『ブレイブ ワン』 来日記者会見

2007.10.18

あなたは彼女を許せますか? ジョディが許せないのはハイテク電子機器!?
日時:2007年10月16日(火)
場所:六本木ヒルズ森タワー アカデミーヒルズ
登壇者:ジョディ・フォスター、二―ル・ジョーダン(監督)、ジョエル・シルバー(製作)
『ブレイブ ワン』 来日記者会見
人間の究極に迫った社会派サスペンス映画、『ブレイブ ワン』
人間として超えてはいけない最後の一線を越えてしまった主人公を見事に演じきったジョディ・フォスター。その彼女が自ら口説き落としたという、鬼才二ール・ジョーダン監督。
そして、ハリウッドヒットメーカーの名プロデューサー、ジョエル・シルバー。
この3人のタッグが、本作品で初めて実現した。タブーへと踏み込む、3人の力強い渾身作。そんな作品に対する熱い想いを、それぞれが語ってくれました。


_____________________________________
微妙なテーマを扱った本作品ですが、ジョエル・シルバーさんにとっての「勇気」の定義を教えてください。また、長くハリウッドのヒットメーカーであり続ける秘訣は?
■ジョエル・シルバー(以下シルバー):「ラッキーなんですよ。幸運こそが、僕の成功の秘訣だと思います。そして、僕にとっての『勇気』とは、まさにこの難しい題材を映画化した、ジョディや二ールのことです。特に、今回僕にとってすばらしいパートナーであったジョディは、クリエイティブでアイデアにあふれ、彼女の力強さや自信というのは、本当に勇敢なものでした」
ジョディさんと監督にとっての「勇気」とは?
■ジョディ・フォスター(以下ジョディ):「うーん、よく分からないわ。この映画において『勇気』は、皮肉的に示されていると思うの。彼女は恐れに満ちていたし、銃を手に取った、という彼女の行動は、そこから始まる暴力や破壊につながっていったから。彼女の、『生き残りたい』という選択自体はとても勇気のある選択だと思うわね。スクリーン上の彼女は勇敢だったけど、私個人は特に勇敢な人間ではないのよ」
■二―ル・ジョーダン(以下ニール):「私はとても勇敢です。誰にでも立ち向かうから、たぶん誰も私の家のドアの前には近づきたくないんじゃないかな(笑)。この映画の主人公は悲劇的な経験をして、そこから立ち上がるわけだけれども、その過程は本当に恐ろしいものだと思う。本当の勇敢さとは、自らを失ったときに分かるものなんじゃないかな」
ジョエルさん、ヒットメーカーであり続けるのはラッキーだけじゃないと思いますが?
■ジョエル:「僕は、いつも自分が見たい、おもしろいと思う映画をつくるんだ。また、ジョディや二ールのような才能ある人たちと一緒に働くこと、そうやって、有能な人材や的確な題材を見つけるのも、プロデューサーとしての僕の仕事。それがすべてうまくいって、しかも見る人たちにも楽しんでもらえたなら、それこそがヒットであり、幸運である、ということなんじゃないかな」
『ブレイブ ワン』 来日記者会見
今までに超えることのなかった一線を乗り越えて、それによって人生が劇的に変わったという経験は?
■ジョディ:「その一線っていうのは、ぼんやりしたものだと思うわ。そして誰もが多かれ少なかれ、日常的に超えたり超えなかったりしているんじゃないかしら。この映画の主人公にあったような悲劇的な経験に関して言うなら、もちろんこんな経験したことないわ。これこそが俳優という職業の特権かしら。だって、誰か別人になって、その人の経験ができるんですもの」
■二―ル:「ラインを超える、という点。これこそが、私がこの作品について非常に興味深いと思った点です。人間は、何かのきっかけでそれまで考えもしなかったことをしてしまうことがある。我々の住んでいる世界は、そのような恐ろしいことが十分起こり得るところなんです」
■シルバー:「おかげ様で、僕には主人公エリカのような経験がありませんが、映画をつくるにあたっては、その中で一線を越えることがしばしばあります。『ソードフィッシュ』や『マトリックス』、『リーサル・ウェポン』などの作品中では、僕は何度も一線を越えていますね」
主人公エリカは最終的に拳銃によってある選択をしますが、ジョディさんご自身は昨今のアメリカにおける銃の乱射事件をどうお考えですか?
また、アメリカ社会は銃の問題をどのように対処せねばならないとお考えですか?

