『世界で一番美しい夜』出演:月船さらら インタビュー

2008.05.09

“ヌードは堂々と、潔く出来ました”
出席者:月船さらら
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『暗いところで待ち合わせ』で知られる天願大介監督の作品。ミステリー、オカルト、エロス…様々な要素を持ちながら、最後は大爆笑に包まれるノンジャンル&オールジャンルムービー。地方に左遷された新聞記者、一八は、やる気のない同僚に幻滅し、本社への復帰を賭けて、クラブの美人ママの黒い噂を追う。しかし、村には保険金殺人より恐ろしい隠された陰謀があった。田口トモロヲのシリアスな演技と石橋凌のはじけっぷりに大爆笑。
今回はミステリアスで魅力的なクラブの美人ママ“輝子”を演じられた月船さららさんにお話を伺った!


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本作をご覧になっての感想をお願いします
■月船さらら(以降、月船):「脚本を読んだ時点で、「もの凄い作品になるだろう」と予感はしていましたけれど、それを上回る凄い作品になっていました」
本作の出演の経緯は?
■月船:「まず脚本を読ませていただいて衝撃を受けて「これがどうなるのか見届けたい」というか、私もこの作品に参加したいと思ったのでオーディションを受けましたね」
結構順調にヒロイン役を獲得されたのでしょうか?
■月船:「まず一回目のオーディションを受けたときに、私は今までほぼ舞台しかやったことが無かったので、どういう風にしゃべっていいのか分からなくて、「普通、映画ってどうやって喋るっけ?」っていうところから始まって受けたので、これは落ちたなと思いました。でも「もう一回来てください」と言われて、次の面接で決めて頂きました」
月船さんはもともと舞台出身ですが、演技の面で舞台でやっている事が映画に反映されてたりしますか?
■月船:「そうですね、撮影が始まる前までは映画と舞台って全く別物だと思っていたんですよ。舞台では2000人とかの劇場で演じることが多かったので。でも始まってみると、「あ、一緒だな」と思いました。なので最初は凄く恐怖心があったんですけれど、現場に入ったらもうその場の雰囲気に飲み込まれて、映画で大きな役が初めてとかそういう感覚も飛んじゃって、ただひたすらその世界にのめり込んで演技しました」
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逆に違う部分とかありましたか?
■月船:「周りのものが全て本物っていう事です。舞台だったら“街”という設定でも、実際には無い嘘の“街”を本物の“街”の様にみせるのが私達の仕事だったりもするんです。でも映画では“綺麗な夕焼けのシーン”なら、本当に綺麗な夕焼けを撮ったり、そういう本物の力に凄く助けられました。引き込まれる材料の1つにもなりましたし、そこは舞台とは大きく違うかなって思いました
それと、本当に繊細な気持ちの変化もカメラは捉えるので、気持ちが大きく変化することが雑に映ってしまうのを分かっていなくて、それを監督によく言われました。映画というのはもっと繊細に感情表現するものなんだなと。初心者のような感覚ですけど(笑)」
天願監督と演技についてコミュニケーションを取られたようですね
■月船:「はい。監督も私がほぼ映画が初めてということで、私に対して不安というか「大きな賭けだった」と仰っていましたし。撮影の一番最初から私は参加させてもらって、自分の出番がない日もずっと撮影現場に付いて回っている感じでした。その中で少しずつ私に演技のヒントになるようなことを与えてくださって。
例えば「輝子はこんな学校に通っていたんだろうね」とか「輝子はこんな性格なんだろうね」と少しずつ話してくださって、それが凄く大きなヒントになりました。撮影の最初に輝子が旦那を亡くして泣くシーンがあったんですが、そこで監督に「ちゃんと輝子の記憶を使って泣いて」って言われた時に意外にもすんなりその世界に入れました。それは撮影までのいろんなコミュニケーションがあったからだと思います」
ではその輝子を演じるにあたって月船さんが心がけた部分はどこでしょうか
■月船:「輝子が担っている部分は映画の中でとても大きくて、大切な事を表現しなくてはいけなくて。というのも、女性が様々な縛りから解放されて自由になる姿を輝子は表現していると思ってるからなんです。
輝子が何に捕らわれ生き続けているのか、何から解放されたいのかを、芯を持ってちゃんと演じようと心がけていました」
前半部分ではすごくシリアスな輝子が、後半からまるで別人のように解放的になりますよね。その演技の切り替えはどのようにされたのでしょうか
■月船:「その1つはさっきも言った風景ですね。最初はお店の中での輝子しか撮っていなくて、そこから外の撮影で自然にふれて私の心も解放されたように感じました。海に行くところとかも「私は本当に自由になったんだ!」と感じました(笑)」
