vol.32『友罪』舞台挨拶・監督インタビュー

友罪

「友の罪」

“心を許した友は、あの少年Aだった。”

その時、自分だったらどうするのか。それが正しいのか、正しくないのか。

問いかけながらスクリーンを見つめ、葛藤した129分でした。

今回で3度目の共演となる生田斗真さん、瑛太さんを迎え、『64-ロクヨン-』の瀬々敬久監督が描く、慟哭のヒューマンサスペンス。

 

ある町工場で働き始めた、元週刊誌ジャーナリストの益田(生田斗真)と、他人との交流を頑なに避ける鈴木(瑛太)。

共通点は何もなかったふたりだが、同じ寮で暮らすうちに、少しずつ友情を育てていく。

そんななか彼らが住む町の近くで児童殺人事件が起こり、SNSで17年前に日本中を震撼させた凶悪事件との類似性が指摘される。

当日14歳だった犯人の少年Aはすでに出所していて、今度も彼の犯行ではないかというのだ。

ネットで拡散していた少年Aの写真を見た益田は愕然とする。そこにはまだ幼さの残る鈴木が写っていた。

驚きと疑問に突き動かされ、調査を始める益田。それは、17年前に自ら犯した“ある罪”と向き合うことでもあった。

一度は人生を捨てたふたりの過去と現在が交錯し、止まっていた時計が激しく動き始める…。

 

生田さん、瑛太さんの名古屋舞台挨拶の様子、瀬々監督へのインタビューをレポートします。

友罪

「雨も味方に」

ーー完成した映画を観た感想は?

生田さん:本当に衝撃の問題作が出来上がったなという風に感じましたし、自分も見終わったあとに椅子から立ち上がれなくなるような衝撃を覚えた映画になりました。

瑛太さん:もちろんテーマは重くて大変なものなんですけど、僕自信最初に台本をいただいたときにヒューマンサスペンスとしての面白みを感じましたし、見終わったあとに、どこか微かに光というか希望のようなものが見えたので、あ、良かったな、とひと安心しました。

ーー印象に残っているシーンは?

生田さん:この映画のなかで唯一と言っていいほどほっと出来るシーンがありまして、カラオケのシーンが出てくるんですけど。そこのシーンは現場の雰囲気もわりと明るくて笑いの絶えないような明るい時間だったなというのが印象的です。後々、そのカラオケのシーンは…あ!あまり言ってもあれか(笑)。

瑛太さん:斗真とのシーンが基本的に多かったんですけど、男同士が出会って距離が近づいていくという、その微妙な近づき方みたいなところで、僕が演じた鈴木というのは謎めいているというか、人間としてちょっと欠落してしまっているキャラクターなんですけど、斗真はその謎の存在を見ながら少しずつ表情や色々なものが変わっていくんですね。そういった斗真の冒頭からの表情変化ですね。そこはひとつ今回の映画の見所だと思いますね。

ーー生田さんが“雨男”なのでは?というお話も聞きましたが?

生田さん:この映画の撮影もほぼ雨とか曇りが多かったと思います。でもこの映画にとっては、ちょっと先の見えないような天気というのが一番のいい環境だったのかなと、ポジティブに考えると思います(笑)。

瑛太さん:でもこれはあまり言い過ぎると死活問題になっちゃうんで。今度すごく爽やかな作品を撮るときにキャスティングされたのに「やっぱりあの男はやめとこう」みたいになっちゃうと。

生田さん:(笑)

ーー最後にメッセージをお願いします。

友罪

生田さん:今日は、この『友罪』という作品を選んでいただいて、また雨の中お越しいただきありがとうございます。この映画を作っている過程もそうですけれども、いまだにこの映画を作ったことが果たしてこの日本という国のためにいいことなんだろうか?と今でも考える日々です。ですが、僕らが作ったこの『友罪』という映画は加害者を擁護するわけでもなく、加害者の罪を断罪したいという意味でもなくて、やっぱり人間って色んなことがあって、いけないこともしてしまうし、ダメな部分ってたくさんあると思うんですけど、それでも人間ってもっといいものだよねって、どこか希望を感じられるような僕らの願いみたいなものがたくさんつまった映画です。ぜひご覧になっていただいて、この映画を通じて色々なことを語り合ったり、考えあったりしていただければ幸いです。