■ジョディ:「私は政治的な人間ではないので、映画に関してだけお答えしますね。ポケットに銃を持っているだけで、すべてが変わるのは確かだと思うの。歩き方、ものの見方、自信もでるし、経験も変わってくる。ある意味では美しいかもね、銃は力を得たかのように感じさせてくれるから。この映画では、彼女は銃を持ったことで力を得て、人間らしさを取り戻した。すばらしいことだけれど、でもその一方でモンスターのような面がうまれて、彼女の『生きたい』という気持ちが、誰かの死につながってしまう。したがって、銃を手にするという行為は重大なものだと思うわ」
もともと新聞記者だった主人公の職業を、ラジオパーソナリティーに変更した経緯は?
■ジョディ:「ラジオパーソナリティーの語りが、映画全体のトーンを形作ると思ったの。おっしゃるとおり、元々彼女は新聞記者だったんだけれども、記者と警察のおいかけっこ、のようなありきたりのシナリオではなく、より洗練された、自分の中の見知らぬ自分を発見していく、そんな主人公を描きたかったんです。とにかく、あの彼女の夜の声こそが、この映画のトーンだと思いました」
倫理観を問われる作品を撮るにあたり、女性と男性の視点の違いなど、何か3人の中で意見がぶつかり合うことがありましたか?
■ジョディ:「私は女なので、女性の視点でしか言えないけれども、倫理観を問うテーマについては、ずっと興味を持っていたの。大抵女性は、虐待や暴力を受けると、その怒りや悲しみを自らの内側に発散する傾向があって、お酒に溺れたり、子供を虐待したり、夫を撃ったりするものとされていて、この映画のように見知らぬ人を殺したりはしないでしょ。だから、それが不可能なことじゃないと感じることは、驚がくに値することだと思う。でもどの女性の中にも、外に怒りや悲しみを発散したいという気持ちはあり得ると思うの」
■シルバー:「これまで復讐をテーマにした映画は多く、実際非常に強いジャンルです。今回の作品の見所は、主人公が女性であるということ。元の脚本から女性が復讐をする主人公として描かれていました。僕たちがよく話し合ったことは、この作品をいかにより洗練されたものにするか、ということで、その結果、エンディングを含め、我々の選択は正しかったと感じています」
■二ール:「主人公は極めて違法な行為をしているにもかかわらず、私は彼女への同情を拭えませんでした。これこそが、私がこの映画をつくりたかった理由であり、そしてジョディにこの主人公の経験した道筋をたどってほしかったんです。私はずっと、いつ彼女に対する共感が消えるかと自らに問い続けていましたが、結局その気持ちは消えないままでした」
「処刑人」とあらわされる主人公の行為をどのように思いますか?
■ジョディ:「彼女の行為は間違っていると思うわ。この映画の面白いところは、それでも私たちは彼女に共感できるということ。この映画を見る人は皆、彼女と同じ道を歩いて同じ経験をし、彼女自身もそうであるように、完全に間違っているとわかっていても共感させられてしまうの」
実生活で許せない、復讐したいと思う人物はいますか?
■ジョディ:「日々の生活において、私たちの中には、自分の痛みを相手にも同様に与えたい、と少なからず思うことがあると思います。でも私たちは教養のある社会に生きているわけで、実際それを行動に移すことはないと思うけどね。自分自身のことを言うならば、私は電子機器とすごく折り合いが悪いの(笑)。一度も正しく操作できたことがなくて、いつも本当に頭にくるわ。私が唯一ものすごくカッとなることよ!」
知的で洗練された雰囲気のジョディさんですが、自らの敵は電子機器だと告白し、会場を和ませてくれました。才能あふれる3人の、作品に対する熱い想いが伺える会見となりました。
_____________________________________
『ブレイブ ワン』
配給:ワーナー・ブラザース映画
公開:2007年10月27日
劇場情報:サロンパス ルーブル丸の内他全国ロードショー
公式HP:http://www.brave-one.net
(C)2007 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
あらすじ
ニューヨークでラジオ番組のパーソナリティーをつとめるエリカ・ベイン。ある日婚約者デイビッドと散歩に出かけた彼女は暴漢に襲われ、瀕死の重傷を負う。婚約者の死を知り、行き場のない悲しみと恐怖に打ちのめされたエリカは、一向に進展を見せない警察の捜査を信頼できず、自ら拳銃を手にする。そしてその日を境に、彼女は別人となる……。
_____________________________________
プロフィール
『ブレイブ ワン』 来日記者会見ジョディ・フォスター
1962年カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。14歳で出演した『タクシードライバー』(76年)の少女娼婦アイリス役で注目され、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされた。これまで、レイプ被害者を熱演した『告発の行方』(88年)、FBI特別捜査官を演じた『羊たちの沈黙』(91年)の2作品でアカデミー賞主演女優賞を受賞している。最近では、仏映画『ロング・エンゲージメント』(04年)に出演したほか、『フライトプラン』(05年)、『インサイド・マン』(06年)に主演。最新作は『Nim’s Island』で、08年に公開予定。
『ブレイブ ワン』 来日記者会見二ール・ジョーダン
アイルランド出身。挑発的、社会的な題材を得意とする監督、脚本家。代表作『クライング・ゲーム』(92年)は、アカデミー賞監督賞にノミネート。『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(94年)で大ヒットを収めた後、『マイケル・コリンズ』(96年)でベネチア映画祭金獅子賞を受賞。最近では、『プルートで朝食を』(05年)で、アイルランド映画TV賞監督賞、脚色賞を受賞している。
『ブレイブ ワン』 来日記者会見ジョエル・シルバー
1952年ニュージャージー州生まれ。『リーサル・ウェポン』シリーズ(87、89、92、98年)、『ダイ・ハード1・2』(88、90年)、『マトリックス』3部作(99、03年)のなど、実力ある監督たちと組み、派手な視覚効果を満載したアクション映画を製作して知られる人物。1999年にロバート・ゼメキスと共同でホラー映画専門の制作会社、ダークキャッスル・エンタテインメントを設立した。
取材・文:田辺奈緒



