vol.5 映画「パンク侍、斬られて候」永瀬正敏さん、浅野忠信さん」編

インタビュー:伊藤さとり
インタビュー日:2018年6月30日(土)

 

――お二人が石井岳龍監督作品にご出演されたのは、いつ以来になられるのですか?

永瀬:2年前の映画『蜜のあわれ』(16)以来ですね。

浅野:映画『DEAD END RUN』(02)以来です。

永瀬:エ!そんなに(驚)

浅野:僕、そうなんですよ。多分、“石井岳龍さん”と改名(以前は“石井聰亙”)されてからの作品には、出演してないんですよ。

永瀬:本当に!? だから、弾けちゃってるんだ(笑)

浅野:そうなんですよ。“あの時に教わった感じでいけばいいんですよね”って感じで行ったら、行き過ぎちゃったみたいで(笑)

 

――今回の作品は、石井岳龍監督チームの役者陣がずらりと出演されていますね。観ているだけで、とても楽しかったです。お二人の役どころも強烈過ぎてビックリしました。役どころを聞いた時はいかがでしたか?

永瀬:僕は、素直に嬉しかったですよ。“〈猿〉か!キタ!”って(笑)ゼウスって神の名前をもじった大猿のデウス役でしたし、石井さんが〈猿〉をどう撮るのか、興味がありましたね。

 

――特殊メイクもされたんですよね。

永瀬:最初のメイク合わせの時は、京劇っぽくして、ちょっと解るようにするって感じで、スタッフの皆さんに気を使ってもらっていたんです。“いやいや、〈猿〉だし、石井さんの作品だし、全部〈猿〉にしよう”って提案したんです。真夏の京都での撮影って事を忘れてましたね(笑)

 

――全身毛むくじゃら状態で、さらに着物まで。相当暑かったのではないですか?

永瀬:滅茶苦茶暑かったですね。レーシングドライバーさんが着る冷水が回るTシャツみたいな服を着させてもらって、それがないと3分ぐらいしかもたなかったですよ。

 

――本当に映画愛と監督愛に満ちていますね。

永瀬:それだけですね。原作が町田康さん、脚本が宮藤官九郎さんですしね。それこそ、岳龍組が全員集まっているし(笑)

 

――浅野さんの〈教祖様〉も、あのメイクも演技も凄すぎて。

浅野:(笑)あのメイクは、全て考えてもらったものです。

 

――劇中の腹振り踊りも(笑)

浅野:俺だけ踊ってない(笑)

永瀬:ビックリしたよ(笑)5人ぐらい先生が付いて、もの凄く真剣に練習してたんですよ。その姿を見ていたので、出来上がったのを観たら普通で......笑ったよ。

浅野:無理でしたね(笑)最初は、振り付けもあってビデオも頂いて練習してたんです。

永瀬:北川景子さん達と同じ振付で、本当に真剣に練習してたよね。それなのに、全然踊ってないんだもん(笑)

浅野:パンク精神が出ちゃったんです(笑)

 

――それを監督が受け止めてくれたんですね。

浅野:監督は、ほぼ全部受け止めてくれました(笑)普通の監督だったら、絶対ダメって言われるだろう事も全部受け止めてもらいました。

 

――そんな石井岳龍監督の魅力を教えてください。

永瀬:普段、台本を読んで、それよりも上って言うか、もっと面白くしようって思って頑張っていくんです。石井監督の場合、その振り切り具合が半端ないっていうか、監督の一言二言が、僕が想像しなかった事を言われるんですよ。今回、僕は“神”ですから、“神の大猿”ですから。映画『蜜のあわれ』の時は、“仏”ですからね。

浅野:人じゃないんですね(笑)

永瀬:“きたきた、石井組”って感じだよね。監督はここじゃなくって、こっちを見てるんだって思うよね。僕らがデビューした頃から、監督はスター監督でしたからね。

浅野:今回に関しては、僕は好き勝手にやらせてもらったんですけど、それを監督は全部前向きに受け止めてくれていたんです。あまりにも滅茶苦茶に演じるから、きっと共演者の人たちも困っていたと思うんですよ(笑)北川さんとか、凄く笑いをこらえてたし。怒られるかな?って思っていると監督が傍に来て“今のは、宇宙が砕けたって事でいいんですか?”って(笑)凄い、先を見ていて、答えを監督が言っているから、“ああ、そうだと思います!”って(笑)

 

――浅野さんのシーンは、台本があってないようにさえ感じました。

浅野:最初に台本を読んで、本当に図々しい話なんですが“監督とは、主役でやりたい”って思ったんです。だから“絶対にやらない、出来ません”って言ったら“ダメです”って言われて(笑)台本は、きっちりと読んでいたので“茶山は、台詞を喋んない方がいいと思うんですよね”って話をして、宮藤官九郎さんに台本を書き直してもらったんです。それで喋らない設定なんですよ。

永瀬:喋ってたじゃん(笑)

浅野:最後の最後に喋りました(笑)

 

――石井監督の作品は、アートのような印象もあって、面白ですよね。
お二人が、同じ画角で共演されるのは、久しぶりですよね。

永瀬:凄く久し振りです。トークショーとかでは、一緒になるんですが、共演は本当に久しぶりですね。

浅野:元々の台本ではデウスと茶山が同じシーンで共演するのはなかったんです。後から監督から“同じシーンに入れちゃいました”って言われたんです。

 

――お互いにリスペクトしている部分は、沢山あると思いますがどこですか?

