。そのまま闇に消えた彼は、やがて姿を軍用飛行機製作所に現した。こうして一名のスパイはドイツ陸軍最新式重爆撃機の秘密を盗み去った。他の一名はある手段を用いてこの国の有数な技師ブロッカウと知り合いになった。彼は金属鋳造に使用する粗製油気化器を発明した天才的な科学者であったが、虚栄心の高い妻を持って絶えず借金に苦しめられていた。スパイが彼に眼をつけたのは勿論である。ブロッカウは良心に責められながらも美しい妻の微笑を見たいばかりに次第に深入りして行った。彼は親友の従事している全ドイツの新しい水道設計図まで入手しようと企てた。第三のスパイが近づいたのは彼の宿泊しているホテルの若い女秘書である。彼女の許婚が戦車部隊に入隊している事を探知したスパイは、巧妙な手段を用いて若い兵士に近づき新戦車の秘密を探ろうとした。彼等が如何に奸悪な手段を弄するか。彼等の跳梁に対してドイツ軍部並に諜報部は如何なる攻防策を用うるか。一名のスパイを捕らえる為にドイツ軍部は空軍、戦車隊、戦闘艦をも動員する。警察、消防署も呼応し、警察犬や消防車を疾駆させる。祖国を売る売国奴、金銭で動く国際スパイは最後の一人まで残滅させねばならぬのだ。スパイは至る所にいる。銃を執って国を護ると同時に頭脳を以て国を護らねばならぬ。彼等は毒ガスよりも怖ろしい殺戮力を持っているのだ。戦時の敵にも増して平時の敵こそ怖ろしいのだ。

解説

「ヒットラー青年」「大空の驚異」の製作者カール・リッターが自ら監督・製作した映画で、「ジャンダーク」「ヴェニスの船唄」のヴィリー・ビルゲルと「ヴェニスの船唄」のリダ・バーロヴァが主演し、「国際間諜団」のテオドル・ロース、新人イレーネ・フォン・マイエンドルフ、ハインツ・ウェルツェル、ルドルフ・フェルナウ、「モンブランの王者」のゼップ・リスト其の他が助演している。W・ヘルツリープとH・ワグナーが協力して原案を樹て、レオンハルト・フュルストが脚色したもの。撮影はギュンター・アンデルスが受け持った。

  • 配給
  • 東和商事
  • 製作国
  • ドイツ(1936)
  • ジャンル
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  • スタッフ・キャスト