  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

お気に入り映画館

よく利用する映画館を登録しよう。登録した映画館の上映スケジュールが確認できます。

最新映画ニュース
音楽・役者・監督、渡辺大知の計りしれないマルチな才能が存分に詰め込まれた作品 本作に込めた思いと主題歌「ベイビーユー」制作秘話『勝手にふるえてろ』
音楽・役者・監督、渡辺大知の計りしれないマルチな才能が存分に詰め込まれた作品 本作に込めた思いと主題歌「ベイビーユー」制作秘話『勝手にふるえてろ』

2017.11.20

鬼才ミヒャ・レビンスキー監督登壇『まともな男』初日舞台挨拶&ティーチイン開催!
鬼才ミヒャ・レビンスキー監督登壇『まともな男』初日舞台挨拶&ティーチイン開催!

2017.11.20

山﨑賢人、『斉木楠雄のΨ難』大ヒットに「自分にとって転機になった作品」と新境地開拓実感 大ヒット御礼舞台挨拶
山﨑賢人、『斉木楠雄のΨ難』大ヒットに「自分にとって転機になった作品」と新境地開拓実感 大ヒット御礼舞台挨拶

2017.11.20

最新映画ニュース一覧

映画の最新情報はここでチェック!記者会見、お得なイベント情報など毎日更新!
セレブ・ニュース
『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』続編タイトルが決定!
『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』続編タイトルが決定!

2017.11.21

セバスチャン・スタン、ニコール・キッドマン主演新作スリラーへの出演に向けて交渉中
セバスチャン・スタン、ニコール・キッドマン主演新作スリラーへの出演に向けて交渉中

2017.11.21

ミシェル・ウィリアムズ、新作スリラー『Rio』に出演するため交渉中
ミシェル・ウィリアムズ、新作スリラー『Rio』に出演するため交渉中

2017.11.21

セレブ・ニュース一覧

気になるハリウッド・セレブの最新情報を“セレブのメッカ”ハリウッドから毎日お届けします☆
プレゼント
『ダンシング・ベートーヴェン』試写会(東京・ニッショーホール)

試写会5組10名様

『ダンシング・ベートーヴェン』試写会(東京・ニッショーホール)
『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』特製絵巻マスキングテープ

グッズ5名様

『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』特製絵巻マスキングテープ
『ジグソウ:ソウ・レガシー』タトゥシール

グッズ5名様

『ジグソウ:ソウ・レガシー』タトゥシール
TOHOシネマズ上野 劇場鑑賞券

その他3組6名様

TOHOシネマズ上野 劇場鑑賞券

プレゼント一覧


TOP