『カタコンベ』デヴィッド・エリオット監督 インタビュー

2007.09.28

“暗闇で限りある命を実感する映画”デヴィッド・エリオット監督インタビュー
出席者:デヴィッド・エリオット監督
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花の都パリの地下に実在する墓地カタコンベ。総距離300マイル、700万体の遺骨が眠っていると言われる地下墓地に迷い込んだ女性ヴィクトリアが体験する恐怖を描いたサスペンス・ホラー『カタコンベ』。『ソウ』シリーズを世に送り出した製作陣が新たに仕掛けた恐怖世界。新人監督の発掘を得意とするプロデューサーたちは、またまた新進気鋭の監督を見つけ出した。『カタコンベ』で新人らしからぬ手腕を発揮したデヴィッド・エリオット監督に話を聞きました。


本作のアイディアはどこから?
Cheese_070928_32■デヴィッド・エリオット監督(以下、デヴィッド)「私も行ったことがあるのですが、共同監督のトム・コーカーがハネムーンでパリのカタコンベを訪れたのがきっかけです。カタコンベという場所そのものも面白いと思ったし、カタコンベに侵入してダンスパーティをするカタファイルと呼ばれる人たちがいると聞き、付随するサブカルチャーも興味深かったです。カタコンベを舞台にして、暗闇や音楽を描いたら面白い映画になると思いました」
そのダンスパーティは劇中に登場しますがクラブのようです。実際もあのような雰囲気なのでしょうか?
■デヴィッド「もっと大規模です。3,000人ぐらい集まります。違法なので何ヶ月も前から周到に準備され、開催日に参加者へメールが配信されます。カタファイルを取り締まるためだけの警察隊も存在します」
どのような経緯で制作されたのでしょうか?
■デヴィッド「プロデューサーに脚本を見せたら直ぐに映画化したいと言われたのですが、今までの経験上、この手の話は話だけで終わります。だから今回もあてにしていませんでした」
それでも2005年に急逝したプロデューサー、グレッグ・ホフマンは違ったのですね?
■デヴィッド「初期段階ではもっと製作費のかかる内容だったのですが、グレッグがもう少しこじんまりしたものだったらできると言い残して、さっさと独りで寒いルーマニアへロケハンに行ってしまいました。本当にやるの?ってなって、慌てて脚本を書き直しました」
熱意のあるプロデューサーですね。
■デヴィッド「彼はとても行動的でしたし、僕は新人だったけど信頼してくれました。素晴らしいプロデューサーであり、尊敬できる人だったので亡くなってしまったのが本当に残念です」
ではロケはルーマニアで行ったんですね?
■デヴィッド「そうです。東ヨーロッパの国々は、冷戦時代に外国映画が輸入できなかったので、独自の映画文化が発展していました。しかもかなり高いレベルです。デヴィッドはそれを見越してルーマニアでのロケを考え付いたのです」
パリでは撮影できなかったのですか?
■デヴィッド「パリのカタコンベは博物館として指定されているので、公開されている部分に関しては教育目的やドキュメンタリーでないと撮影許可が下りないのです。あととても危険なので、安全面から見ても撮影できません」
ジャンルとしてはホラー映画だと思うのですが、観客を怖がらせるために思考を凝らした演出はありますか?
■デヴィッド『ソウ』のプロデューサーということもあり『ソウ』から学ぶことが多くありました。まず観客が見たいと思うものを見せない。観客の目の注意が行くところ制限し、完全にこちらでコントロールしました。あとはとにかく大きな音でビックリさせることですね」
では、本作の今までにない新しい要素はなんだと思いますか?
■デヴィッド「主人公がこれほど長時間に渡り、独りきりの状態が続く映画はあまりないと思います。無声映画みたいで、会話もほとんどありません。それでもホラー映画としてドラマが成立している点はユニークだと思います。あと懐中電灯の明かりだけで撮影したシーンもあります。そのお陰でカメラも自由に動けるので、面白い映像になっていると思います」
蝋燭の明かりだけで撮影したスタンリー・キューブリック監督作の『バリー・リンドン』みたいですね。
■デヴィッド「トム・コーカーがキューブリックを敬愛しているので、影響はあるかもしれませんね」
デヴィッドさんは『ザ・ウォッチャー』、『フォー・ブラザーズ/狼たちの誓い』など脚本家として活躍されていますが、監督としては新人です。監督としての作家性、独自性は?
■デヴィッド「演技の面でリアリズムを追及します。映像面では編集や照明を上手く使ってスタイリッシュです。この二つを融合させているところでしょうか。例えばダニー・ボイルみたいな感じですね」
『カタコンベ』の反省点はありますか?
■デヴィッド「商業的には娯楽性が求められるので今の『カタコンベ』が妥当だと思うのですが、個人的にはもっとアートぽい作品にしたかったです。興行と作家としてやりたいこととのバランスを取るのは難しいですね。でも観客が喜んでくれるのが一番だと思っています」
では最後にこれから映画を見る方々へアピールをお願い致します。
■デヴィッド「是非、楽しんでください! 実際のカタコンベにもあるのですが、劇中プレートに書かれた標語が出てきます。死に直面した時、人は命に限りがあると悟ります。 限りある命を大切にして生きて欲しいという思いもあるので、そういった観点からも見て欲しいですね」
『カタコンベ』
公開日:2007年10月6日
配給会社:デジタルサイト
劇場情報:シネマメディアージュほか全国にて
公式HP:http://www.catacombs.jp/
■プロフィール
Cheese_070928_33デヴィッド・エリオット
スタンフォード法科大学院卒業後インディペンデント映画『Nothing Sacred』で脚本・監督デビュー。キアヌ・リーブス主演の『ザ・ウォッチャー』(00)、マーク・ウォルバーグ主演の『フォー・ブラザーズ/狼たちの誓い』(05)で脚本を担当している。
取材・文:伊藤P



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