vol.4 映画「榎田貿易堂」監督:飯塚健&俳優:渋川清彦&俳優:滝藤賢一 インタビュー


インタビュー:伊藤さとり
インタビュー日:2018年6月9日(土)

 

ーー飯塚監督は、渋川さんとガッツリとお仕事をされたのは、今回が初めてとお聞きしました。

飯塚:はい、ガッツリ組むのは初めてです。以前、滝藤さんにもご出演して頂いたドラマ「神奈川県厚木市 ランドリー茅ヶ崎」(16年TBS系)の一話のゲストとしてちょっとだけ渋川さんに出演して頂いているんです。それは、「榎田貿易堂」があったからで(笑)。この映画の企画自体は、その時からありました。

滝藤:あの時から動いていたんですか!(驚)

 

ーー「榎田貿易堂」見心地が気持ち良くって!オリジナル作品で、演技が楽しい方々が大勢出演されている作品なので。渋川さんと滝藤さんは、この企画を聞いた時、キャスティングもふまえて、どう思われましたか?

渋川:最高ですよね(笑)やっぱり、先輩の余貴美子さんや根岸季衣さんに出演して頂けたのは感動しました。余さんの芝居に対する姿勢を見て“スゲー!”って思いました。飯塚監督の作品に出演するのは、これまで監督が積み上げてきた事への評価だと思うし。そりゃもう、最高でしたよ。

 

ーー渋川さんの主演で、地元・群馬県が舞台ですから、なおさらですよね。

渋川:そうですね。皆さん、芝居が上手くて、味のある人たちが出演しているんで。俺は、実際、滝藤君みたいに基礎を学んできたわけでもないし、芝居に関しては自信がないんですよ。芝居諭で言ったら、滝藤君に語らせるべきだし、彼は語ることができるから(笑)。俺としては“俺がいい”って思ってくれるところで進んで行くしかないので、そういう感覚ですね。

滝藤:僕は、あの時期とてつもなく忙しくて(笑)出来上がったものを見て、“俺、こうゆう役、やったことない!”って思いました。とても等身大だったんだなって。

飯塚:キャスティングの話でいうなら、滝藤さんにも、本を何も書いていない時にお話をしているんです。『Welcome to my café』っていうコーヒーメーカーの広告対談でご一緒した時の待ち時間にすごくアバウトにお話して、その時に滝藤さんが“面白そうだね”って(笑)何となく出演してくれそうな感じだったので“滝藤さんなら、どういう役が面白いかな?”って思いながら書いていったんです。

 

ーーつまり、ある意味、皆さん「アテガキ」という事ですね。

飯塚:ある意味、そうですね。

 

ーーオリジナル作品を映画化するのは、難しいと思います。どうやって成し得たんですか?

飯塚:それは、プロデューサーの狩野善則さんの力。そこを納得してくれる人とお金を出してくれる人がいないと出来ないんで。そこを、狩野さんが“いいよ”って出してくれたので。やっぱり、プロデューサーの力だと思いますね。

ーーそこには役者さんの力、監督の脚本力も必要だと思いますが。

滝藤:それも、あったって事で(笑)

 

ーーお互いの才能について、どう思っているのですか?

滝藤:監督の脚本は、俳優が上手く見える。リズムがいいし、セリフも面白いし、掛け合いになっていくから、俳優は“得”をするんですよ。だから、若い子達も皆、生き生きしている。何でだろうと思ったら、やっぱり、監督の演出!しっかり演出をされますよね。僕、飯塚さんほど、監督に演出をされたことないですね。

渋川:本当に?

滝藤:飯塚さんは、ちゃんと全部動きまでつけるのが演出だと思われている。ほとんどの現場、お任せされることが多いですよ。

飯塚:だって、貿易堂の前とかでフリーでやったら、動かない場合もあるじゃないですか。動いてくれないと保たない、動いてくれないとカットバックの嵐になっちゃうんで困る。だから、パッと見て動きを付けていく。何もないところほど、難しくて。それは映画「笑う招き猫」でいうバッティングセンターとか。貿易堂の中は、室内なのである程度動きが決めやすい。外とかは、自由じゃないですか。ただ、看板が落ちた時にあの構図にしたいから、それに向かって動きを付けていく。それが、演出なら確かに演出ですね。舞台と一緒ですね。シーンとシーンの場所って当然毎回あるじゃないですか、そこの中での動線ってありますよね。動線がつけられれば、マスターが撮れるみたいな。

 

ーー渋川さんも演出されたのですか?

