『クローバーフィールド/HAKAISHA』マット・リーヴス監督 インタビュー

2008.04.04

『クローバーフィールド/HAKAISHA』の監督が愚痴って愚痴って、大ヒント!
出席者:マット・リーヴス監督
『クローバーフィールド/HAKAISHA』マット・リーヴス監督 インタビュー
2007年7月2日、『トランスフォーマー』の上映館で、なんの前触れもなくスクリーンに映し出されたドキュメンタリー・タッチのティーザー・トレーラー(特報)。ホームパーティーを撮影していたビデオカメラが捕らえたものは、突然、N.Y.の街が破壊され、恐怖に慄き、逃げ惑う人々の姿だった・・・
さらに劇場ロビーには、首のない自由の女神がデザインされたインパクト大のポスターが掲出された。
その後も、この謎の映画の正体は極秘のものとされ、ネット上には映画の本筋ではない周辺情報が掲載され始めた。そして、全米公開2ヶ月前にして、この未知の映画のタイトルが『Cloverfield』だと発表される。
さまざまな憶測が飛び交うなか、2008年1月、全米で公開され大ヒットを記録。早くその全貌が知りたい!日本人の渇望感がマックスに達したこの4月、遂に『クローバーフィールド/HAKAISHA』が日本上陸を果たした。
監督はマット・リーヴス。本作の仕掛け人であるプロデューサー・J.J.エイブラハムとドラマ「フェリシティの青春」で仕事をした縁で、本作の監督となった。しかし、それは死ぬほどつらい仕事となったようで、口から出てくるのは愚痴、愚痴、愚痴・・・
でも、最後に“HAKAISH”に関する大ヒントを提示してくれた!


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プロデューサーのJ.J.エイブラムスからこの企画を聞いた時に、どう思いましたか?
■マット・リーヴス監督(以下、マット)「NYをぶっ壊すわけだからスケールはでかい。『インディペンデス・デイ』みたいな話だ。そして、特殊効果をふんだんに使う。やったことのないことばかりだったし自分には合わないと思ったから、実はやらないという返答をしたんだ」
それでも結果、オファーを受けました。その理由は?
■マット「“何か”がNYの街を蹂躙して破壊するという話だけど、“リアリティや信憑性を持って、その世界観を描いて欲しい”とJ.J.から言われたんだ。“ファンタジーを真実のように描くことが、君には出来る”ってJ.J.に太鼓判を押されたら、断れなくなっちゃったんだ。まぁ、面白そうだなぁってことで、やっちゃいました(笑)」
やり終えてのご感想は?
■マット「疲労困憊だよ。やるよって言ってはみたものの、脚本は出来ていない。更に脚本家が「LOST」に携わっていて、週末にしか書けない状態だった。なのに撮影初日が決まっていた。出来ることからやろうとしたら、やれる部分はやったことのない特殊効果ばかり。あと、この手の作品は、普通80日から100日ぐらいの撮影期間があるんだけど、たったの38日で撮った。というか撮影期間は、もう決められていたんだ」
すごいですね
■マット「それだけなじゃい。実際に撮影が始まったらもっと大変だった。作品の性質上、照明もたかずにビデオカメラで撮影することが出来るから、常に回しっぱなしなんだ。俳優も大変だったと思うけど、本当にしんどかった。コンセプトの立ち上げから1、2年以内に映画を完成させるなんてのは、有り得ないよ。それをやったんだ。公開されるまでほとんど死人のようだった」
でも、これだけ日本でも話題になっていますから、苦労も報われたのでは?
■マット「その通りだね。とても興奮しているよ。初来日だけど、日本には前から興味があって行きたいと思っていたんだ。やる気もなかった映画のキャンペーンで、初めて日本を訪れるなんて皮肉だね(笑)。それはさておき、日本の方々がこの作品をどう受け入れてくれるのか知りたいね」
脚本がないのにどうやって撮影を開始したのでしょうか?
■マット「脚本が出来上がっていないから、その日に撮る内容を役者やクルーに口頭で説明しなくちゃいけなかった。途中で脚本が出来上がったんだけど、特殊な紙に書かれていて、もしもコピーを取った場合、誰がコピーしたかがわかるようになっていた。だから脚本の内容が外部に漏れる心配をしなくて済んだ。それは少し気を楽にしてくれたよ」
先ほど撮影が大変だったとおっしゃいましたが、極秘の中、どうやってロケを敢行したのでしょうか?
■マット「主にNYとLAで撮影したんだけど、本編を撮る前に撮影した特報を『トランスフォーマー』の初日に流したから、みんな映画の存在は知っている。だからロケをするにしろ、スタジオで撮るにしろ、タイトルを何度も変えたんだ。ある時は『スラシオ』、またある時は『チーズ』ってね。でも、すごいんだよ。撮影の前日、ネットを見たら“明日、『Cloverfield』が『チーズ』という嘘のタイトルを掲げて、マンハッタンで撮影される”という記事が、僕の写真付きで掲載されていたんだ」
それは、『Cloverfield』の追っかけの様な人がネットに上げたのですか?
■マット「そうなんだ。秘密にすれば秘密にするほど、人は追究してくるんだ。その記事が出たときは、もう撮影も終盤を迎えていたから、あまり影響はなかったんだけどね」
では、これから見る人に鑑賞のポイントをお願い致します
■マット「既に本作を見た人の中には、“結局なんだったんだよ!あれは!”って怒った人もいたようなんだけど、そうじゃないんだ。大切なのは、出来るだけ主人公たちと同化して、彼らと一緒に体験して感じることなんだ。理由も何も判らない状況を、意図的にひとつの視点でずっと描いているわけだから、判るわけがない。そもそも謎解きを必要とする類の作品ではないんだ」
でも人は理由や原因を知りたがる生き物です
■マット「確かにそうだね。ネットで調べまくれば、かなりいろんな情報を拾うことが出来るよ。映画の本筋とは違うビジュアルとかも出てきて、なかなか面白いと思うよ。あと、本編の中にもヒントを所々に入れているよ。ネットの情報と本編に散りばめられたヒントを寄せ集めれば、自分なりの解釈を築き上げることが出来ると思う。特に最後の2分間に、明らかにHAKAISHAが何であるかがわかるビジュアルを仕込んであるから、目を凝らして見てご覧!」
主人公がカメラを○○に向けるシーンですよね?
■マット「そう!そのシーンだ!」
<マット・リーヴス監督 プロフィール>
『暴走特急』の脚本家としてキャリアをスタート。ドラマ「フェリシティの青春」のクリエーターとして注目を浴びる。このドラマでJ.J.エイブラムスとパートナーシップを結び、本作へと繋がる。映画では1996年にグウィネス・パルトロウ主演『ハッピィブルー』で長編映画監督としてデビューを飾っている。
その他、マーク・ウォルバーグ主演『裏切り者』(‘00)の脚本と製作を手掛けている。
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『クローバーフィールド/HAKAISHA』
公開日:2008年04月 5日
劇場情報:TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国にて
配給会社:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
オフィシャルサイト:http://www.04-05.jp/
(C)2008 Paramount Pictures. All rights reserved
取材・文:伊藤P