『クリアネス』 細田よしひこ&篠原哲雄監督 インタビュー

2008.01.25

ピュアな恋愛と美しい夕陽を堪能できる映画『クリアネス』を主演俳優と監督が語る!
出席者:細田よしひこ、篠原哲雄監督
『クリアネス』細田よしひこ&篠原哲雄監督インタビュー
悩みながらも危うい日々を送る女子大生と出張ホストの恋を通して、誰かと繋がることの本当の意味を問う、真っ直ぐで透明感溢れる映画『クリアネス』がバレンタイン・シーズンに公開される。第1回日本ケータイ小説大賞に輝いた十和原作の同名ベストセラーを映画化した本作で、売れっ子出張ホストにして天涯孤独の美少年レオをインパクト大の金髪に染めて演じたのは、話題を集めた07年の人気ドラマ「ライフ」での強烈なキャラクターも記憶に新しい若手演技派・細田よしひこ。メガホンをとったのは『深呼吸の必要』『地下鉄(メトロ)に乗って』など数多くの作品を手がけてきた篠原哲雄。この主演&監督コンビが、ベランダ越しの恋の始まりから極上の夕陽シーンまでたっぷりと語ってくれた。


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細田さんの演じたレオはヘヴィーな生い立ちなのに明るくて屈託がない。杉野希妃さん演じる相手役のさくらもそうですよね、危なっかしい生活をしていのに擦れた感じがありませんね。
■篠原:「設定としてはホストであり、風俗嬢。しかも自宅に来ることを許している仕事ぶりなんで、世間的には相当危ない橋を渡って生きている感じはするんだけども、たまたま細田くんにしても杉野さんにしてもすごくピュアな感じの人たちだったので、汚れた感じにはならなかったんですよ」
杉野さんが持つ透明感なんでしょうね。レオにしてもホストなのに、そのイメージからは離れたところにあるピュアな感じ。それは細田さんが持っているものなのかもしれませんね。
細田さんは今19歳ですよね。今回は制服姿の高校生でもないし、ずいぶん大人っぽいです。

