『犯人に告ぐ』石橋凌 インタビュー

2007.10.23

“松田優作の遺志を継ぐ俳優”石橋凌インタビュー
出席者:石橋凌
石橋凌
連続児童殺害事件に業を煮やした警察は、捜査責任者副島をテレビの報道番組に出演させ、犯人に直接語りかける<劇場型捜査>を決行する。犯人を挑発する副島の発言に、報道は過熱し、国民からは非難の声が沸きあがる。一方、警察内部でも各々のキャリアアップのために本件を利用しようとする動きが。。。週刊文春2004ミステリーベストテン第一位に輝いた雫井脩介のベストセラー小説の映画化『犯人に告ぐ』。豊川悦司演じる事件を追う副島と因縁を持ち、保身のためにはなんでもする県警本部長曾根を演じるのは石橋凌。ロックバンドARBのヴォーカリストから俳優に転身。日本映画のみならず海外映画にも数多く出演し続ける日本を代表する役者、石橋凌さんに話を聞きました。


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今回演じた曾根県警本部長はどんな人物だと思いましたか?
■石橋凌(以下、石橋)「嫌な奴ですね(笑)。野心家ですが、原作よりもギラギラした部分を少し押さえて欲しいと監督から指示されました」
演じるにあたり、曾根が今まで歩んできた人生を考えたのでしょうか?
■石橋「原作がない時は演じる役柄のバックボーンを考えるのですが、今回のように原作がある場合は、人格は原作に描かれていることが多いので、それに沿う形にしてあまりいじりません」
先程、野心家だと思うと仰いましたが、石橋さんご自信は野心家ですか?
■石橋「そんなに嫌な奴に見えますか?(笑)」
いやいや、俳優としての将来的な展望という意味だったんですけど・・・(汗)
■石橋「確かに意地悪で高圧的な役柄が多いですね。今回も警察のトップの役でしたけど、ヒラの刑事の役もたくさんやっていますよ。だから警察でいえばキャリアとノンキャリア両方の目線を持っていると思います。そうでなくては色んな役を演じられません」
本作では警察内部の駆け引きや軋轢が描かれていますが、石橋さんはこのような組織をどう思いますか?
■石橋「以前は警察にお世話になる側の役が多かったのですが、このところ警察側が多く反体制側から体制側に移りました。そんな訳で元刑事の方にお会いしてお話を聞く機会が何度かありました。今回描かれたように警察内部の軋轢のために、簡単な事件だったにも関わらず初動捜査が遅れて、迷宮入りした事件が実際にあったそうです。昔は捜査官同士が意見交換する場があったのですが、今はあまりないそうです。本作品にはそういった警察の現状を描いている部分もあると思います」
メディアを使った劇場型捜査が大きくフューチャーされていますが、石橋さんも物事を伝える側ですが、良くも悪くも伝える側の影響力とか責任とかを感じたことはありますか?
■石橋「なるべく自然体で生きたいので、あまりないですね(笑)。私の場合、あまり人に良い影響を与える役柄ではないので、なかなか自分の子供たちにも作品を見せられません。ただ、どんな悪党でもその人成りの哲学や業があり、生い立ちによってあらゆる人格が形成されうると思っています。僕らは表現者ですから、それも含めて体現しなくてはなりません。役や作品を通して、自分たちも学ぶところがあります。悪人に共感して欲しいとか犯罪を奨励するという意味ではなく、観客の人にもそういう生き方しか出来ない人間がいるということを伝えられたらと思って演じています」
石橋さんは『クロッシング・ガード』以降、海外に活躍の場を広げてらっしゃいますが、日本の撮影現場との違いを感じますか?
■石橋「現場で監督やカメラマンといったスタッフ同様、俳優もクリエーターなんだという意識が持てます。日本の場合、俳優は現場で形的に大事にされるように思います。名前がある方だからといった気遣いはなく、スタッフと同じように今この現場で必要なことを明確に求められます。その代わり、要求に応えられないと“帰ってください”と言われてしまう厳しい世界ですが、その分やり甲斐がありますね」
共演する俳優さんから刺激を受けることはありますか?
■石橋「アメリカではあまりリハをやらないので、本番ギリギリまで役者は役についてあれこれ模索しています。そうしないといきなり本番ですから演じられないのです。待ち時間を使って俳優同士で自主トレをする場合もあります。あと演技はあくまでも俳優ものという意識ですね。監督が細かく演技を付けることはほとんどありません。例えば、台本に泣くと書いてあったら、俳優が自分で解釈して泣く演技をすれば良いのです。こういった俳優のスタンスはとても学ぶところが多かったです」
積極的に海外に進出されている動機として、松田優作さんの遺志を継いでいるという意識はありますでしょうか?
■石橋「大いにありますね。ARB時代、壁にぶつかっている時期に優作さんとお会いしまして、『ア・ホーマンス』で大きな役を頂きました。役者への道を開いてくれたのは優作さんでした。その後仕事をご一緒する機会はなかったのですが、よく飲みに行って“誇れる日本人とは?”という話を必ずしました。政治家を含め日本人が海外の表舞台に立つとイエローモンキーと揶揄されてしまう。そのマイナスイメージをご破算にするのは芸術文化に携わっている我々ではないか?と。もともと映画や音楽はグローバルなものだから、もっと海外に普通に行ける時代にならないといけないねといつも話していました」
そして、松田優作さんは『ブラック・レイン』で有言実行しましたね
■石橋『ブラック・レイン』の成功で、何本も海外からのオファーが内定していたことを優作さんは病床で知ったと聞きまして、とても残念に思いました。ですから自分なりの方法論で遺志を継いでいこうと決心しました」
どのようにして海外へ進出されたのでしょうか?
■石橋「日本の中で一つ一つ大事にやってきているつもりですが、なかなか自分のやりたい役が回ってきません。そうこうしているうちに自分の年齢は上っていく。そういう中で日本ばかりに固執していては、煮詰まってしまうという気持ちがもう15年ぐらい前からありました。ですからその頃から自分が好きな監督さんに、アメリカに限らず自分から会いに行くようにしていました。海外の人から求められたら普通に行って、普通に仕事が出来るような意識と力を身につけていなくてはならないと思っていました」
『犯人に告ぐ』
公開日:2007年10月27日
劇場情報:シネマスクエアとうきゅうほか全国にて
配給会社:ショウゲート
公式HP:http://www.hannin.jp/
取材・文:伊藤P



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