『雨の翼』 藤井美菜 インタビュー

2008.01.18

やっぱり雨は、きれいで、美しいものでした
出席者:藤井美菜
『雨の翼』 藤井美菜 インタビュー
「みんなの映画プロジェクト シネマプロットコンペティション」の第1回入選作品を、熊澤尚人監督の手で映画化した『雨の翼』
雨に打たれる少女・透花と、雨にやりきれない想いを持つ少年・陽介の2人を中心に描いた、優しさを感じる物語だ。音楽が先に完成、それを前提に撮影が行われ、さらに一部劇場上映では映画映像に合わせて音楽を担当したKUMAMIが生演奏を行うという、音楽に非常にこだわりをもつ映画でもある。
そんな『雨の翼』で初めての主演を飾った藤井美菜にインタビュー。どこか影のある主人公・透花をどのように演じたのか、またその中で透花やこの作品のモチーフである雨に対するイメージがどう変化したのか、聞いてみた。


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“雨”がモチーフとなった作品ですが、撮影前、雨そのものに対してどんな印象を持っていましたか?
■藤井美菜(以下藤井):「幻想的とか、神秘的なイメージを持っていましたね。実は私自身は晴れ女で、お仕事でもあまり雨が降ることはなかったんですよ。でも雨の匂いとかは好きですね。雨が降った後の、土のしっとりとした匂いとか」
今回が映画初主演ですよね。そのことに対するプレッシャーはありましたか?
■藤井:「やっぱりありましたね。初めてですから緊張やプレッシャーを感じましたけど、今回は監督がリハーサルを2日間みっちり行なってくださいましたので、そういう中でプレッシャーとか気持ちがほぐれていって、あまり現場では緊張を引きずっていなかったと思います」
池上透花という少女を演じられましたが、彼女をどんなキャラクターだと捉えたんでしょうか?
■藤井:「すごく繊細で、影のある女の子だなと思いました。私はちょっと人見知りというか人に対してだんだん打ち解けていくタイプで、透花も人に対して壁を持ってしまうような女の子で。そんな風に似ている部分も何ヵ所かあったので、共感できるなと思いました」
透花を演じるにあたって、役作りはしましたか?
■藤井:「主人公ですけど比較的セリフが少ない役で、その分共演の方の演技に対して反応したり表情を見せたりといった芝居が多かったので、1つひとつの心の変化はちゃんと読み取っていかないといけないなぁと思って。そういうことを考えながら台本を読み込んでいきました」
ただこの作品は短編ということもあってか、象徴的に物語が紡がれていきますよね。その中でキャラクターの感情を読み込んでいくのは難しそうに思えるのですが。
■藤井:「短い中でちょっとずつ変化していくし、もちろん映画って順番どおりに撮るわけではないので、その場その場の気持ちをちゃんと理解していないと演技できないだろうなと思っていたんです。だから大事に、大事に台本読み込んで演技していきました」
もう、ひたすら台本を読み込んだんですね。
■藤井:「そうですね。後はリハーサルもあったので、監督とお話ししてご指導いただいたりしながら。監督は「こういう理由だから、こういう演技をした方がいいんじゃないか」って、ちゃんと理由を説明した上で指導をしてくださったんで、私自身もすごく納得しながら演技できたと思います」
雨の中で踊るシーンが非常に印象的でしたが、あのシーンはどういった感情で演じたのでしょうか?
■藤井:「喜びのダンスではないですけど『嬉しい気持ちで』と監督には言われていたので、もう嬉しさだけで踊ったようなところはありますね。あと監督がこだわっているシーンだとうかがっていたので、私自身も一生懸命でした。ダンスもバレエの先生について練習したんですよ。短いシーンでしたけど、何度も何度もいろんなアングルから撮っていましたね」
相手役の陽介に対しての印象は?
■藤井:「身近にいそうな普通の男の子のように感じましたけど、雨がいつ降るかわかるとか、折り紙が得意とか陽介らしい部分もあって。身近っぽいけどちょっと不思議な部分もあるんだなと思いました」
『雨の翼』 藤井美菜 インタビュー
今回の作品での石田卓也さんはいかがでしたか?
■藤井:「石田さんとは以前もご一緒させていただいていることがあって、お互いに気心が知れている部分があったので、気持ち的に楽でしたね。石田さんは自由な方でした(笑)。空き時間にふっと何も告げずにいなくなったりとか。でもちゃんと気配りもされていて、素敵な方です」
実際に石田さんの演じる陽介の前に立ってみて、どんなことを感じましたか?
