『KIDS』 栗山千明 インタビュー

2008.01.21

『傷』は体だけじゃなくて心にも持っているものだと思う。
出席者:栗山千明
『KIDS』 栗山千明 インタビュー
乙一のベストセラー小説を映像化した『KIDS』
人の”傷”を治す力を持った少年、アサトと仲間たちの友情を描いた青春ドラマ・ファンタジーだ。
主人公、アサトは傷を自分に移すことで人の傷を治す自己犠牲の精神を持っているピュアな少年。そのアサトがほのかな思いを寄せるシホも傷ついた過去があった。
シホを演じた栗山千明さんに、傷つくこと、癒すことについて聞いてみた。


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途中、本当に悲しい気持ちになってしまう物語ですが、最初に台本を読んだ時はどんな感想を持ちましたか?
■栗山千明(以下栗山):「最初に読んだ時は、悲しいというかせつない、やりきれなせつなさを感じました。役を演じていくにつれて、いろんな感情が出てきたんですけど、最初は本当に、単にせつない、でしたね」
演じていくうちに、どんな発見があったのでしょう?
■栗山:「最初は、アサトが人の傷を自分に移せる力を持っていて、代わりに自分が傷ついてしまう、ということにせつなさを感じたんですが、自分が傷を取ってもらう立場になったら、アサトにしてみたら、傷を取ってあげられたっていう満足感があると思うんですけど、逆に傷がある立場の人からすると、本当に傷がなくなって嬉しいと皆が思うかっていうと、また違うなということを思いましたね。その能力が本当にいいことなのかっていうことも疑問になってきたり。色んなことを思い、考えながら演じました」
原作は読まれましたか?
■栗山:「いいえ(笑)。読んだ方がいいかなとは思ったんですが、年齢ももっと幼い設定だという風に聞いたので、いいんじゃないかなという気がしてきて。同じ役でも年齢で全然違うし、あまり意識しない方が、原作を読んでいらっしゃる方も楽しんでもらえるかなと思いましたね」
マスクをはずすシーンが、この映画のターニングポイントだと思いますが・・・
■栗山:「マスクをつけている時は、傷をあまり気にしないようにしていました。シホの優しさっていうのは、アサトやタケオの前で元気でいることなので、マスクで隠しながらも、明るいシホでいようと思っていて。それがマスクを取られてしまった時に、”やっぱり、これ(傷)は私につきまとうものなんだ”ということを認識させられるシーンだと思って。その後に泣いてしまう芝居があるんですが、ちゃんと泣けるかなって心配だったんですが、本当に悲しいな、せつないなと思って、泣けました」
このシーンから、傷を「治す」のではなく、傷までも「愛する」という方向に向かっていくのかなと思いましたが、違いましたね。
■栗山:「そうですね。それもあって、傷を治すことが果たしていいことなのかなと思うんですよね。私はシホに、傷があっても強く生き抜くくらい精神が強くなって欲しいなという気持ちもあったので、複雑でしたね」
これがきっかけで、シホは外の世界に羽ばたいて行ってしまう訳ですが、どんな気持ちだったんでしょう?
■栗山:「傷がなくなって、マスクをしないでも外を歩ける楽しさがあったと思うですが、アサトに会うたびに、鏡でしか見えなかった傷を見ることになってしまうことに耐えられるほどシホは強くなかったんじゃないかと思います。もしも、その後もアサトの傷を気にせずに会えていたとしたら、自分に傷があったままでもいられたと思うんです。それ(アサトの傷)を直視出来なくて、逃げたんですね」
小池徹平さん、玉木宏さんという今注目のイケメン二人と共演されて、いかがでしたか?
■栗山:「二人ともイメージ通りの方たちでした。徹平君は気さくで爽やかな方で、玉木さんは年上なので、お兄ちゃんと言う感覚もありながら、頼りがいのある方でした。現場もいいムードで撮影出来たと思います」
撮影中、楽しいことはありましたか?
■栗山:「遊園地に行くシーンは、セリフがないんですよ。車で遊園地に向かうシーンなんかは、私自身も楽しくて、思わず素が出てしまったんじゃないかなと(笑)。あの時は、カメラがどこにあるか分かっていなくて、3人で”どこにあるんだろうね”なんて言いながら、”あ、あったあった”とか言って(笑)。声は入ってないですからね」
もし、栗山さんに人の傷を治す力があったとしたら、使いますか?
■栗山:「自分に傷が移るんだったら、使いません(笑)。相手の立場に立って考えたら、自分の傷が取れた代わりに誰かが傷つくなんて。そういう能力を持っている本人としては、取ってあげられた満足感があるかもしれないけど、それは自己満足になってしまう。そんな無闇やたらに治そうとは思いません」
じゃあ、自分に移らないのなら?
■栗山:「それなら治しますよ。相手も嫌な気持ちにならないし。自分も治してあげられたし、それは成立すると思います」
この作品を通して、どんなことを感じて欲しいですか?
■栗山:「人それぞれ、傷は体だけじゃなくて心にも持っているものだと思うのですが、その中で立ち向かって行く勇気だったり、それを支えてくれる周りの友達の素晴らしさ。人に頼っていいと思うし、その代わり頼られた時は一生懸命支える、そんな人間関係を築きたいなと思ってもらえるかなと思います」
心の傷が治せたらいいですよね?
■栗山:「う~ん、それもいいことなのか分からないですね。心の傷があるからこそ、成長できるとも思いますしね」
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『KIDS』
配給:東映
公開:2008年2月2日
劇場情報:丸の内TOEI1ほか全国東映系にて
公式HP:http://www.kids-kiz.com/
(C)2008『KIDS』製作委員会
あらすじ
町の工場で働いているタケオは、いつものアメリカンダイナーで町に越して来たばかりのアサトを見かける。アサトは、テーブルの上にある塩やコショウを手も触れずに引き寄せていた。タケオは、アサトの不思議な力に興味を持ち…。
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プロフィール
『KIDS』 栗山千明 インタビュー栗山千明
1984年10月10日、茨城県出身。『死国』(99)で映画デビュー。『バトル・ロワイアル』(00)の出演を経てタランティーノ監督『キル・ビル Vol.1』(03)の「ゴーゴー・夕張」役に抜擢され、強烈な印象を残した。その後『下弦の月~ラスト・クォーター』(04)『エクステ』(07)などに出演。今後の更なる活躍が期待される女優。
取材・文: 南野望里子



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