天使の詩

英国大使ダンカン(A・クェイル)は、妻を亡くして沈んでいた。二人の幼ない子供、兄のアンドレア(S・コラグランデ)は八歳、弟のミロ(S・ジャンノッツィ)は四歳だった。ダンカンはアンドレアに母の死を告げたが、アンドレアは取り乱した悲嘆の様子を見せなかった。ダンカンは、それをアンドレアが気の強い性格だからと思いこんだ。事実はそうでなく、アンドレアは、すでに母の死を知っていて深い悲しみに打ちのめされていたのだった。ダンカンはそれに気づかず、しきりに病弱で幼いミロのことを心配した。彼はアンドレアに母の死をミロに話さないよう、あくまで旅行中だと隠しておくよう約束させた。アンドレアは、父と話をしたり甘えたりしたかったが、公用に忙しいダンカンは、その時間を持たなかった。ある雷雨の夜、雷鳴におびえてミロは「ママが死んだ!」と口走った。ダンカンは、アンドレアが約束を破って母の死を喋ったものと思い込んだ。父と子の間の違和は父の誤解によって次第に大きくなっていった。ダンカンは、ミロの悪戯はすべてアンドレアのせいだと思いこむようになった。“パパはどうして僕を信じてくれないんだ”アンドレアは一人で泣いた。ある日、アンドレアは、父の戸棚からテープレコーダーを見つけた。そのテープには、懐かしい母の声が入っていた。淋しくなるとアンドレアはその母の声に聞き入った。そんなところへ、ダンカンの叔父ウィル(J・シャープ)が、彼等の家にしばらく滞在することになった。叔父は見かけは頑固な意地悪爺さんだったが、根は善良でやさしい人だった。アンドレアの素直な純真な心をかわいがり何かと世話をやいてやるのだった。そして、ダンカン家を立ちさるさいに、叔父はダンカンとアンドレアの間の誤解を見抜き、ダンカンにもっと、アンドレアと話しあう機会を作るよう忠告するのだった。ダンカンは、忠告を入れ、アンドレアをローマに連れて行くことにした。喜こんだアンドレアは、その日は朝早く起きて車の水洗いを始めた。その時ミロが起き出してきた。アンドレアがローマに行くと知ったミロは、一緒に連れていけと駄々をこねた。そして、それが駄目だと知ると、アンドレアが止めるのも聞かず、水道の水を頭からかぶった。病弱なミロは、たちまち熱を出してしまった。これもアンドレアのせいになった。アンドレアは決定的に打ちのめされてしまった。淋しさをまぎらわすため、アンドレアは庭にある“度胸だめしの枝”と呼んでいる枯木の枝にぶらさがった。そして、いままで進んだことのない先まで進んだ時、枝が折れた。アンドレアは背骨を打って重傷を負った。ダンカンが急を聞いて帰って来たが、アンドレアは、二度とさめることのない深い眠りに落ちていった。

解説

フロレンス・モントゴメリーの原作を、「国境は燃えている」のコンビ、レオ・ベンヴェヌーティとピエロ・デ・ベルナルディが脚色、「ブーベの恋人」のルイジ・コメンチーニが監督したヒューマンなロマン。撮影はアルマンド・ナンヌッツィ、音楽はラファエレ・ギグリアが担当。出演者は、「悪のシンフォニー」のアンソニー・クェイル、「軽蔑」のジョルジア・モル、子供の二人には兄のアンドレアにステファノ・コラグランデ、弟のミロにシモーネ・ジャンノッツィが扮し、ほかにジョン・シャープなど。製作はネロ・メニコーニ。

1967年11月11日より

  • 配給
  • 日本ヘラルド映画
  • 製作国
  • イタリア(1966)
  • ジャンル
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  • スタッフ・キャスト