永瀬:唯一無二の存在ですよ。彼がやっているのを見ると一緒にやりたくなる。一個の手で打ち返してこない。毎回打ち返す方向が違うし、毎回投げて来る方向が違う。僕は一緒にやらせてもらうと楽しくなる。そろそろ、また一緒にやりたいですね。僕等世代で一発!“日本映画ここにあり”って作品をやりたいですね。戦うんじゃなくて、仲良しの作品がいいかな。

浅野:僕は、最初から弟的なポジションでいればいいかなって。お兄ちゃんに付いて行く感じ(笑)僕が10代の頃から永瀬さんが居てくれて、だいたい先に道を切り開いていてくれて、その後を行く、ずっとそうでしたね。だから、最近の永瀬さんの活動もずっと見ていますし、そういう意味では“次どうしますか?どこに付いて行けばいいですか?”って感じですね。永瀬さんって、凄いですよね。先に行って、よくわからない事を初めて、後々、凄く意味のある事をやってくれている事を知る。

 

――お二人とも海外の監督さんとお仕事をされていますが、海外の監督さんから受ける刺激を教えてください。

永瀬:アベンジャーズ!ハリウッッドだからね!浅野には、早く自家用ジェット機を買ってもらいたい。使わせて欲しいよ。

浅野:(笑)

永瀬:思っている事を伝えると、その意見を噛み砕いて納得したら使ってもらえる。意見はないの?アイディアはないの?ってよく聞かれますね。より深く入っていける感はありますね。用意されているものを演じるのではなく、ちゃんとした役に対する自分なりの意見を言いなさいって言われますね。

浅野:本当にそうだと思います。面白くないとダメ、面白い事をすると素直に受け入れてくれる。石井監督も近いような気がします。いいアイディアは採用してくれる。

 

――若い俳優さんから、海外の監督さんと仕事をしたいとよく聞きます。この人だからここ(画面の中)に居ることって、とても重要だと思うんです。お二人は、それを実現されていますよね。オーディションも受けられるんですよね。

永瀬:大きな作品は、そうですね。

浅野:永瀬さんが言うように、“どう?”って聞かれるんですよ。自分で真剣に面白いものを作っていかないとオーディションは落ちますから。もちろん、その役に対して合わないって事もあると思います。でも、面白ければ、何かしら話は続いていくんで。とても鍛えられますね。

永瀬:その通り、その通り。求めているものが常に新しい事なんです。おざなりに適当には、ダメだと思いますね。

 

――お二人で映画を作りたいともおっしゃっていましたが、この先のやってみたい事を教えてください。

永瀬:昔から僕は“日本の新人監督であろうが面白い本であったのなら、海外のトップスターが来て、日本で仕事をしてくれるようになる”って言い続けているんですよ。思いが通じれば、きっと来てくれるようになるよって。この間、河瀬直美監督の映画『Vision』でフランスの名女優ジュリエット・ビノシュとご一緒したんです。そうゆう風になっていくといいですね。海外の人たちは、浅野とかを知ってくれている存在だから、浅野がこの作品に出演しているだけで来てくれる人が増えると思うんですよ。それとミックスしたような日本映画、もしくはアジア映画、ヨーロッパ映画を作り続けていけたら、もっともっとグローバルに面白くなっていくんじゃないかなって思いますね。そういう作品を一緒にやっていきたいですね。今は、配信もあるしね。それも一つの手ですよね。

 

――確かに監督さんの力だけでなく、役者さんの力でも人が集まりますね。

浅野:確かに、若い人たちの力がどんどん広がっていると思います。僕は、それに乗っかっていくだけですね(笑)

永瀬:音楽監督とかやってみたら。

浅野:いいですね、やってみたいですね。でも僕の場合、滅茶苦茶になっちゃうかもという不安があるんですけど(笑)

永瀬:浅野版文芸大作とか?

浅野:俳優以外の仕事もやってみたいと思っています。監督だったり、プロデューサーだったり、自分で想像するのは簡単ですけど。一回やってみた時に難しさを感じると思うんですけど“そんなに遠回りじゃなくてもいいんじゃない?”って思う時もあるんで。それが、監督なり、プロデューサーとして発言出来れば、簡単でいいんじゃないかなって(笑)

 

――映画(*)をお撮りになられた事がありますよね。
(* R246を描いたオムニバスムービーR246 STORY 浅野忠信 監督作品 「224466」)

永瀬:僕、出演してるんです。演出は“浅野忠信”でしたね(笑)加瀬亮君と“このままいっていいんですよね”って話して。“浅野を信じていくんだよ”って撮影しましたね(笑)

 

――永瀬さんから見ると音楽系なのですか?