自然に切り替えが出来てたんですね
■月船:「そうですね、何に気をつけてそうなったのか分からないのですが、脚本に書かれている事、置かれている環境を忠実に感じていたら、自然とそうなったんですよね。撮影はほとんど台本通りの順番だったので、ずっと薄暗いスナックの中で撮影していたときは、やっぱり自然に心が閉ざされていたような部分もあるし、それが解放された時に輝子じゃなくて私自身も凄く解放されたのかもしれないですね。たぶん輝子と私はリンクしている部分が多いのかもしれません」
どんな所がリンクしていたのでしょうか
■月船:「私も今までいた世界から飛び出して新しい所に向かいたいのに、何かが私を縛り付けて解放できない部分があったから、たぶん輝子のセリフとか置かれている環境に共感したのかなと。なので撮影が終わったら自然に私もなんだか解放されたというか「自由ってこういう事なんだ」と感じました」
今回ヌードのシーンにも挑戦されていますよね。それに対してしがらみというか抵抗はなかったのでしょうか
■月船:「全く考えなかった訳ではないんです。例えばヌードになって今までのファンの方はどう思うんだろうとかそんな事も考えたけれども、意外にそんなこと全然ふっ切れちゃうくらい脚本に力があったので「この脚本のためだったら全然できちゃう!」と思いました。それでも撮影が始まる前は「大丈夫かな。ぎりぎりになって逃げたくなるんじゃないかな」と思ったりもしました。でも結果、堂々と、潔く出来たと思います。
あとはやっぱり輝子にとって、素っ裸で仁王立ちになる事はとても重要な事だったので。それがこんな脱ぎ方をする必要はあるのかな?と思うようなシーンだったら気持ちが揺らいだかもしれないけど。完全に必要なシーンで、大切で、しかもそこに私は感動的なものを感じるので、全く迷いがなく出来たんだと思います」
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確かに重要なシーンですよね。脱いでいるのに「良かったね」と感じてしまって、今までと少し違った感動がありました。現場の雰囲気も良さそうですね
■月船:「ベテランの方ばかりいらっしゃって、ずっと演技を見させていただいて、ただひたすら感動してました。やっぱり凄い。というか皆さん素晴らしい仕事ばかりをされている方だったので、そういう方が「この映画、良い意味でちょっと変だよね」とかそういう話を聞いて、良い作品に向かって皆の気持ちが固まっているという事がひしひしと伝わるような現場でしたね」
演技で苦労されたシーンはありましたか?
■月船:「輝子の別人格(?)が語りだすシーンが一番難しかったです。「どうして語りだしちゃうんだろう」と考えた時に、輝子自身の辛い人生とどこか相手の苦しみが共鳴しあって、急に乗り移ったように相手の色々がみえてくるという解釈をしました。そうすると、監督が輝子の人生について出してくれてたヒントとかが膨れ上がっちゃって、相手の人生を語っている時に私自身が本当に悲しくなっちゃったりするんですよ。それじゃあダメで、第三者がしゃべっている様なクールさとか、突き放した感を出さなければいけなかったので凄く難しかったです。何度も何度も撮り直したり、監督に何回も話を聞いたりして撮ったシーンですね」
では逆に気に入っているシーンはありますか?
■月船:「仁瓶と結ばれて、その後に明け方二人で海の近くを歩いて、船に乗り込むシーンですね。要村に対して『バイバイ』ってやっているシーンがものすごく気持ちよくて感動的でした」
本作ではエロでテロを起こして「世界で一番美しい夜」を作るという設定ですが、月船さんが思う「世界で一番美しい夜」とはどういうものでしょうか
■月船:「世界で一番美しい夜ですか・・・、笑いながら誰かとご飯を食べて終わる一日(笑)」
実はそれが一番幸せですよね
■月船:「はい。一人じゃなくて誰かと温かいものを食べて終わる一日。それを全世界の人がしていたら幸せだなと思います」
では最後に、今後も女優活動をされるうえで「こんな映画に出演してみたい」とか「こんな女優を目指してる」とかがあればお聞かせ下さい
■月船:「とにかくいろんな映画にチャレンジしたと思っています。舞台もそうなんですけれども、作家性の強い作品にたくさん出会いたいです。自分が脚本を読んだ時に魂を揺さぶるような感覚になれる作品に出会って、そしてその作品に必要とされるような女優になりたいと思います」
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『世界で一番美しい夜』
配給:ファントム・フィルム
公開:2008年5月24日
劇場:渋谷シネ・アミューズほかにて公開
公式HP:http://www.beautiful-night.net/
スタイリスト:伊島れいか/ヘアメイク:小口あづさ