■藤井:「陽介という役は勢いがあって明るいんで、すごくぽんぽんセリフをおっしゃっていて。透花はそんなに明るい部分がないので、初めは巻き込まれそうなところもあったんですけど、でも透花は透花らしくいていいのかなと思って。で、自分の、透花のペースでやっていこうと思いました」
透花と陽介は共に雨に対して思い入れがありますが、最初はその感情に少し温度差がありますよね。演技する上でそれを意識することはありましたか?
■藤井:「透花にとって雨は神聖なものだと思うんですけど、陽介にはそこまでの気持ちはないんですよね。同じように屋上も透花にとって神聖な場所で、だから屋上に来る陽介に対して初めは「ずかずか上がりこんで!」って気持ちはあったと思います」
そんな2人の温度差が埋まったのが、屋上で花火をするシーンだと思ったのですが
■藤井:「そうですね。徐々に埋まっていったという部分もありますけど、最終的に埋まったのはあのシーンだと思います。あの撮影は楽しかったですね。花火の量も限られているので、みんなで一丸となって一気に撮ろうという感じでした」
この作品は音楽が撮影前に完成しており、それを前提に撮影されたと聞いています。実際に撮影前にその音楽を聴いたりしたのでしょうか?
■藤井:「主題歌の「雨の翼」は聴いたんですけど、すごく感動しましたね。自分の主演した作品の曲だからということじゃなく感動しました。やっぱり音楽って作品の中ですごく重要な位置を占めると思うので、初めての主演の作品でこんな素敵な曲に恵まれて嬉しいですし、記者発表の時にKUMAMIさんが実際に演奏なさっているのを聴いた時も本当に鳥肌がたちました」
曲が演技に影響があった部分はありましたか?
■藤井:「シリアスなシーンや集中したいなと思ったシーンは、気持ちを作る上で主題歌を聴きながら気持ちを作りました。撮影前も聴いたりしていましたね」
撮影が終わった今、当初と比べて透花に対する印象で変化したことはありますか?
■藤井:「実際に監督とお会いする前に自分だけで台本を読んでいた頃は、やっぱり「どうしてなんだろう?」と行動に疑問に思う部分がいくつかありましたけど、リハーサルや現場で監督とお話して納得しながらやったので、自分の中で透花を消化しきった感じはありますね。やっぱり雨の中に飛び出していくシーンなんかは、台本を読むだけじゃなく実際に動いてみたりしないと理解しきれなくて。でも実際に雨を見て、透花としていろんな人の優しさに触れていく中で、感覚的にではありますけど、「こういう気持ちで雨の中に飛び出していくのかな」というのがわかった気がします」
では撮影前と撮影後で、雨に対するイメージに変化はありましたか?
■藤井:「やっぱりきれいだったんだな、美しいものだったんだな、と。今までにないくらい雨を浴びたので、雨に対する気持ちや感覚は、何か変わった部分もあるかもしれないですね。あと『甘雨(かんう)』という言葉があって、それが関係するシーンを撮った時には雨に甘さを感じたような気がしました。その甘さをまた感じることができればいいなと思います」
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『雨の翼』
配給:2008「雨の翼」製作プロジェクト
公開:2008年2月9日
劇場情報:ユナイテッド・シネマ豊洲、キャナルシティ13ほか全国にて
公式HP:http://www.emimusic.jp/amenotsubasa/
(C)2008映画「雨の翼」製作委員会
あらすじ
高校生の陽介がある日学校の屋上にいると、そこに一人の少女・透花がやってくる。彼女は両手を広げ、何かを祈るような表情で降り始めた雨を浴びていた。雨の日に事故死した教師・紀野との思い出を語る透花は「11月1日に雨が降らなければ、私から先生に会いに行く」という。しかし天気予報では11月1日は晴れ。雨にやり切れない思い出を持つ陽介は、彼女のために行動を起こすことを決意し……。
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プロフィール
『雨の翼』 藤井美菜 インタビュー藤井美菜
1988年、新潟県生まれ。小学生の頃から舞台を経験。2005年にインテルのCMで映像デビューすると、その後数々のCMに出演。06年には『シムソンズ』で映画デビューを果たしたほか、第27回「ビクター・甲子園ポスター」キャンペーン イメージキャラクターに抜擢される。08年は本作のほか『犬と私の10の約束』でもスクリーンに登場する。連続ドラマ「鹿男あをによし」(CX)にも出演。
取材・文:井上真一郎



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