永瀬:音楽系ってわけではないけど。音が真ん中にあったけど、物語を構築していく、脚本を青山真治さんが書いていて、その先をちゃんと見ている、理屈じゃない、演者チームも“浅野を信じるんだ!”ってノリでしたね。そういうチームが集まると面白いものが出来ると思いましたね。

 

――役者を続ける上で、大事にしているものは何ですか?

永瀬:信じる事ですね。映画を信じる。いくら辛い事があっても、映画を信じているので、きっと良くなるはずだって。観るのも、演じるのも両方で映画を信じている。挫けそうになった時でも“また映画に出られる!いつか、面白い作品に参加できる!”そう思ってきたので。信じるですね。

浅野:僕は、役を楽しく出来れば(笑)役が面白くないと結構疲れちゃう。だから、今回も図々しくも自分だったら、どうすれば一番楽しいだろうって考えて、意見を言う。もちろん、断られる事もあるんですよ。

 

――自分の楽しさを信じているんですね。

浅野:そうじゃないと疲れちゃう。役を演じる上て、一つでも楽しみを見つけないと、わけがわからなくなって苦しくなって疲れちゃうんです。

 

――発言する事って、恐いし、難しいですよね。でも、それをやっていかないと個性を出せないですよね。永瀬さんは写真家として、浅野さんはバンド「SODA!」のメンバーとしてアーティストとしても活動をされています。私は、お二人のクリエーターとしての活動も見ていきたいです。今後、共演してみたい役はありますか?

永瀬:映画でもドラマでもいいんですが、残るもの。時代を越えても、次の世代、その次の世代の心に残る作品。“あのおじちゃん達は、あんな面白い事をしてたんだ!”って思ってもらえる作品で共演したいですね。もちろん、二人だけでなく、監督をはじめ、その作品に関わった全ての人を含めて、後世に残る作品を残したいですね。誰か、企画してくれないですかね(笑)

浅野:逆に皆さんに、どんな作品でどんな役を演じてもらいたいのか?お聞きしたいですね。

 

――私は、スタイリッシュで尖がっていて、そして内容が深い作品が見たいです。

永瀬:いいね、浅野が音楽もやって、俺が写真撮る、みたいなのも取り入れて。

浅野:うん、皆さんが、期待する作品をやってみたいです(笑)“こうゆう作品を待っていた!”って言ってもらえる作品を一生懸命に作って“頑張ったぜ!これだよ、俺たち”って言いたい。

 

――最後に、下半期から来年にかけての活動を教えてください。

永瀬:色んな感じの映画をやる予定ですね。2作目とか、初めての長編とか、新人の監督さんとご一緒する事が多いですね。

浅野:なんかあったけ?「しいたけ占い」の通りに過ごしていこうと思います。

永瀬:「しいたけ占い」って何?

浅野:今、流行ってるんですよ。凄く、当たるんです(笑)

永瀬:知らないな、調べてみるよ。

浅野:最近、下半期のが出たんですよ。上半期の占いで、馬のモチーフのキーホルダーを持つといいって書いて、馬がプリントされたベルトを買いました。

一同:(笑)

永瀬:こういうところが、パンクですね。

 

――お休みがあったら、行ってみたい所はありますか?

浅野:山口県。

永瀬:ずっと、倉敷に行ってみたいと思ってる。

浅野:僕、行ったことがあります。いいとこでした。

永瀬:名前の響きかな?小さい時から行きたいんだよね。今だに行った事ないんだよね。岡山には行った事があるんだけどね。

浅野:そうそう、倉敷芸術大学の学園祭に出たことがあります。1時間ぐらいある曲をやったんですが、リハーサルの時、アンコールで演奏する3分ぐらいチューニングの違う曲をやったんですが、そのままギターのチューニングを直さないで本番に入っちゃって、メンバーが演奏中自分を見るから何でだろうって思ってて指摘されるまで15分ぐらいチューニングの違うまま演奏しちゃいました(笑)

 

――パンクでロックですね(笑)

 

 

『パンク侍、斬られて候』
公開日:2018年6月30日より
劇場:全国にて
配給:東映
公式サイト:http://www.punksamurai.jp/
(C) エイベックス通信放送

▼作品ページ
https://cinema.co.jp/title/detail?id=82711

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伊藤さとり(いとう さとり)

映画パーソナリティ。邦画&洋画の記者会見や舞台挨拶を週5回は担当する映画MCであり、年間500本以上は映画を見る映画コメンテーター。
TSUTAYA店内放送「WAVE-C3」で新作DVD紹介のDJ、ケーブルテレビ無料放送チャンネル×ぴあ映画生活×Youtube:動画番組(俳優と対談)「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、雑誌「シネマスクエア」コラム、スターチャンネルで映画紹介他、TV、ラジオ、雑誌、WEBなどで映画紹介のレギュラーを持つ。心理カウンセリングも学んだことから映画で恋愛心理分析や恋愛心理テストも作成。

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