『痛いほどきみが好きなのに』イーサン・ホーク インタビュー

2008.04.28

“この作品は恋愛映画でもあるけれど、父と息子、離散してしまった家族の絆を描く作品でもあるんだ”
出席者:イーサン・ホーク
『痛いほどきみが好きなのに』イーサン・ホーク インタビュー
俳優として、また脚本家としてアカデミー賞にノミネートされ、映画監督、小説家としての肩書きも持つという、幅広い才能を披露するイーサン・ホークが、1996年に上梓した小説『痛いほどきみが好きなのに』を映画化した。
初監督作品である『チェルシーホテル』以来6年ぶりに、自身の監督作品を引っ提げての来日となるイーサン・ホークに、小説を映像化する難しさや、役者のキャスティング方法、更に本作のテーマなどについて話を聞いた。


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『チェルシーホテル』でのプロモーション以来、6年ぶりの来日ですが、東京をエンジョイしていますか? また、東京のどんな所が良いと思われますか?
■イーサン・ホーク:「勿論、エンジョイしているよ。東京は街や人々に感銘を受けているね。実際住んでみなければ分からないことも沢山あるのだろうけれど」
『痛いほどきみが好きなのに』はご自身の小説ですが、当初から映像化を念頭においていましたか?
■イーサン:「そうだね。ずっとこの作品を映画にしたいと思っていたんだ。でも、しばらくはそれを忘れていたんだ。何故その事を思い出したのかと訊かれても困るんだけど、ある時思い出したんだよ。やってみたら面白いだろうなと思ってね。それで製作に取り掛かったんだ」
映画化するにあたり、映像という文字とは異なる表現手法でのアプローチをしなければなりませんが、その際に一番気をつけた事は何でしょう?
『痛いほどきみが好きなのに』イーサン・ホーク インタビュー■イーサン:「そうだね…一番は物語の核になる所から絶対に離れない、という事が大事なんじゃないかなと思うよ。この物語の筋立ては凄くシンプルなんだ。ある青年が女性と出会って恋に落ち、恋に破れ、そして自分を発見する。これはその青年一個人の物語というより、誰もが経験しうる可能性のある普遍的な体験の物語なんじゃないかなと思うんだ。勿論、映画というエンターテインメントとして楽しく、面白くというのは必要だと思うんだけれども、そういった人間の普遍的な体験のエッセンスを損ねないように気をつけたよ」
この作品の主人公とヒロイン、ウィリアムとサラをキャスティングするにあたって、何を一番重視しましたか?
■イーサン:「虚しくない事…中身のある人間、っていうのが重要だったかな。特にウィリアム役のマーク・ウェバーの場合、自分の中身を全てさらけ出す事が重要だった。劇中では愉快な事だけやっていればいい訳ではなくて、台詞も多い中、バカも演じなければならないし、苦悩する場面もある。役者としてあらゆる事を表現しなくてはいけない。相当大変だったと思うよ。同じようにサラ役のカタリーナ・サンディノ・モレロも、女性の強さというのが感じらて、中身がしっかり詰まっていそうな所が良いと思ったんだ」
実際にマークとサラを起用してみてどうでしたか?
■イーサン:「そうだな…僕はこの映画の作り手として深く関わってしまっているから、冷静な第三者の視点として彼らを評するのは難しいね。勿論、撮影中は二人を起用してエキサイティングな経験が出来たと思うし、自分としては上出来な気がするけれど、最終的にこのキャスティングが成功しているかどうかの判断は、この映画を見てくれた皆さんに委ねたいね」
劇中、二人がメキシコを訪れたシーンは素敵でした。
■イーサン:「そうだね。この映画の中で最もロマンチックなシーンで、僕も好きなんだ」
今回、監督としてメガホンを執りながら、苦悩する息子を受け止める、ウィリアムの父親役としても出演していますが、どんな気持ちで役作りをしましたか?
■イーサン:「あのシーンは作品の中でとても重要な部分なんだ。この作品は恋愛映画でもあるけれど、父と息子、離散してしまった家族の絆を描く作品でもあるからね。あのシーンは本当に最後の方に撮影したんだよ。撮影を通じてマークをよく知ってからね。それから、この小説は僕自身の体験も少なからず入っている。当然僕の実体験はマークが演じた息子の側だったから、僕が父親としてカメラの前に立つのは上手く言えないけど妙な…不思議な気持ちだったな」
この映画の公開を待ち望むファンに向けて、メッセージをお願いします。
■イーサン:「僕が作った映画『痛いほどきみが好きなのに』、是非劇場で見て下さい。気に入ってくれるといいな」
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『痛いほどきみが好きなのに』
配給:ショウゲート
公開日:2008年5月17日
劇場情報:新宿武蔵野館ほか全国にて
公式HP:http://www.itakimi.jp/
©2006 By Barracuda Films,LLC.All Rights Reserved.
あらすじ
NY。ウィリアム(マーク・ウェバー)は若手俳優。気軽な恋愛も楽しみ、仕事もまずまず順調。それなりの日々を過ごしていた。21歳の誕生日を前に、ウィリアムは行きつけのバーで、一人の女性に出会う。そのままのめりこむように恋におち、すぐさま結婚を誓いあう二人。しかし二人で訪れたメキシコ旅行を堺に、二人の間に溝が出来はじめて…。
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プロフィール
『痛いほどきみが好きなのに』イーサン・ホーク インタビュー
イーサン・ホーク
1970年11月6日、アメリカ合衆国テキサス州オースティン生まれ。アカデミー賞脚本賞を受賞した『いまを生きる』(1989年)で注目を集める。『ガタカ』(1997年)、『大いなる遺産』(1998年)『ヒマラヤ杉に降る雪』(1999年)とキャリアを積み、『ヒマラヤ杉に降る雪』(2002年)でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされる。また、『ビフォア・サンセット』(2004年)では脚本も手がけオスカーにノミネートされた。



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