渋川:もちろん。でも今回は、俳優陣に任せて頂けたところがあります。というか、監督自身も今までの演出方法とは違う事をやろうという気持ちがあったんで、それは現場でも言ってたんです。

滝藤:洗濯機のくだりは、長回しでしたね。痺れましたよ(笑)

渋川:長かったね。あそこは“ああくるんじゃないか?”って感じがあったし、テンポはあったよね。

飯塚:あそこぐらいですよ、レール(撮影カメラ用)を意味なく敷いたの(笑)。突然の雨で、ああする以外、時間内におさめる方法がなかったんです。

 

ーー渋川さんや滝藤さんは、監督から演出されない方達だと思っていました。

渋川:若い監督達は、俳優に任せる方が多いですよ。

滝藤:そうですね。

 

ーー主演の渋川さんから見た飯塚監督ならではの、独特な演出とかありますか?

渋川:演出というか言葉の言い回しですよね。テンポ感も独特だし、主語と述語を反対にするのは、監督ならではですね。

飯塚:渋川さんは、本読みなり、リハの段階でわりとカッチリ作って来て下さるんです。それに最初の段階で“ここは、群馬弁になっていいかな?”とか確認してくれるんです。あとは、動いている段階で台詞が“これは邪魔”とか足りないから足すとか、僕はよくやるんで、それは普通より多いかもしれないですね。美術が面白いなら、それを触って欲しいから、意味がないと触れないから、その場で台詞とか変えちゃうんです。その場で乗っかってくれるのは、事前に準備をしていないと出来ない事だと思うんですよね。

渋川:まあ、『榎田貿易堂』の3人(森岡龍、伊藤沙莉、渋川清彦)とは、よくセリフを合わせていましたからね。居酒屋に行っても何となく3人とも台本を持参していたし、その場で“ちょっと、やってみようか”って “こいつ、台詞入っているのかな”って探りあいみたいな事もしていました(笑)

ーーちょっと怖いですね。若手は、緊張するんじゃないんですか?

渋川:いや、反対に嬉しいんじゃないかな。

滝藤:贅沢な時間ですからね。

渋川:一緒に飲みに行くこと自体が、あまりないですからね。実際、時間が合わなかったりしますからね。だからああゆう場にポンと放り込まれる事が得というか、いいんですよね。

 

ーー渋川さんも滝藤さんも“この人じゃないとこの役は、演じられない!”と思わせる役者さんだと私は、思っています。

滝藤:つまり、替えがきかないって事?

 

ーーそうです。そんなイメージがあります。そうなりたい役者さんは、沢山いると思います。でも、実際にはなれない人が多い。

渋川:“なりたい”って思って、なれるもんでもないしね。

滝藤:渋川さんは、そうだと思うけど……僕もそうですか?

渋川:滝藤君もそうだと思うよ。

飯塚:幅はあると思うけど。

渋川:俺の方は、“自分に近い役”が来るよね。滝藤君の場合は、幅があるから。

滝藤:俺、幅があるんですよ(笑)

渋川:自分で言うんかい(笑)褒めると照れで、のっかるから(笑)

 

ーー滝藤さんから見た役者・渋川清彦の魅力は、どこだと思いますか?

滝藤:だって、渋川さんしか出来ないじゃないですか。あの喋り方、存在感。モデルであったり、ミュージシャンであったり、色んな顔がありますからね。一回芝居の勉強をした人は、渋川さんのような芝居は、絶対に出来ない。いつまでも、今感じたかのように喋っている。あれは、特に僕のような舞台あがりの役者には出来ないですよ。今感じたように喋る為に、滅茶苦茶いろんな物を重ねて、あそこにもっていく。

渋川:前も話した事があるんだけど、滝藤君は“崩すのが、難しかった”って三浦大輔監督の現場の時に言ってたよね。

滝藤:そうそう、(「愛の渦」撮影時)僕が何をやっても“芝居しないで下さい”って三浦監督に言われて。

“いや、芝居しに来てるんだけど”って思ってましたけど(笑)

渋川:(笑)

滝藤:もう駄目だって思って(笑)僕は、最初の方で監督に“努力するので、諦めないで下さい。粘って演出して欲しい”って伝えました。


ーー渋川さんから見た役者・滝藤賢一の魅力は、どこだと思いますか?

渋川:俺は、滝藤君から役者として学ぶところしかないから。初めて会った時から凄いから。迫力というか、上手いし。結構、俺なりに盗んでますよ(笑)

飯塚:努力家ですからね(笑)。でもその努力を見せない。

渋川:若い子と話していると、結構すぐ台詞を覚えられたりするんだよね。一日前に覚えて入れてきたりするんだよね。“すごいな”って思う(笑)

滝藤:(笑)すごいですよね。

渋川:例えば、台詞を6割~7割ぐらい入れていって出来るものなの?

