『あの空をおぼえてる』 竹野内豊&水野美紀 インタビュー

2008.04.15

“何が本当に大切なのかを再認識させてくれる作品”
出席者:竹野内豊、水野美紀
『あの空をおぼえてる』 竹野内豊&水野美紀 インタビュー
幸せな家族に突然降りかかった不幸。娘の事故死を自分のせいだと責める父親、激しい喪失感に打ちひしがれる母親、そして、その影響をモロに受けてしまう息子。幸福だった家族の生活が一変し、悲しみに沈む。しかし、健気に振舞う息子の影響から、やがて一家は再生の道へと歩み始める。
生と死、幸福と不幸、シンプルでありながらも深遠なテーマに迫った感動作『あの空をおぼえてる』
夫婦であり、親である深沢雅仁と慶子。揺れ動く心の機微を繊細に演じた竹野内豊さんと水野美紀さんにお話をお聞きしました。


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竹野内さんは『冷静と情熱のあいだ』以来、久々の映画出演ですが、本作を選んだ理由は?
■竹野内 豊(以下、竹野内):「シンプルな話で、伝えたいメッセージが明確だったからです。また登場人物たちの心理描写にも感銘を受けました。大切な人を思う気持ちが、脚本を読んでいてとても伝わってきたので、出演させて頂きました」
水野さんは?
■水野美紀(以下、水野):「不幸な出来事が起こる家族の話なので、悲しい部分もありますが、脚本を読み終えたときに、温かい前向きな気持ちになれました。みんなで頑張って生きていこうというメッセージが素敵だと思ったので、出演させて頂きました」
それぞれ演じられた深沢雅仁と深沢慶子をどのような人物だと思いましたか?
■竹野内:「家族を大事にしているお父さんだと思います」
■水野:「夫にも子供にも愛情を注ぎ、家事もしっかりこなす。そして、お洒落にも気を遣う理想のお母さん像でした。そして、母親だからか、とても芯のある強い女性だと思いました」
母親を演じるに際して、なにか特別な思いはありましたか?
■水野:「疑似体験はありましたね。いずれ自分が結婚して、子供を授かったときにはこんな感じかしら?って思いました」
お互い共演されてみていかがでしたか?
■竹野内:「水野さんはその場の空気を察して、さりげない気配りをしてくれます。役者同士にしかわからない空気感というものが存在するんですが、例えば、立ち位置にしてみても、ちょっとずれるだけで空気感は変ります。水野さんは何も言わなくても、その空気を読んでくれます。あと、なかなかOKが出ないシーンがあって、少し行き詰ってしまったことがあったのですが、その時に水野さんが劇中でかかる音楽をかけてくれたんです。それでとてもリラックス出来て、その後、気持ち良く撮影に取り組むことが出来ました。本当にありがとうございました」
■水野:「いえいえ、そんな(笑)。私も竹野内さんと同様、ちょっと張り詰めた空気が辛かったので、音楽が聴きたいと思ったんです」
■竹野内:「あそこで音楽をかけてくれなかったら、あの緊迫感から脱することが出来なかったと思います」
水野さんは竹野内さんにどのような印象を抱かれましたか?
■水野:「竹野内さんは真面目で、周りの人にも気を遣って下さる方です。思慮深げで物静かな雰囲気ですが、そのままの方だと思いました。今回、夫婦役ということで、撮影中いろいろなお話をさせて頂きました。会話の中からお芝居のインスピレーションをもらえましたし、心洗われる瞬間さえありました。お芝居に関しては、嘘がないというか、真っ直ぐに気持ちを投げかけて下さるので、それを受け止めて、素直に反応するだけでお芝居が成立しました。これがお芝居の楽しさであり、ゾクゾクする瞬間なんです」
■竹野内:「一緒にお芝居していて、とても楽しかったですし、刺激をたくさん受けました」
息子である英治を演じた広田亮平くんと、娘の絵里奈を演じた吉田里琴ちゃんがとても印象的だったのですが、一緒にお仕事されてのご感想は?
■水野:「いやー、可愛かったですね」
■竹野内:「可愛かった」
■水野:「2人とも天才でしたね」
■竹野内:「天才ですね。冨樫森監督は一切、子供扱いしませんでした。時には難易度の高いことを要求するのですが、それに子供たちはきちんと応えていました。子供たちは役者という自覚があるので、子供扱いしてはいけないんだと思いました。でも仕事が終わると、すぐに子供に戻ります。子供の力は凄いですよ」
■水野:「待ち時間の間、里琴ちゃんは竹野内さんにまとわりついていましたね。抱っこしてもらったり、肩車してもらったりと本当の親子みたいでしたよ」
■竹野内:「懐かせ過ぎました(笑)」
■水野:「あははははっ。いいじゃないですか!」
■竹野内:「何をしたわけでもないんですけど、“パパ、パパ、抱っこして”って言ってくるんです。それで抱っこして、ふっと気が付くと亮平くんがジッとこっちを見ているんです。彼はお兄ちゃんだから、我慢しているんですよ」
■水野:「お兄ちゃんになっていましたね」
■竹野内:「後から亮平くんのお母さんに、“さっき本当は抱っこしてもらいたかったみたいです”って言われました」
■水野:「そんなことがあったんですか?」
■竹野内:「そうなんです。だから亮平くんに“肩車してやろうか?”って聞いてみたんですけど、亮平くんはシャイだから“いいよ”って遠慮する。“でも本当はしてもらいたいんだろう?”って、無理やり肩車してあげたら、もうニコニコでした」
■水野:「2人とも現場でプロの俳優として臨んでいましたけど、年相応の子供らしいところもありました」
■竹野内:「本当に無邪気で、可愛くて、役作りなんてしなくても、自然と愛情が出てきました」
では、本作に出演されて、何か意識の変化はありましたか?
■水野:「生と死、人間の強さと弱さ、愛情、自分の身近にいる人たちとの関係について、改めて考えさせられました」
■竹野内:「居て当たり前だと思ってはいけない。当たり前のことが大切なのだと強く感じました。どんなに物が溢れていても、愛情を注ぎ、想い合える人がいなければダメなんだと思いました」
取材・文:伊藤P
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『あの空をおぼえてる』
配給会社: ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公開日: 2008年4月26日 (土)
劇場情報: 新宿バルト9ほか全国にて
公式HP: http://www.sonypictures.jp/movies/anosora/
©2008 「あの空をおぼえてる」 フィルムパートナーズ