■細田:「でも、設定は16歳とかなんですよ。そこがまた恐ろしいですけど」
さくらとレオのベランダ越しのシーンというのが、2人の距離感を表していていいなと思いました。あれは原作どおりですか?
■篠原:「そうです。かつての『裏窓』とか他にも窓越しの出会いというのはあるんですよ。ただね、今の東京で対面のビル、しかも正面を向いてっていうことがね。制作部が色々探してくれたんですが、悲しいかな僕らはマンションを借りてはじめて撮影できるわけなんです。小説ではまさに正面を向いているという書き方をされていたと思うんですが、それはなかなかないんです。で、僕らが使ったのは、斜めに見える物件で、かえってそこがね、ストレートではなく斜めに歪んで見ている感じが面白いのかなって」
■細田:「どうやって見つけたんですか?」
■篠原:「あれはね、制作部って人たちが、僕がロケハンする以前に何軒も見てるんだよ。マンション自体、そうそう貸してくれるところはあんまり無かったと思う。僕は結局2ヶ所しか見ていないんだけど。あそこはしかも面白かったの。さくらの側から見るとレオはちょっと下がったところにいて、その関係性が面白いなとだんだん思えてきたんですね。そこを見てから台本の言葉もちょっと変えたと思います。これで現代の『裏窓』ができるかなと」
あのシーンが良かったので、意外にもオーソドックスな恋愛映画なんだなというのが伝わってきました。もうちょっと軽いノリの展開かなとも想像していたのですが…
■篠原:「かなりオーソドックスにできたと思いますけど」
そうですね。とくに、レオとの出会いによってさくらが本当に人を好きになって変化して行く姿が著しくて。その変化が面白いですね。もちろんレオも変わって行きますが、細田さんはどうやって気持ちをつくっていったのでしょう?
『クリアネス』細田よしひこ&篠原哲雄監督インタビュー■細田:「レオの設定で、普段は出張ホストの仲間とワイワイやっているんだけど、仕事が終わった後、皆のいるところから一人抜け出してベランダで誰かにメールを送っているっていうのがあるんですけど、その時間ってレオにとってすごく大切な時間なんだろうなって思って。そこを大切に演じなきゃな。じゃあ、どうそこを大切なものだと自分の身体の中に染み込ませようかと。
撮影現場では普通にメイクさんなり衣装さんなり色んな人とコミュニケーションをとるじゃないですか。そこで自分が携帯を持ったらどうなるんだろう。携帯をいじってたら皆はどういう反応をするんだろうと試したんですよ。
最初は、『誰とメールしてるの?』とか言ってくるんですけど、しばらくすると、たとえば役者さんが台本を持っているときは誰も話しかけたりしないじゃないですか。そういうのと同じように、僕が携帯を持ったら誰も話しかけなくなってきたんです。
レオとホスト仲間の関係もそうだと思うんです。そういうのをちょっと現場で試してみようと思ったら、ほんとに皆がそういう反応してくれて面白いなと思いました。徐々に周りの人が変化して行くっていうのが、しかも自分は周りの人がどうなって行くんだろうっていうのを意識しながらだったんで、すごい面白かったです。2日目からは誰も話しかけてこないなぁとか。人の変化が面白かったです。レオが一人でベランダで携帯に向かっているシーンが自分は好きなんですよ。あの感情は大切にしたいなと思いました」
楽しげにも見えましたが?
■細田:「まあ、自分宛の日記みたいな」
■篠原:「ほんとに書いてたの?」
■細田:「え、はい。書いてました。日記は普段からメールじゃなくてノートにつけてるんですけど」
携帯に関して言えば、最初は人と人との繋がりも携帯を通してなのかなと思わせつつ、実はそうじゃないというところに持って行くわけですが、人と人とが繋がるとはどういうことなんでしょう?この映画のテーマでもあると思うのですが…?
『クリアネス』細田よしひこ&篠原哲雄監督インタビュー■篠原:「今ってわりとあまり会話をしなくてもメールで伝わるんです。それもまた一つの関係性だとは思うんですが、人の肉声とか、手の触れ合いとか、握手一つとってもスキンシップが出来た方が、その人自身を知ることができる。
ある種当たり前のことなんですけどね。携帯だからということはあまり意識していなかったんですが、電話をするよりはメールで伝えた方が早かったり、あるいは正確に伝わることもわるだろうし、普段言葉で言えないからこそ伝えるというのもあるんだけれども、本当はもっと身体や言葉を通して伝わるものっていうのが、人間のコミュニケーションの一番肝心なところだと思うんですね。
レオとさくらで言えば、さくらがレオにメールを私宛てに出してくれ、私があなたから受けとるからというのが彼女のメッセージで、彼がそれを受け入れて行くっていうのが、何かを越えて行くってこと。ただ、最後に手紙を使ったように文章で伝えなくちゃいけない方法論というのは世に残って行くと思うんですね。
さらには携帯の便利さや手紙の良さもありながら、最終的には自分が行くべきというか、そういうことが大事なんじゃないかというのを暗に示している作品かなという気もしますけどね。声高にやっているつもりはまったくないんですけど」
細田さんはどうですか? 携帯世代ですよね。レオくんは最後に手紙を書きますけど。
■細田:「手紙って、年賀状とか暑中見舞いとか、そういうの以外ではあまり書かないじゃないですか。メールがあるのが当たり前だし、年賀状だって仲間内だったらメールだし。だから、メールの存在は否定できないし、むしろ素晴らしいものだと僕は思ってます。だからメールで心が伝わらないとは思ってないんですよ。メール世代というか、メールで恋愛とかもした世代だからかもしれないですけど(笑)。
でも、手紙の方が心が伝わるというのもわかるんです。メールは気軽にできるけど、手紙は届くのにも書くのにも時間がかかったりするじゃないですか。だから手紙の方が温かいんじゃねぇのって言われたら、確かにそうですって言えるかもしれないです。だけど、メールで感情が伝わらないかって言われたら、それはない、と素直に思うんです。やっぱりメールでも手紙でも、書いている人や打っている人がどういう気持ちで相手に伝えたいかという心の問題であって、形式じゃないと思います」
さくらとレオも最終的にはそういう中身で勝負の信頼関係を築くわけですよね。
そうそう、夕陽ロケについてお聞きしなければ。とても美しかったですが、あれは与那国島ですね。何日ぐらいかかったのでしょう?