滝藤:やった事ないですね。

渋川:俺も台詞を6割~7割ぐらい入れた感じでやりたいんだけど……恐いんだよね。

滝藤:ありえん。恐ろしいっす。

飯塚:大先輩の余貴美子さんは、やった事があるって言ってましたよ。面白みのない脚本の時は、台詞が入んないものは、入らない。入れなきゃいいのよ。”って言ってました(笑)

渋川・滝藤:凄いな。

渋川:現場で出てくる生の言葉に変えちゃうって事ですよね。それが出来ればね。

滝藤:とんでもないな(感嘆)

 

ーー渋川さんも滝藤さんも日々、映画やドラマに出演されていますよね。様々な作品に出演され、役柄も違う中、どのように役を自分の中に落とし込んでいくのですか?

渋川:それは、わからないな。

滝藤:そういう事を考えて演じていません。とにかく相手とセッションをする。

渋川:あとは、その人の持っている物じゃないんですか。役者って変わっている人が多いから(笑)方向がちょっと変?っていうか。だから、面白いんだと思う。

飯塚:そもそもまともな人が少ない(笑)

ーー監督がオリジナル作品を作る上でこだわっている部分は、どこですか?

飯塚:諦めない事。設定で『珍宝館』を使おうって思った時に、そうは言っても無理だよねって最初思った。

渋川:そうなるよね(笑)

飯塚:最初は“無理”って思っている事でも、諦めないで頑張っているといけそうな気がしてくる。書き続けて、悩み続けているからこそ、出てくる感情なんですよね。“なんか、この台詞違うんだよな”って思ったら、思ったままに出来ないんですよ。書けなくなる。止まったら止まったまま、解決するまで前に進めない。何日かかろうが諦めないで考えていくしかない。

 

ーーある意味、言葉、シーンへのこだわりですね。だからこそ、オリジナル作品を映画化出来るんですね。

飯塚:それは、狩野プロデューサーのおかげです。この手の作品が世に出たというのは、本当に凄いことなんです。“もう少し何か起こせ”とかになるんですよ。“榎田は、何で店を辞めるの?”とか全部理由を語ってちゃったら、脚本ってつまらなくなるんです。

渋川:ちゃんと任せてくれている。

飯塚:“面白くしてくれるんでしょ”って事しか言わないって最高でしたね。

 

ーー監督の文章力と表現力をプロデューサーが信じている証拠ですね。
最後に渋川さんと滝藤さんから、俳優を目指す人たちに一言お願いします。

渋川:そういうやつ?(笑)色々と経験して遊んだ方がいいんじゃないかな。それだけかな、俺は。滝藤君のようにとことんやるか、違う事を経験してから、そこから真面目にやるか。どっちかですよ。

滝藤:やんないで欲しいですね。ライバルは、増えない方がいい(笑)

渋川:(笑)

飯塚:全然ヒント言ってないし(笑)僕が代言するならですが、若い頃は、出演するからには“何かやってやらなきゃ”って思うんですよ。そう思う時期って、絶対にあるんです。それからやっていくうちに“どうだっていいや”って気持ちが変わっていった人が残っていくんだと思います。それは、監督もそうなんです。ユーザーレビューとか、今でも見たらちょっと頭にくる事もあるんですけど、どうだっていいんですよね。それよりも、その場で起きている事が楽しい。俳優&スタッフを含め、チームでセッションをやっている事が楽しい。それを見てもらって“受け入れてもらう”のは嬉しいんですけれども、ちょっと正直、“受け入れられなくてもいい”って気持ちになってきています。良くないかもしれないけど。その方が、受け入れられる。“受け入れられたい”って気持ちが大きい時の方が、上手くいかないような気がします。

渋川:その通り(笑)

 

 

『榎田貿易堂』
公開日:2018年6月9日(土)
劇場:新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開
配給:アルゴ・ピクチャーズ
公式サイト:https://enokida-bouekido.com/
(C) 2017 映画「榎田貿易堂」製作委員会

▼作品ページ
http://cinema.co.jp/title/detail?id=82627

 

伊藤さとり(いとう さとり)

映画パーソナリティ。邦画&洋画の記者会見や舞台挨拶を週5回は担当する映画MCであり、年間500本以上は映画を見る映画コメンテーター。
TSUTAYA店内放送「WAVE-C3」で新作DVD紹介のDJ、ケーブルテレビ無料放送チャンネル×ぴあ映画生活×Youtube:動画番組(俳優と対談)「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」、雑誌「シネマスクエア」コラム、スターチャンネルで映画紹介他、TV、ラジオ、雑誌、WEBなどで映画紹介のレギュラーを持つ。心理カウンセリングも学んだことから映画で恋愛心理分析や恋愛心理テストも作成。

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