地球丸ごとドキュメンタリー!『アース』マーク・リンフィールド監督 インタビュー

2007.11.09

“撮りたかったのは地球のポートレート。伝えたかったのは美しい故郷を思う気持ち”
『アース』マーク・リンフィールド監督 インタビュー
海とそこに住む生命を美しく迫力のある映像で映し、ドキュメンタリー映画としては異例の大ヒットを記録した『ディープ・ブルー』。そのスタッフが再び結集し、新作ドキュメンタリー映画『アース』が作られた。5年もの歳月をかけ、全編ハイビジョン画質で撮影された貴重な映像の数々。そこには地球上を生きる生命たちのドラマが映し出されている。そんな『アース』を監督したマーク・リンフィールド監督に、作品制作の経緯や撮影時の苦労などについて聞いてみた。


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まず制作の経緯について教えてください。テレビ用ドキュメンタリーシリーズ「プラネットアース」であなたが監督された「Pole to Pole(邦題:生きている地球)」を再構築した形に見えましたが。
■リンフィールド「「Pole to Pole」は僕がプロデュースも監督も担当した作品。この『アース』と『プラネットアース』は同時期に制作がスタートしたんだ。ジョイント企画と言ったらいいのかな。2つの企画は関係しながら平行して進行していったものなんだよ。テレビと映画にはそれぞれ良さがあって、テレビはより細かい、データ的な情報を伝えるのに適したメディアなんだ。たとえば淡水に関する情報をより詳細まで伝えたりね。反対に映画はすごくエモーショナルな経験ができるメディア。だから『アース』では90分間の長いストーリー中で、いかにエモーショナルなインパクトを与えるかが念頭に置かれているんだ。なので「プラネットアース」のどのエピソードよりも、『アース』の方がエモーショナルな経験ができると思うよ。もちろんスクリーンの大きさやサウンドシステムも影響しているとは思うけど、それは映画作品だからこそ体験できるものだね。
制作の経緯についてだけど、『ディープ・ブルー』の世界的なヒットが、「自然ドキュメンタリーは映画として受け入れられる」という自信を僕たちに与えてくれたんだ。それがこの映画を撮るきっかけの1つになったね。それと同時に「今、この映像を撮らなければいけないのではないか」という想いもあったんだ。つまりこの『アース』でご覧いただける映像は、もう2度と撮ることができないかもしれない映像なんだ」
Asu2太陽と地球の地軸の傾きが生み出す“生命のリズム”が作品の展開軸となっていました。これを中心にストーリーを展開しようとした理由は何だったのでしょうか?
■リンフィールド「太陽は地球上の全ての生命に触れる唯一のものだよね。『アース』は地球のポートレートを撮ろうとしたものなんだけど、そこに住むさまざまな動物や生息地域は多種多様だ。だからそれを1つにまとめ上げるために、太陽を軸にしたんだ」
北極や南極、砂漠など、非常に厳しい環境での撮影が長期間にわたって続きました。相当な苦労があったと思いますが。
■リンフィールド「東京のように居心地のいい場所にいるとそういう環境は厳しく思えるかもしれないけど、意外とそうでもないんだ。必要な機材や素晴らしい科学者の力といったサポートがあれば、想像するほど困難じゃないんだよ。むしろ今回大変だったのは、狙った映像が撮れず、撮影が失敗する可能性があったことなんだ。『アース』という作品を作るにあたって「今までに見たことあるような映像は一切撮らない。新しい、フレッシュな映像を撮りたい」という想いがあって、僕たちはそういうものに挑戦をしていたんだ。でも今までに見たことがない映像というのは、イコール、撮影が非常に難しい映像。つまり撮影失敗のリスクが高いんだ。実際、失敗回数もそれなりに多かったしね。だからこの撮影中はクルーの士気をキープするのがとても大変だった。撮影に失敗した時なんかは特にね」
クルーの士気をキープするために、どんな方法をとったんですか?
■リンフィールド「うーん、ビールを持っていったりかな(笑)。それは冗談として、これまで自然ドキュメンタリーはフィルムで撮影されることが多かったんだけど、『アース』ではHD(Hi Definition:高画質。日本でいうハイビジョン)ビデオで多くの素材が撮影されたんだ。ビデオはフィルムと違いすぐに撮影した映像を見られるという利点があって、おかげで長いロケの期間中に自分の撮った成功ショットを、実際に見ることができたんだ。フィルムしか使っていない時代は、長いロケの間、ただただ積みあがった撮影済みのフィルム缶を見ながら、「これフォーカスがあっていなかったらどうしよう」「撮れてなかったらどうしよう」なんて、もんもんと考えたりしたものだよ。今回はそれがなかったのは良かったかな」
Asu3“新しい、フレッシュな映像”という意味では、超ハイスピードカメラで撮られたホオジロザメの狩りのシーンや、防振装置を取り付けたカメラで撮影された驚くほど滑らかな空撮映像には、強いインパクトを受けました。
■リンフィールド「空撮の映像はただフレッシュなだけでなく、地球あるいは動物たちを俯瞰している感覚を生むことができるんだ。地球のポートレートを撮ろうとしていたので、そういう風に見せられる撮影方法はこの作品にピッタリだなと思ったんだよ。ホオジロザメのシーンで用いた超ハイスピードカメラも、今までに見たことのあるシーンをまた違った形で見せることを可能にしてくれたね」
『アース』は監督がおっしゃられたようにとてもエモーショナルですが、同時に環境問題に対するメッセージも投げかけられています。そこには理性ではなく、感情に環境問題を訴えたいという考えがあったのでしょうか?
■リンフィールド「エモーショナルなアプローチによって環境問題へ意識を向けてもらおうというのは、まさに意図したこと。この『アース』は、人々にインスピレーションを与えて、地球を大切に思う気持ちや、地球が美しい故郷だということを再確認してもらえれば思って作った作品なんだ。そういう意味では、映画を観ている間にはそういう風に思わないかもしれないけれど、環境に関するメッセージを持った作品だと言えるね。でも決して「環境問題の映画」っていう意識で観てほしいとは思わない。
映画を観ている間は地球のポートレートを眺めたり、カリスマ性のある動物たちに感情移入したりして楽しんでもらいたいな。その上で翌日なんかに映画の内容について考えている時に、「地球はなんて尊い星なんだろう」と再確認してもらったり、あるいはさらに一歩進んで地球の何が危機にさらされているのかに気づいてもらえたりすれば、それが僕にとって最高のシナリオだよ」
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『アース』
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
公開:2008年1月
劇場情報:日比谷スカラ座ほか全国東宝洋画系にて
公式HP:http://earth.gyao.jp/
■あらすじ
50万年前、まだ若い地球に巨大な隕石が衝突した。その影響は大きく、地球の地軸は23.5度も傾いてしまう。しかしこの傾きがあったからこそ、地球には四季の移ろい、寒暖の差、そして生命が生み出されることになったのだ。そんな傾きと太陽の光が作り上げた地球の姿を、北極から南極へと旅をしながら見ていこう。まずは北極に住むホッキョクグマの親子の様子から……。
取材・文:井上真一郎



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