■篠原:「2時間もないですね」
■細田:「どんどん夕陽がリアルに落ちて行って」
■篠原:「太陽が高いうちは、のんびりとやっていたんですが、いざ落ち始めると予想してたとおりあっという間で。その間に撮らなきゃいけないカットをどどどどっと撮って行って。僕とカメラマンがロケハンに行ったときは晴れなかったんですよ。大丈夫かなって心配でした。
一応、9月の28日と予備日が29日で2日間あったんですけど、1日でできたらいいなと思っていたら、晴れてくれたんで、とてもついてたと思います。台本どおりだと夕陽に向かって立っているさくらが振り返るとレオがいるってことになっていて、夕陽が当たっているわけです。そのベタな顔より逆光のレオでありたいなと思って。頭の中で薄々順光は勝負にならないなと思っていたんで、どうしようかとその場で考えてああなりました」
■細田:「僕が言っちゃったんですよね、これは夢かもって話を」
■篠原:「そこは色んな意見があって、もっと感動的な終わり方もあるのではないかという意見もありましたが、でも、本当に夢かもしれないって観客が思ってもいいかなっていうつもりで、でも、確かに存在するんだっていうことを徐々に実感して行くわずかな時間を描ければなと思うようになったんですね」
■細田:「観た人によって捉え方が違うのかなって。人それぞれで答えはないと思うんですけど」
いいラストですよね。
■篠原:「結構難しかったですね。ちょうど微妙な2人になれてたかなって」
そうですね。2人にとってはそれまでが序章だったわけで、これからですから。
■細田:「あれからどうなるんですかね?」
■篠原:「あれから2人はねぇ、フフフ…」
では最後に、これから『クリアネス』を観る方々に向けて、メッセージをお願いします。
■細田:「僕は映画『クリアネス』に金髪で出ております。そのへんを見てほしいです(笑)。2月バレンタイン公開です。ぜひ劇場に来てください。よろしくお願いします」
■篠原:「『クリアネス』は意外に濃い恋愛映画になっています。直球勝負してます。俳優さんが皆素敵です。面白いです。ぜひ観に来てください」
『クリアネス』は夕陽の映画かもしれない、とは篠原監督の弁。与那国島だけでなく、東京でも素敵な夕陽のシーンがあるので、要チェックです!
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『クリアネス』
配給:ゼアリズエンタープライズ、ドーガ堂
公開:2008年2月16日
劇場情報:ユーロスペースほか全国にて順次公開
公式HP:http://www.clearness.jp/
(C)「クリアネス」製作委員会
■あらすじ
自宅マンションで客を取る女子大生のさくらは、同じ大学に通う恋人がいながらどこか満たされない思いを抱える日々の中で、窓の外、向かいのビルの一室に金髪の美少年の姿を見つけ心惹かれるようになる。勝手にレオと名づけたその少年はどうやら出張ホストらしい。ある日、質の悪い客に困り果てていたさくらの部屋に突然レオが飛び込んでくる。
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■プロフィール
『クリアネス』細田よしひこ&篠原哲雄監督インタビュー細田よしひこ
1988年3月4日、東京都出身。CMデビュー後、TVドラマ「Dr.コトー診療所2006」に出演。07年の「ライフ」での佐古克己役で強烈な印象を残す。08年は「エジソンの母」で伊東美咲と共演。映画出演作に『ハツカレ』『あそこの席』などがある。
『クリアネス』細田よしひこ&篠原哲雄監督インタビュー篠原哲雄
1962年2月9日、東京都出身。助監督、自主映画製作を経て96年に『月とキャベツ』で劇場用長編監督デビュー。主な監督作品に『はつ恋』『木曜組曲』『昭和歌謡大全集』『深呼吸の必要』『天国の本屋~恋火』『命』『欲望』『地下鉄(メトロ)に乗って』など。

取材・文:齊田安起子



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