 

友罪

瑛太さん:今日はありがとうございます。昨今、日本映画、映画一本に対して、僕たち俳優部が宣伝に稼働する時間というのは正直多いんですね。でもそれ以上に観てくださった方々の感想や声というのが、実はその映画が歩んでいくというか昇っていくために一番必要なことなんですね。なのでぜひ今日観てくださる方々は色んなことを感じられると思うんですけど、たくさんの方々に伝えていただけたら嬉しいです。楽しんでください、とははっきり言えないんですけど、堪能してください。

 

「別次元に入った生田斗真」

瀬々監督は生田さんについてこんなことをおっしゃいました。

瀬々監督:生田さんは、わりと普段オーラを出さない人なんですよ。普通の人に近いというか。それがカメラを通すとものすごいオーラが出るんですよ。若い役者さんは何人かご一緒しましたけど、稀有な存在だと思います。この世界だと普段からオーラが出ている人が多いんですけど、彼は普段消しているんですよ。カメラを通すとすごく輝いて見える、すごく変わった役者さんだなと思って。そういう彼の普通な感じというのがこの映画の場合良かったと思います。お客さん目線と同じなので、事件の渦中に巻き込まれていくという設定なので。

ただ、本人はすごくしんどそうでした。坂井真紀さんとのシーンは「めっちゃしんどかった」って言ってました。順撮りなので、撮影の4分の1ぐらいだったんですけど、その頃まではすごくしんどそうにしてましたね。色んな気持ちを受けなければいけない役なので。言われっぱなしの役なので精神的にしんどいって言ってましたね。

坂を走って坂井さんのところにいくシーンがあるんですけど、気持ちを作るために毎回走ってましたね。それくらい入れ込んでやっていたんだと思います。

また監督の印象に残っているシーンは、夜の公園のシーン。そこから展開がかなり濃密になっていきます。ちなみに、生田さんは役に入り込みすぎて何回やってもこのシーンは泣けると言っていたそう。「別次元に入り込んでしまったようだ」と監督はおっしゃっていました。

また、監督の目から見て、生田さんは徐々に調子をあげていくスロースタータータイプ。瑛太さんは一発目からかましていくタイプ。ふたりはまったく違うタイプの役者さんだというお話も興味深かったです。

監督が何度も口にしていたのは、この作品は「事件のその後を描いている」ということ。鈴木がかつて犯した事件について詳しく描くことではなく、「事件のその後をどう生きるか」なのだと。

益田、鈴木というキャラクターの他に、佐藤浩市さん演じる加害者の父親、夏帆さん演じる元AV女優。いずれも過去を抱えて今を生きる人たちの物語。

生田さん、瑛太さんが言っていたように、見終わったときにちゃんと考え、語ることは、自分の感情や思いを整理するのにとても必要なことだと思いました。

そしてラストで感じる、自分の中で沸き上がる思いを大切にしたい作品です。

 

 

『友罪』
公開日:2018年5月25日(金)
劇場:全国にて
配給:ギャガ
公式HP:http://gaga.ne.jp/yuzai/
(C) 薬丸 岳/集英社 (C) 2018映画「友罪」製作委員会

▼作品ページ
https://cinema.co.jp/title/detail?id=81906

友罪

神取恭子(かんどり きょうこ)

フリーアナウンサー、椙山女学園大学非常勤講師。愛知県西尾市出身、1977年生まれ。
現在は名古屋テレビ放送の情報番組「デルサタ」、音楽番組「BOMBER-E」にレギュラー出演。
2002年から名古屋テレビ放送(メ〜テレ)の局アナウンサーを勤め、番組「ドデスカ!」や「昼まで待てない!」などで映画監督、俳優、ハリウッドスター500人以上にインタビューを行い、舞台挨拶の経験も豊富。
他にも、報道現場でのリポートやスポーツ番組のリポーターを勤めた。
ANNアナウンサー賞 ナレーション部門受賞。
趣味は映画鑑賞(年間200本以上)、お肉を食べること(お肉検定1級)、プロレス観戦。

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